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第四話 暗黒城攻略リアル・タイム・アタック はーじまーりまーすわ
暗黒城リアルタイムアタック、はーじまーりまーすわー
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仲間を見送った後、青年はミレイアに礼を言った。
「助けてくださってありがとう。ボクはオーレリアン、ダラス国の王子です」
「トゥーリ男爵のもとでメイドをしております、ミレイアと申します」
ミレイアも頭を下げる。
「すごい治癒魔法ですね、どこでその技を?」
「故郷が、聖女を育成しておりまして。ワタクシも、少々かじっておりました」
嘘は言っていない。
実際、アニタとは共に訓練をした仲なのだから。
「勇者と並び称される聖女。その訓練場が、エルヴィシウス以外にもあるのですね?」
「ええ。世界は広いので」
よくもまあ、勇者の前でウソがつけるものだ。
「自己紹介はこの辺にして、急ぎましょう。ポーラ姫を救わねば」
「そうだね……あれを見て!」
王子が、天井を指し示す。
何もない虚空に、映像が浮かび上がった。
人間サイズの鳥かごに入れられている女性と、隣のソファに寝そべるアフロの男性が映っている。
「ようこそ暗黒城へ。オレサマがこの城の主、ラファイエットだぜ!」
ラファイエット侯爵が、グラスに入った黄金色の液体を煽る。
アフロの衣装は、胸元のあいた純白の背広を地肌で着ていた。胸毛が全開だ。下は、白いパンタロンスタイルである。背中ではためくは、漆黒の翼だ。
「ポーラ様!」
「オーレリアンさま逃げて!」
鳥かごから、ポーラ姫が叫ぶ。
幽閉されて入るが、ドレスは清潔に保たれていた。ラファイエットが魔法で汚れをとっているらしい。
「黙れ! テメエはこの惨劇を見続ける義務があるんだよ!」
アフロが鳥かごにケリを入れた。
「姫をどうなさるおつもりで?」
「どうもしねえよ! 精神的に痛めつけているだけだ。こうやって、自分を助けに来た冒険者をいたぶってる様を見せつける。姫様は罪の意識にさいなまれる。オレサマメシウマってわけだ! ギャハハ!」
下劣な趣味を持っている。
「お前らの様子は、中継させてもらう。魔界ちゃんねるでも再生数がうなぎ登りなんだ。今んところ、オレサマがもっとも魔王に近づいている。たとえ魔女と言えども、オレサマの牙城は崩せねえ! カモン!」
アフロが指を鳴らした。
エントランスから、異様に巨大なドクロが襲いかかってくる。
「あれはエルダー・リッチ。アニタさんを半殺しにした魔物です! それが三体もいるなんて!」
王子が、ミレイアをかばって前に出た。
「おのれ化け物! みすみす死んでたまるか!」
剣を抜き、王子がドクロを威嚇する。
しかし、ドクロ共はあざ笑っているかのようだ。
「旅の人、王子を連れて逃げてください! そしてお伝えください。汚染魔法でもなんでも使いなさいと! 私は、どうなっても構いませんから!」
必死の形相で、姫が訴えかけてくる。
「ご安心を。あなたは一時間でお助けいたします」
「ああ? てめえ、なんて言った?」
「豚には聞こえませんでしたか? 一時間でこの城を落とすと申したのです」
正直、頭にきていた。フロアを一つずつ壊してドヤ顔してやろうかと思ったが、やめだ。
徹底的に潰す。最短で。
短い間とは言え、同郷の友を殺しかけた罪は重い。
わからせれやらねば。
「イヒヒ! おもしれー女! そんな減らず口をたたく女はいたけど、みーんな最期は悲鳴を上げて助けを乞いていたぜ!」
「寝言は、寝てからおっしゃいませ」
まずミレイアは、王子を白い魔法障壁で包み込んだ。
「ミレイアさん⁉ どういうことです? ボクも戦います!」
「ちょっと黙っててくださいますか?」
きつい言葉で、王子を制する。
たとえ偉い人であっても、それはそれ。命がかかっているなら、あまり前に出ないでほしい。やりづらいから。
「その威勢もどこまで続くかね? まあ、お前らの人生はここで終わるんだけどな? せいぜいこの玄関から抜け出せるようにあがきな! ギャハハハーッ……はあ⁉」
アフロの高笑いが、驚愕へと変わる。
ミレイアが、ドクロ共を一瞬で灰にしたからだ。
ムチを浴びせて、ミレイアはドクロ三体を同時に撃滅する。
しまった。もっといたぶって殺すつもりだったのに。
つい、本気で消滅させてしまった。
感情のコントロールが効かない。
「助けを……いいえ。許しを乞うのは、あなたの番です」
「これが、魔女の力かよ! 半端ねえ!」
絶句しながら、ラファイエットが酒をヤケクソで煽った。
「ば、バカな。アニタさんが全身全霊をかけて滅した怪物を、一撃で撃破するなんて⁉」
白い球体の中で、王子は膝から崩れ落ちる。
「王子はそこでワタクシを追随していてくださいな。そこは安全ですので。その間に、ワタクシがこの城を完膚なきまでに破壊いたしますので」
主役は王子だ。彼に死なれては困る。
「ざ……っけんなてめえ! まだまだ、オレサマの魔力を削って召喚した、凶悪な魔物が各フロアにうじゃうじゃいる。そいつらを倒して三つのオーブを手に入れない限り、オレサマの元へはたどり着けねえ!」
説明ゼリフで、侯爵はこの城の落とし方をわざわざ解説してくれた。
「攻略法をどうも。聞いていましたね王子? オーブの管理は、あなたにおまかせしてもよろしくて?」
「は、はあ」
オーレリアン王子も、呆気にとられている。
「では、暗黒城リアルタイムアタック、はーじまーりまーすわー」
ミレイアによる、RTAが始まった。
「助けてくださってありがとう。ボクはオーレリアン、ダラス国の王子です」
「トゥーリ男爵のもとでメイドをしております、ミレイアと申します」
ミレイアも頭を下げる。
「すごい治癒魔法ですね、どこでその技を?」
「故郷が、聖女を育成しておりまして。ワタクシも、少々かじっておりました」
嘘は言っていない。
実際、アニタとは共に訓練をした仲なのだから。
「勇者と並び称される聖女。その訓練場が、エルヴィシウス以外にもあるのですね?」
「ええ。世界は広いので」
よくもまあ、勇者の前でウソがつけるものだ。
「自己紹介はこの辺にして、急ぎましょう。ポーラ姫を救わねば」
「そうだね……あれを見て!」
王子が、天井を指し示す。
何もない虚空に、映像が浮かび上がった。
人間サイズの鳥かごに入れられている女性と、隣のソファに寝そべるアフロの男性が映っている。
「ようこそ暗黒城へ。オレサマがこの城の主、ラファイエットだぜ!」
ラファイエット侯爵が、グラスに入った黄金色の液体を煽る。
アフロの衣装は、胸元のあいた純白の背広を地肌で着ていた。胸毛が全開だ。下は、白いパンタロンスタイルである。背中ではためくは、漆黒の翼だ。
「ポーラ様!」
「オーレリアンさま逃げて!」
鳥かごから、ポーラ姫が叫ぶ。
幽閉されて入るが、ドレスは清潔に保たれていた。ラファイエットが魔法で汚れをとっているらしい。
「黙れ! テメエはこの惨劇を見続ける義務があるんだよ!」
アフロが鳥かごにケリを入れた。
「姫をどうなさるおつもりで?」
「どうもしねえよ! 精神的に痛めつけているだけだ。こうやって、自分を助けに来た冒険者をいたぶってる様を見せつける。姫様は罪の意識にさいなまれる。オレサマメシウマってわけだ! ギャハハ!」
下劣な趣味を持っている。
「お前らの様子は、中継させてもらう。魔界ちゃんねるでも再生数がうなぎ登りなんだ。今んところ、オレサマがもっとも魔王に近づいている。たとえ魔女と言えども、オレサマの牙城は崩せねえ! カモン!」
アフロが指を鳴らした。
エントランスから、異様に巨大なドクロが襲いかかってくる。
「あれはエルダー・リッチ。アニタさんを半殺しにした魔物です! それが三体もいるなんて!」
王子が、ミレイアをかばって前に出た。
「おのれ化け物! みすみす死んでたまるか!」
剣を抜き、王子がドクロを威嚇する。
しかし、ドクロ共はあざ笑っているかのようだ。
「旅の人、王子を連れて逃げてください! そしてお伝えください。汚染魔法でもなんでも使いなさいと! 私は、どうなっても構いませんから!」
必死の形相で、姫が訴えかけてくる。
「ご安心を。あなたは一時間でお助けいたします」
「ああ? てめえ、なんて言った?」
「豚には聞こえませんでしたか? 一時間でこの城を落とすと申したのです」
正直、頭にきていた。フロアを一つずつ壊してドヤ顔してやろうかと思ったが、やめだ。
徹底的に潰す。最短で。
短い間とは言え、同郷の友を殺しかけた罪は重い。
わからせれやらねば。
「イヒヒ! おもしれー女! そんな減らず口をたたく女はいたけど、みーんな最期は悲鳴を上げて助けを乞いていたぜ!」
「寝言は、寝てからおっしゃいませ」
まずミレイアは、王子を白い魔法障壁で包み込んだ。
「ミレイアさん⁉ どういうことです? ボクも戦います!」
「ちょっと黙っててくださいますか?」
きつい言葉で、王子を制する。
たとえ偉い人であっても、それはそれ。命がかかっているなら、あまり前に出ないでほしい。やりづらいから。
「その威勢もどこまで続くかね? まあ、お前らの人生はここで終わるんだけどな? せいぜいこの玄関から抜け出せるようにあがきな! ギャハハハーッ……はあ⁉」
アフロの高笑いが、驚愕へと変わる。
ミレイアが、ドクロ共を一瞬で灰にしたからだ。
ムチを浴びせて、ミレイアはドクロ三体を同時に撃滅する。
しまった。もっといたぶって殺すつもりだったのに。
つい、本気で消滅させてしまった。
感情のコントロールが効かない。
「助けを……いいえ。許しを乞うのは、あなたの番です」
「これが、魔女の力かよ! 半端ねえ!」
絶句しながら、ラファイエットが酒をヤケクソで煽った。
「ば、バカな。アニタさんが全身全霊をかけて滅した怪物を、一撃で撃破するなんて⁉」
白い球体の中で、王子は膝から崩れ落ちる。
「王子はそこでワタクシを追随していてくださいな。そこは安全ですので。その間に、ワタクシがこの城を完膚なきまでに破壊いたしますので」
主役は王子だ。彼に死なれては困る。
「ざ……っけんなてめえ! まだまだ、オレサマの魔力を削って召喚した、凶悪な魔物が各フロアにうじゃうじゃいる。そいつらを倒して三つのオーブを手に入れない限り、オレサマの元へはたどり着けねえ!」
説明ゼリフで、侯爵はこの城の落とし方をわざわざ解説してくれた。
「攻略法をどうも。聞いていましたね王子? オーブの管理は、あなたにおまかせしてもよろしくて?」
「は、はあ」
オーレリアン王子も、呆気にとられている。
「では、暗黒城リアルタイムアタック、はーじまーりまーすわー」
ミレイアによる、RTAが始まった。
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