おっさん、魔王の玉座になる －幼女魔王と一緒に座っているだけでレベルMAX！－

4-2 今度は団体戦だ！

ヨアンさん、ブチギレ

　勝利をもぎ取ったマミちゃんが、ネウロータくんとハイタッチをしながら帰ってくる。

「おめでとう、マミちゃん」
「どうってことないわ！　あたしが本気を出せば、ざっとこんなもんよ！」

　マミちゃんは、堂々とした態度だ。

「そうそう。なにかあったら、オレたちに任せておけ。全力でカバーしてやる」

　ネウロータくんも、強気の発言である。

「そう言っていられるのも、今のうちじゃない？」

　相変わらず腕を組みながら、イクミちゃんがこちらを煽ってきた。

「こっちが勝ち越せば、こちら側の指揮も上がるってもんよ」
「そう、うまくいくかしら？　今度は最強の魔王がいるのよ！」
「チサ・ス・ギルのことだろ？　この子にそんな力があるとは思えないけど？」
「見ていなさい！　あとで吠え面かいても知らないから！」

　イクミちゃんとマミちゃんの舌戦が続く中、チサちゃんはわれ関せずの様子でポイントへ。

　第三試合がスタートした。

　チサちゃんは、のんびりした滑り出し。

「あの子、やる気ありますの？」

　玉座であるククちゃんが、柱を支えながらボクに聞いてくる。

「チサちゃんは、いつもあんなカンジです。でも」

　いざというとき頼りになるのが、チサちゃんって子なんだ。

　各々のカゴに球がある程度入った辺りで、勇者も攻め込んできた。

「ではチサさん、相手陣地へ乗り込んできます」

　ヨアンさんが、自軍の球を持って敵陣へ。

「どけオラああああ！」

　自軍の球を扱えるギリギリのラインで、ヨアンさんは戦う。
　さすが元ヤンってカンジだなぁ。

　勇者の一人が、ヨアンさんの包囲網をかいくぐる。
　マミちゃんのマネごとだ。
　すぐに相手の技を吸収してしまうなんて、勇者はどれだけの適応力があるのか。

「きゃあ！」

　ククちゃんの肩に、勇者のヒザがぶつかった。

「……てめえウチのクク様になにしてくれてんだおらああ！」

　ヨアンさんの顔が、嗤っている。
　自軍から遠く離れた場所から、勇者めがけて球を投げつけた。

　勇者の顔に、ヨアンさんの豪速球がめり込む。
　そのまま消滅して、スタート地点へワープした。

　攻撃したヨアンさんも、敵の弾に当たって力尽きる。
　スタート地点へ戻り、防御に回った。

　チサちゃんは片手で自軍のカゴに球を入れつつ、もう片方の手で敵に球をぶつける器用な戦法をしていた。
　マルチタスクなんだけど、チサちゃんにとってはお手の物だ。
　戦況をちゃんと見ている。

　そのおかげで、チサちゃんとヨアンさんだけで玉を入れ続け、他の魔王たちが敵陣へ突っ込んでいけた。

　地味な戦法ながら、見事ボクたちは勝利をする。
　気がつけば、まったく危なげのない戦いだった。

「地味！　それでも魔王かっての！」

　イクミちゃんが、歯噛みする。

「いや、違うね。これでこそ魔王なんだ」

　全力で人に任せられる。だからこそ、魔王と言えるんだ。