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1-4 「おさんぽ」という名の迷宮探索

第42話 自宅警備員 ドレン

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 セイさんの案内で地下の宝物庫へと進む。

 先頭を歩きながら、セイさんは廊下のランプに魔法で火を灯していく。

「こちらです、大毅様。ここにあるマジックアイテムは、すべてご自由にお使いください」

 ボクの身長より高いドアが、終点に鎮座していた。

 鍵穴に手をかざし、セイさんが魔力を込めて扉の鍵を解除する。

 ギギギ、と鈍い音を鳴らし、宝物庫の扉が開いた。
 扉は分厚く、二メートルはあると思われる。

 ボクは語彙力を失った。頭の中が「すごい」で埋め尽くされる。

 ファンタジー系のアニメなどでしか見たことがない武器や装備品が、所狭しと並んでいた。
 炎が刃になった剣、氷山を加工した槍、竜巻をまとう鎧なんかもある。

「このカブトは何だろ?」
 何の変哲もないフルフェイスを手に取った。

「それは触ったらダメ。意識を乗っ取られる」

 よく見ると、カブトの影で何かが笑っている。
 これは触らない方がいいな。
 できれば一生宝物庫で眠っていて欲しい。

「ほーっ。珍しい客がいたもんだ。人間とはな」

 部屋の奥で、誰かが語りかけてきた。
 人の気配じゃない。モンスターだ。
 ボクにも、人とモンスターの気配が分かるようになっている。

「それはスキルのおかげ。自動的に【スキル:物質会話】を発動している」

 ある程度状態のいいマジックアイテムと、軽い意思疎通ができるスキルなんだという。

 奥へ進むと、赤いドラゴンの像が飾られていた。

 ドラゴンというか、超合金ロボットと形容した方が早いか。目や髭に至るまで、アチコチのパーツがメカニカルなのだ。

 二〇メートルはあるドラゴンが、壁を背に寝そべっている。何が面白くないのか、時々ため息をつく。

「久しぶり」
「よお、嬢ちゃん。そいつがお前さんの玉座だな?」

「あなたは、双六に出てきたドラゴンですね?」

「そうだ。オレはドレン」と、ドレンは肯定する。

 チサちゃんが、ボクを手で指し示す。
「彼はダイキ。仲良くしてね」

「へっ、どうだろうな」
 せっかくチサちゃんが要求しているのに、ドレンはあまり愛想よく振る舞わない。
 子どもでも容赦しないタイプなのかな?

「像の形をしているようですが?」

「本来の力を封印されててな。ガーゴイルみたいな役割をしている。有事の際は、実体化する。今じゃすっかりやる気と力をなくしてしまって、あのザマだが」

 それでも、相手方の玉座では分が悪いだろう。

「どうして、やる気までなくされたので?」
 ドラゴンなら、もっと自信満々でいてもいいはずだけど? 実際、強そうだし。

「彼は以前に、この世界を支配していた前魔王の玉座でした」

 ドレンの代わりに、セイさんが答える。

「おうよ、共に天下を取ろうって約束した間柄だった」

 実際、相当強い魔王候補だった。
 もっとも新生魔王に近い存在だったとか。

「けどよ、勇者に目を付けられて、負けちまった」
 それ以来、二度と余計なマネはすまいと、チサちゃんの玉座になる権利すら放棄したらしい。

「ボクがいなかったら、あなたが玉座になっていた可能性も?」

「無理だったろうさ。オレ様と前の魔王は相性が良すぎた。チサ公じゃ話にならんほどに」

 そういえば、肝心なのは相性だって聞かされたっけ。
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