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第三章 姫とコラボで、またバズる
第16話 メイヴィス姫の使命
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ギルド及び異世界の国家は、モンスターがテイマーを手懐けて地上に出てしまうのを恐れているようだ。
「以前、ギルドがあなたに土地を提供しようとしたでしょ?」
「はい。データ採取を執拗に要求されましたね」
広大な土地を無料でくれるのは、ありがたかったけど。
「あれも、ワラビちゃんが危なくないかどうかのチェックが目的だったみたい」
ボクたちテイマーは、あまりギルドから信用されていないみたいだね。
「徹底的に監視下において、行動を制限させることが最適と、ギルドは考えているみたいなの」
「怖いですね。あまり気分のいい話では、ありません」
ワラビがブルッと震えた。いつものプルンプルンとは違って、少々の怯えと、怒りが混ざっている感じ。
ボクはワラビを落ち着かせるために、表面をそっと撫でる。
「どうして、テイマーだけ目の敵にするんですか?」
「テイマーが強すぎるせいよ」
聞くところによると、テイマーは他の冒険者と比べて成績がいいらしい。
「中でも、ツヨシくんはトッププレイヤーと遜色がないくらいなの。いつ上位勢と接触してもおかしくないわ」
実際、上位勢がテイマーをスカウトする状況が起きているという。ほとんどは、失敗に終わっているみたいだけど。
「だからオレたちが先手を打って、ツヨシたちを保護したってわけさ。といっても、助けてもらった恩があるから、お前さんを信用しているんだ」
センディさんとコルタナさんが来たのは、ボクが運を引き寄せたからだったみたいだね。さらにメイヴィス姫がいれば、上位勢だってボクに声をかけづらくなる。
「とはいえ、サマーヘイズ王国は、モンスターを操るテイマーを危険視しているわ」
サマーヘイズは、「モンスターが簡単に人間のいうことを聞くとは考えにくい」という。なんらかの方法で、街へ出ようとしているのではと。
「ボクはお買い物だって、ギルドの管轄内で行います。いたずらに監視の外へ出ようなんて、考えていません」
といっても、当時はお金がなかったから、ギルドの範囲内にしか住めなかったわけだけど。
「あたしの目的は、ワラビちゃんが危なくない魔物だと、父上に証明するためよ」
「そうだったんですね。ありがとうございます」
「礼には及ばないわ。当然のことをしているまでよ。だって、かわいそうだわ! せっかくツヨシから命をもらったのに、引き離されちゃうなんて!」
そういう事態に、なるところだったのか。
「ワラビちゃんは、こんなにかわいいのよ!」
揉みしだくような勢いで、メイヴィス姫はワラビをプニプニした。
「もうこの感触は、国宝級だわよ。冒険になんて出さず、ウチの近所の草原で毎日お散歩したいくらいだわ!」
『自重せよ、姫』
コンラッドがカレーを食べる手を止めて、姫をワラビから引きはがす。
「放しなさいコンラッド。もう落ち着いたわ」
『信用できぬ』
「あたしだって、サモナーよ! モンスターとの距離感くらい、つかめるわ!」
『掴んでおらぬぞ、姫よ』
「きっとワラビちゃんには、天然チャームの魔法でも放っているのよ」
『そんな魔法など、ありはせぬ。カレーでも食って落ち着け』
姫はコンラッドにカレーを食べさせられて、着席する。
「ツヨシだって、そう思うでしょ? ワラビちゃんが、人を襲うようなモンスターじゃないって」
「ええ。まあ、そうですね」
ボクは、ワラビを撫でた。
「もし、本当にワラビが悪党だったら、保護した段階でボクを食べていると思うんですよね」
たとえ最弱なボクでも、新鮮な人間の肉だ。腹くらいは膨れるだろう。そこからもっと強い魔物や冒険者を喰らえばいい。
一緒にオフロに入って、水分も補給していた。だから、ボクが無防備なところを捕食したってよかったはずだ。寝込みを襲ってもいい。でも、ワラビはしなかった。彼女がしたことといえば、老廃物の除去くらいである。
十分に強くなって食べるのかな、とも、一瞬考えた。しかし、魔物の強さは使い手と連動している。テイマーが強くなるほど、モンスターも同じくらい強くなっていく。だったら、テイマーと共に強くなるほうが効率がいい。
「モンスターがテイマーを食べる理由なんて、ないんです」
ボクは、ワラビを自分のお腹にもたれさせる。
ワラビはプルンと身体を揺らして、くつろぎはじめた。
「それだけわかれば、十分だわ。父上に進言してみましょ」
「お願いします」
メイヴィス王女は、またスマホを取り出してボクの家で配信を始める。ボクが語ったことを、国民に伝えた。
「えっと、『テイマーは今でも、監視対象なのでしょうか?』と。送信」
ボクの動画は、ギルドの受付お姉さんが見ているはず。なので、コメントで質問してみた。
返信が来ている。
『あいにくですが。PS.ワラビちゃんすこ』
やっぱり、監視の目はまだ残っているのか。
これはもう、自分でワラビの無害を証明するしかないね。
「もう夜も遅いわ。でもせっかく配信しているんだし。ワラビちゃん、子どもがぐっすり眠れる安眠体操を一緒に踊りましょう」
「いいですね。ではお子様がた、良い夢を」
メイヴィス姫によるエルフ安眠体操を歌って踊って、今日の配信を終えた。
「以前、ギルドがあなたに土地を提供しようとしたでしょ?」
「はい。データ採取を執拗に要求されましたね」
広大な土地を無料でくれるのは、ありがたかったけど。
「あれも、ワラビちゃんが危なくないかどうかのチェックが目的だったみたい」
ボクたちテイマーは、あまりギルドから信用されていないみたいだね。
「徹底的に監視下において、行動を制限させることが最適と、ギルドは考えているみたいなの」
「怖いですね。あまり気分のいい話では、ありません」
ワラビがブルッと震えた。いつものプルンプルンとは違って、少々の怯えと、怒りが混ざっている感じ。
ボクはワラビを落ち着かせるために、表面をそっと撫でる。
「どうして、テイマーだけ目の敵にするんですか?」
「テイマーが強すぎるせいよ」
聞くところによると、テイマーは他の冒険者と比べて成績がいいらしい。
「中でも、ツヨシくんはトッププレイヤーと遜色がないくらいなの。いつ上位勢と接触してもおかしくないわ」
実際、上位勢がテイマーをスカウトする状況が起きているという。ほとんどは、失敗に終わっているみたいだけど。
「だからオレたちが先手を打って、ツヨシたちを保護したってわけさ。といっても、助けてもらった恩があるから、お前さんを信用しているんだ」
センディさんとコルタナさんが来たのは、ボクが運を引き寄せたからだったみたいだね。さらにメイヴィス姫がいれば、上位勢だってボクに声をかけづらくなる。
「とはいえ、サマーヘイズ王国は、モンスターを操るテイマーを危険視しているわ」
サマーヘイズは、「モンスターが簡単に人間のいうことを聞くとは考えにくい」という。なんらかの方法で、街へ出ようとしているのではと。
「ボクはお買い物だって、ギルドの管轄内で行います。いたずらに監視の外へ出ようなんて、考えていません」
といっても、当時はお金がなかったから、ギルドの範囲内にしか住めなかったわけだけど。
「あたしの目的は、ワラビちゃんが危なくない魔物だと、父上に証明するためよ」
「そうだったんですね。ありがとうございます」
「礼には及ばないわ。当然のことをしているまでよ。だって、かわいそうだわ! せっかくツヨシから命をもらったのに、引き離されちゃうなんて!」
そういう事態に、なるところだったのか。
「ワラビちゃんは、こんなにかわいいのよ!」
揉みしだくような勢いで、メイヴィス姫はワラビをプニプニした。
「もうこの感触は、国宝級だわよ。冒険になんて出さず、ウチの近所の草原で毎日お散歩したいくらいだわ!」
『自重せよ、姫』
コンラッドがカレーを食べる手を止めて、姫をワラビから引きはがす。
「放しなさいコンラッド。もう落ち着いたわ」
『信用できぬ』
「あたしだって、サモナーよ! モンスターとの距離感くらい、つかめるわ!」
『掴んでおらぬぞ、姫よ』
「きっとワラビちゃんには、天然チャームの魔法でも放っているのよ」
『そんな魔法など、ありはせぬ。カレーでも食って落ち着け』
姫はコンラッドにカレーを食べさせられて、着席する。
「ツヨシだって、そう思うでしょ? ワラビちゃんが、人を襲うようなモンスターじゃないって」
「ええ。まあ、そうですね」
ボクは、ワラビを撫でた。
「もし、本当にワラビが悪党だったら、保護した段階でボクを食べていると思うんですよね」
たとえ最弱なボクでも、新鮮な人間の肉だ。腹くらいは膨れるだろう。そこからもっと強い魔物や冒険者を喰らえばいい。
一緒にオフロに入って、水分も補給していた。だから、ボクが無防備なところを捕食したってよかったはずだ。寝込みを襲ってもいい。でも、ワラビはしなかった。彼女がしたことといえば、老廃物の除去くらいである。
十分に強くなって食べるのかな、とも、一瞬考えた。しかし、魔物の強さは使い手と連動している。テイマーが強くなるほど、モンスターも同じくらい強くなっていく。だったら、テイマーと共に強くなるほうが効率がいい。
「モンスターがテイマーを食べる理由なんて、ないんです」
ボクは、ワラビを自分のお腹にもたれさせる。
ワラビはプルンと身体を揺らして、くつろぎはじめた。
「それだけわかれば、十分だわ。父上に進言してみましょ」
「お願いします」
メイヴィス王女は、またスマホを取り出してボクの家で配信を始める。ボクが語ったことを、国民に伝えた。
「えっと、『テイマーは今でも、監視対象なのでしょうか?』と。送信」
ボクの動画は、ギルドの受付お姉さんが見ているはず。なので、コメントで質問してみた。
返信が来ている。
『あいにくですが。PS.ワラビちゃんすこ』
やっぱり、監視の目はまだ残っているのか。
これはもう、自分でワラビの無害を証明するしかないね。
「もう夜も遅いわ。でもせっかく配信しているんだし。ワラビちゃん、子どもがぐっすり眠れる安眠体操を一緒に踊りましょう」
「いいですね。ではお子様がた、良い夢を」
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