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第六章 天空の住人と対話

第35話 天空城へ

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 ボクたちは世界樹をよじ登り、空へと向かう。
 ツタに伸びた葉っぱのエレベーターを使って、果てしない旅へ。

『ジャックと豆の木』みたいだなと思いつつ。

「どうしたの、コーキ? 笑っているみたいだけど?」

「いやね、ボクいた世界にある絵本に、こんな状況と近いお話があるんだ」

「たしかに、珍しいよね。本に乗っていても、おかしくないかも」

 パロンが、うんうんとうなずく。

 まあ、ツタが勝手に移動してくれはしなかったけど。

「うえええ。こんな上空まで登るのかよ」

 ナップルが、ツタにしがみついていた。

「どうした、ナップル? 高いところが怖いか」

「ヴェリシモは、よく平気だよな! あたしらは地下がホームグラウンドだ。高いトコに耐性はねえんだよ!」

 まあ、葉っぱには強度もある。よほどのことがない限り、落ちはしないだろう。

「見て、コーキ! 別の世界樹だ!」

 遠くの方角を、パロンが指差す。
 こちらに負けないくらいの大樹が、複雑に渦を巻いている。他の木と融合しているのか。

「ホントだ。峡谷にいたトレントだよね?」

 クトーニアンという邪教集団のせいで、峡谷のダム貯水池に閉じ込められていた。人為的に天候を操る装置の素体にされて。
 ボクたちが、脱走を手伝ってあげた。
 もう、あんなにも大きくなっていたのか。随分と、立派になって。
 すさまじい魔力を感じる。あれくらいの規模になれば、もうクトーニアンの嫌がらせを受けないだろう。周囲も自然に囲まれ、森と化していた。川まで流れている。パロンたちの住んでいた、シドの森と同規模なのでは?

「うむ。世界樹が命を分け与え、鳥も動物も戻っておるようじゃ」

 パロンの肩に載っているクコが、アゴに手を当てた。

 トレントが枝を伸ばし、手を振ってくる。こちらに気づいたようだ。
 ボクたちも、手を振り返す。

 雲の中に入ると、天候が変わってきた。

「いよいよじゃ。天空の島は近いぞな」

 クコが、警戒をする。

「でもさ、座標的に合ってるのかな?」

 もし別の場所に島があったら、無駄骨だけど。

「ご心配なく。島はたいそう巨大なので、多少座標がズレていても上陸はできますよ」

 メタルスライムのピオナが、ボクの肩に乗ってそう教えてくれた。ちなみに、ピオナの本体は村でお留守番だ。このツタのコントロールをしてくれている。

「見えてきました」

 雲がバッと晴れると、大陸が見えてきた。

「あれが、天空の島」

「大陸をそのまま切り取ったみたいだね」

「これ、あれだね。うちの湖の形に似ていない?」

 あの湖は、えぐれたような感じになっている。
 もしかすると、ウチの領地から脱出したのかな?
 ツタが、大陸に到着した。特に、攻撃される気配もない。

「まさか、住人が全滅したなんてないよね?

「大丈夫だよ、コーキ。人の気配はするから」
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