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第六章 最後の闘いです!

第90話 将軍を倒します!

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 向こう岸まで行っていたソランジュが、リッコの近くまで引き返してくる。

「バカかリッコ! 丸腰でグシオンと戦うなんて! いくらキミが強くても敵うわけが」

「黙ってろですっ!」
 ヒートアップし、リッコはソランジュを恫喝した。

「このおじさんを止めるには、わたしが勝つしかない。あなたが勝つんじゃダメなんです。敗北してもまた化けて出てきちゃいますよ! 武術が負けたんじゃないって言い訳しちゃいますから!」

 リッコには、グシオンの心境を理解できる。

 彼も、ひとりぼっちなのだ。
 配下に囲まれていても、バカにされている。
 誰も味方がいない。

 その環境が彼を歪ませ、狂わせている。

 リッコもデタラメに鍛えられ、親友にさえ避けられた。

 自分もずっと一人だったら、自暴自棄になって、すべてを壊す選択肢を取っていたかもしれない。

 だからといって、グシオンの行動には納得できなかった。

 リッコを支えてくれたのは、仲間だ。
 自分一人でどれだけ強くなっても、結局は自己満足である。
 それ以上は上に行けない。

「バカにしおって、小娘が!」

 憎悪に満ちた真一文字斬りが、リッコに襲いかかる。

 だが、リッコは怯まない。相手の懐に飛び込む。

「リッコ!」
 ソランジュが叫ぶ。

 リッコは、相手が振るう両の上腕を握りつぶした。
 グシオンの両腕が、ダラリと垂れ下がる。

「あなたの上腕を砕きました。骨だって白いでしょ?」
「なんと、面妖な!」

 なおもグシオンは、折れた腕を振り回す。
 だが、手から刀が抜けた。
 腕が遠心力に耐えられなかったのだ。

「まだまだぁ! その首もらい受ける!」
 なんと、グシオンは柄をかじった。
 口にくわえた刀を、リッコに向けて振り下ろしてくる。

「なんという執念でしょう。そのおぞましいまでの闘志に、わたしも応えます!」

 負傷しても攻めてくる姿勢はあっぱれと言わざるを得ない。
 その姿に、リッコも応えた。

 側転をして、リッコは地面に置いたヒーター・シールドを足で拾う。

「シールドぉ、キーック!」

 足にシールドを填めて、逆立ちの状態になり、渾身のハイキックを放った。

 シールドが、激しく刀とぶつかり合い、刀身を砕く。その勢いのまま、蹴りがグシオンのアゴにめり込んだ。

 首の骨が折れる感触を、リッコは確かに聞いた。

 グシオンの巨体が、激しい音を立てて地面に倒れる。

「はあ、はあ!」
 息を整えながら、リッコは立ち上がった。

 生気を失ったグシオンの口から、虹色の魔力が漏れ出す。

「離れろリッコ、まだあいつが!」
 ソランジュが叫び声を上げる。
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