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第五章 敵の総大将が動き出しました!
第65話 秘宝じゃないんですか!?
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マセッティの屋敷に戻ってきた。
念のため、鑑定役としてジョーイを伴っている。
「ご迷惑をおかけしました」
到着するや、マセッティがリッコたちをねぎらった。
「秘宝を見つけてやったぞ。これがそうだ」
ソランジュが、約束の品をマセッティに献上する。
「はあ、そうですか」
せっかく秘宝が手に入ったというのに、リアクションが妙に薄い。
リッコの勘は当たった。やはり、何かあるらしい。
「間違いないニャ! ワイたちは大金持ちニャ! オヤジも浮かばれるニャーッ!」
バンザイをしながら、チヨメが喜ぶ。
「よかったですね、ソランジュさん。これで、お友だちの説を証明できます」
「ああ、そうだな」
しかし、その言葉に待ったをかけた人物が。
「ん? それ、秘宝じゃないです」
ジョーイである。
「どういうことだ? 秘宝ではないのか?」
「伝承の秘宝ってのは、そんなんじゃないんです。もっと分かりやすい。ですよね、領主様?」
マセッティが、ジョーイの質問に首肯した。
「はい。こちらの方の仰るとおりです」
「では、これはなんなのだ?」
「これは。クテイの財宝を示すカギです」
クテイの財宝は二重の仕掛けになっており、最初にカギを手に入れる必要がある。
この宝石は、秘宝ではなくカギの方なのだ。
「これだけでも、一生遊んで暮らせるくらいの価値はあるんですけど、ホンモノの財宝は、もっと貴重なんだとか」
その価値までは、さすがのジョーイにも計り知れないという。
「では、本物の財宝というのは?」
「『賢者の石』と呼ばれるモノです」
世界のありとあらゆる叡智を貯蔵した石が、クテイの宝だそうだ。
その力があれば、世界を救うことも、滅ぼすことも容易だろうとのこと。
「ありえない!」
ソランジュがたちまち、不機嫌になる。
「そんな代物は存在しない。これまで幾多の錬金術師が作成した。人類誕生の時からな。だが、どれも失敗作だった。私だって、この目で見たんだぞ」
ソランジュは、賢者の石の存在を否定する。
自身が「賢者の石」の意味を持つ、朱砂《すさ》の名を冠するというのに。
「でも、クテイの文献によると、賢者の石は存在していたそうですよ」
ジョーイは反論した。ソランジュに、クテイの歴史書を見せる。
「私が生まれる前から、賢者の石は存在し、彼の地に眠っているだと? 考えられない。その文献が真実なら、魔王などとっくに滅びているはず」
「ですから、作った本人は、自分が魔王どもの親分になっちゃったんですってば。魔王がこれ以上悪さをしないように、地下深く封じたと」
「だったら、今すぐ掘り起こそうではないか。先を急ぐぞ」
ソランジュの機嫌が悪い。
念のため、鑑定役としてジョーイを伴っている。
「ご迷惑をおかけしました」
到着するや、マセッティがリッコたちをねぎらった。
「秘宝を見つけてやったぞ。これがそうだ」
ソランジュが、約束の品をマセッティに献上する。
「はあ、そうですか」
せっかく秘宝が手に入ったというのに、リアクションが妙に薄い。
リッコの勘は当たった。やはり、何かあるらしい。
「間違いないニャ! ワイたちは大金持ちニャ! オヤジも浮かばれるニャーッ!」
バンザイをしながら、チヨメが喜ぶ。
「よかったですね、ソランジュさん。これで、お友だちの説を証明できます」
「ああ、そうだな」
しかし、その言葉に待ったをかけた人物が。
「ん? それ、秘宝じゃないです」
ジョーイである。
「どういうことだ? 秘宝ではないのか?」
「伝承の秘宝ってのは、そんなんじゃないんです。もっと分かりやすい。ですよね、領主様?」
マセッティが、ジョーイの質問に首肯した。
「はい。こちらの方の仰るとおりです」
「では、これはなんなのだ?」
「これは。クテイの財宝を示すカギです」
クテイの財宝は二重の仕掛けになっており、最初にカギを手に入れる必要がある。
この宝石は、秘宝ではなくカギの方なのだ。
「これだけでも、一生遊んで暮らせるくらいの価値はあるんですけど、ホンモノの財宝は、もっと貴重なんだとか」
その価値までは、さすがのジョーイにも計り知れないという。
「では、本物の財宝というのは?」
「『賢者の石』と呼ばれるモノです」
世界のありとあらゆる叡智を貯蔵した石が、クテイの宝だそうだ。
その力があれば、世界を救うことも、滅ぼすことも容易だろうとのこと。
「ありえない!」
ソランジュがたちまち、不機嫌になる。
「そんな代物は存在しない。これまで幾多の錬金術師が作成した。人類誕生の時からな。だが、どれも失敗作だった。私だって、この目で見たんだぞ」
ソランジュは、賢者の石の存在を否定する。
自身が「賢者の石」の意味を持つ、朱砂《すさ》の名を冠するというのに。
「でも、クテイの文献によると、賢者の石は存在していたそうですよ」
ジョーイは反論した。ソランジュに、クテイの歴史書を見せる。
「私が生まれる前から、賢者の石は存在し、彼の地に眠っているだと? 考えられない。その文献が真実なら、魔王などとっくに滅びているはず」
「ですから、作った本人は、自分が魔王どもの親分になっちゃったんですってば。魔王がこれ以上悪さをしないように、地下深く封じたと」
「だったら、今すぐ掘り起こそうではないか。先を急ぐぞ」
ソランジュの機嫌が悪い。
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