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第三章 お友だちって、いいものですね!
第46話 亡き友の夢を見た
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久しぶりに、ソランジュは友の夢を見ている。
「これが化石だと?」
ソランジュは、コジモに恐竜の骨を見せてもらった。オレンジがかった虹色に輝いている。
「そうよ。キエフの谷底から発見されたの。長い年月を掛けて、骨の成分が魔力と入れ替わったの。通称、キエフオパール」
活き活きとした声で、コジモは語った。とても、一年後に死ぬ女だとは思えない。こんな貧相な少女に、ソランジュは何度も苦杯をなめさせられた。肉弾戦なら自信があったが、彼女のゴーレム技術には舌を巻く。
「貝殻のオパール化は、聞いたことがある。特にキエフのオパールは魔力が流れ込んでいる。オレンジ色の強い虹色に輝くのが特徴だ。魔法の材料にも使われるな」
神秘はそれだけではない。
銀は、星の爆発によってのみ作られるという。それが他の鉱石と組み合わさって、新たな星が生まれる。銀が取れるのは、かつて星が死んだ証なのだと。
「魔法が使えればそれでいいと、思っていたが」
「もっと宝石や鉱物の構造を知れば、より魔法に役立つと思うわ」
星が自分で爆発すること自体知らなかったソランジュは、興味深く話を聞いていた。半分はよく分からなかったが。銀なんて、貨幣や魔法の触媒でしか扱わない。成分なんて、意識したことなどなかった。
「いずれ太陽も寿命が来て、爆発するのか?」
ベッド脇に腰掛け、横になっているコジモに語る。
「するわよ。でも、何億年も先の話だけど」
本を閉じて、コジモがこちらに微笑みかけた。
「あなたの赤い服と同じ、真っ赤な水銀もあるのよ。朱砂っていうの。別名『賢者の石』とも言われているわ」
朱砂《すさ》は古来、錬金術の生成に用いられたパワーストーンだという。
「わたしはね、賢者の石を見つけるのが夢なの。それがあれば、わたしの病気も治るかも知れないでしょ? 人類の叡智が詰まっているんですもの!」
ソランジュは、コジモの笑顔の意味が分かってしまった。
コジモの言葉に、何も返せない。
「そうだ、ソランジュ・オルセン。わたしは今日からあなたを『ソル』と呼ぶわ」
真っ赤に光る夕日を見ながら、コジモはソランジュに言う。
「ソルだと?」
ソランジュを縮めて呼んだだけだが。
「クテイで『太陽』って意味よ。あなたはわたしの赤い太陽。わたしの知らない世界を聞かせてくれる。お話の後は、夜の世界へと帰って行く。夕日のように」
どのように返答したかなんて、覚えていない。
しかし、はじめてあだ名で呼ばれても、悪い気はしなかった。
「よろしくね、ソル」
「これが化石だと?」
ソランジュは、コジモに恐竜の骨を見せてもらった。オレンジがかった虹色に輝いている。
「そうよ。キエフの谷底から発見されたの。長い年月を掛けて、骨の成分が魔力と入れ替わったの。通称、キエフオパール」
活き活きとした声で、コジモは語った。とても、一年後に死ぬ女だとは思えない。こんな貧相な少女に、ソランジュは何度も苦杯をなめさせられた。肉弾戦なら自信があったが、彼女のゴーレム技術には舌を巻く。
「貝殻のオパール化は、聞いたことがある。特にキエフのオパールは魔力が流れ込んでいる。オレンジ色の強い虹色に輝くのが特徴だ。魔法の材料にも使われるな」
神秘はそれだけではない。
銀は、星の爆発によってのみ作られるという。それが他の鉱石と組み合わさって、新たな星が生まれる。銀が取れるのは、かつて星が死んだ証なのだと。
「魔法が使えればそれでいいと、思っていたが」
「もっと宝石や鉱物の構造を知れば、より魔法に役立つと思うわ」
星が自分で爆発すること自体知らなかったソランジュは、興味深く話を聞いていた。半分はよく分からなかったが。銀なんて、貨幣や魔法の触媒でしか扱わない。成分なんて、意識したことなどなかった。
「いずれ太陽も寿命が来て、爆発するのか?」
ベッド脇に腰掛け、横になっているコジモに語る。
「するわよ。でも、何億年も先の話だけど」
本を閉じて、コジモがこちらに微笑みかけた。
「あなたの赤い服と同じ、真っ赤な水銀もあるのよ。朱砂っていうの。別名『賢者の石』とも言われているわ」
朱砂《すさ》は古来、錬金術の生成に用いられたパワーストーンだという。
「わたしはね、賢者の石を見つけるのが夢なの。それがあれば、わたしの病気も治るかも知れないでしょ? 人類の叡智が詰まっているんですもの!」
ソランジュは、コジモの笑顔の意味が分かってしまった。
コジモの言葉に、何も返せない。
「そうだ、ソランジュ・オルセン。わたしは今日からあなたを『ソル』と呼ぶわ」
真っ赤に光る夕日を見ながら、コジモはソランジュに言う。
「ソルだと?」
ソランジュを縮めて呼んだだけだが。
「クテイで『太陽』って意味よ。あなたはわたしの赤い太陽。わたしの知らない世界を聞かせてくれる。お話の後は、夜の世界へと帰って行く。夕日のように」
どのように返答したかなんて、覚えていない。
しかし、はじめてあだ名で呼ばれても、悪い気はしなかった。
「よろしくね、ソル」
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