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第三章 お友だちって、いいものですね!
第45話 初対面じゃありませんでした!
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「ニンジャの感覚を侮るではないニャ」
「嘘をつけ」
フッと、ソランジュが鼻で笑う。
「私がお前の正体に気づかないとでも? ヒゲ」
「ヒゲ?」
リッコには、話の筋がサッパリ分からない。
「水くさいぞ。ヒゲの冒険者に化けて、私に近づくとは」
「えっ!? あの冒険者さんって、チヨメさんだったんですか?」
「ああ。お前さんはバレていないと思っているようだが、放つ匂いが毎回、同じ獣人のものだったぞ」
「なぁんだ、オレの正体に気づいてやがったのか」
急に、ヒゲの冒険者と同じ声が、チヨメのノドから発せられた。
「ニャんてね」
すぐに、元のチヨメ声に戻ったが。
「それじゃあ、ソランジュさんに近づいていた冒険者たちっていうのは?」
「全部、彼女の変装さ。キミは手厚く治療をしてくれたようだが、チヨメだけでも、あの場は切り抜けられたのさ」
「なんだぁ。よかったあ」
リッコがホッと胸をなで下ろす。
「やっぱりこの子は、優しくていい子ニャ」
だから、ごちそうを用意して待っていたという。
「分かっていたなら、どうして見逃していたニャ、ソランジュ?」
「お前たち親子がコロコロ変装してやって来る様が面白くてな。雰囲気が変わったときがあったから、父と娘が入れ替わった辺りか?」
「そうだニャ。一〇年前になるニャ。それからは一人でも探索しようとしたんニャが、魔物の数が多くて難儀していたニャ」
地図を持っている身としては、無理に動いて地図を奪われるリスクを恐れた。
それで、強い護衛がいればと考えて、ソランジュを派遣したという。
「ところで、財宝の在処だが、道案内を頼めるか?」
「もちろんニャ。これが、預かっている地図ニャ」
チヨメは地図を地面に広げた。
「ソランジュさん、これって」
「うむ。彼女の絵だ」
地図は、ソランジュの友人である、旧クテイ姫が作成したモノに違いない。
「この地図の作製者は?」
「死んだって聞いたニャ。結構前の話ニャよ?」
ソランジュは、拳を固めている。
確かめようにも、王家に接近する術がない。領主と言えど、マセッティも王家から雇われているだけ。王家自体とツテはないだろう。
「バツ印がしてある所が、クテイの遺した宝があるって洞窟ニャ。でも、火山の底に落ちて、長い年月の間に溶岩が固まってしまったニャ。そのせいで、ブ厚い岩盤に宝は覆われてしまったそうだニャ」
岩盤を破壊したくても、魔物が周辺に棲み着いて進めないとか。財宝の放つ魔力に寄ってきたらしい。
「その魔物を討伐してくれと」
「ワイの知っている限り、魔物のボスに勝てそうな冒険者はアンタだけニャ」
他の冒険者に頼む手もある。
しかし、魔物は数が多い。
過去、多数の冒険者を派遣して返り討ちに遭ったそうだ。
その反省を生かし、少数精鋭で挑むという。
「魔物のボスも、お宝の在処が分からなくて手こずっているニャ。それが救いかニャ?」
「いいだろう。とにかく、明日はそちらへ行くぞ」
今日は一日、旅の疲れを取ることに専念する。
この日は、チヨメの家で泊めてもらった。
「嘘をつけ」
フッと、ソランジュが鼻で笑う。
「私がお前の正体に気づかないとでも? ヒゲ」
「ヒゲ?」
リッコには、話の筋がサッパリ分からない。
「水くさいぞ。ヒゲの冒険者に化けて、私に近づくとは」
「えっ!? あの冒険者さんって、チヨメさんだったんですか?」
「ああ。お前さんはバレていないと思っているようだが、放つ匂いが毎回、同じ獣人のものだったぞ」
「なぁんだ、オレの正体に気づいてやがったのか」
急に、ヒゲの冒険者と同じ声が、チヨメのノドから発せられた。
「ニャんてね」
すぐに、元のチヨメ声に戻ったが。
「それじゃあ、ソランジュさんに近づいていた冒険者たちっていうのは?」
「全部、彼女の変装さ。キミは手厚く治療をしてくれたようだが、チヨメだけでも、あの場は切り抜けられたのさ」
「なんだぁ。よかったあ」
リッコがホッと胸をなで下ろす。
「やっぱりこの子は、優しくていい子ニャ」
だから、ごちそうを用意して待っていたという。
「分かっていたなら、どうして見逃していたニャ、ソランジュ?」
「お前たち親子がコロコロ変装してやって来る様が面白くてな。雰囲気が変わったときがあったから、父と娘が入れ替わった辺りか?」
「そうだニャ。一〇年前になるニャ。それからは一人でも探索しようとしたんニャが、魔物の数が多くて難儀していたニャ」
地図を持っている身としては、無理に動いて地図を奪われるリスクを恐れた。
それで、強い護衛がいればと考えて、ソランジュを派遣したという。
「ところで、財宝の在処だが、道案内を頼めるか?」
「もちろんニャ。これが、預かっている地図ニャ」
チヨメは地図を地面に広げた。
「ソランジュさん、これって」
「うむ。彼女の絵だ」
地図は、ソランジュの友人である、旧クテイ姫が作成したモノに違いない。
「この地図の作製者は?」
「死んだって聞いたニャ。結構前の話ニャよ?」
ソランジュは、拳を固めている。
確かめようにも、王家に接近する術がない。領主と言えど、マセッティも王家から雇われているだけ。王家自体とツテはないだろう。
「バツ印がしてある所が、クテイの遺した宝があるって洞窟ニャ。でも、火山の底に落ちて、長い年月の間に溶岩が固まってしまったニャ。そのせいで、ブ厚い岩盤に宝は覆われてしまったそうだニャ」
岩盤を破壊したくても、魔物が周辺に棲み着いて進めないとか。財宝の放つ魔力に寄ってきたらしい。
「その魔物を討伐してくれと」
「ワイの知っている限り、魔物のボスに勝てそうな冒険者はアンタだけニャ」
他の冒険者に頼む手もある。
しかし、魔物は数が多い。
過去、多数の冒険者を派遣して返り討ちに遭ったそうだ。
その反省を生かし、少数精鋭で挑むという。
「魔物のボスも、お宝の在処が分からなくて手こずっているニャ。それが救いかニャ?」
「いいだろう。とにかく、明日はそちらへ行くぞ」
今日は一日、旅の疲れを取ることに専念する。
この日は、チヨメの家で泊めてもらった。
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