40 / 92
第三章 お友だちって、いいものですね!
第41話 わたしの昔話です
しおりを挟む
「私は、とある人物から魔法使いの称号を得て、そこから剣術に移行したな。大して強くはないが」
「いや十分でしょ」
そこは、ジョーイと同意見である。
「キミも一応、クラフターの称号があるだろ?」
「はい。商業ギルドに入ったので、その機会になってみました」
魔法使い系の職業と、商人系のジョブを持っていたらなれる上級職だ。アイテムの鑑定がでいるのも特徴である。
「鍛冶職人レベルが、三〇を超えているんですね?」
「ええ。マジックアイテムの生成も可能ですよ」
ソランジュの武器を見て、欠点を見抜いただけあった。
「親の跡を継ぐより、自分で商売をしたくて、頑張ったんです。独り立ちしようとしていた矢先にこのザマでして」
「ご両親が、お嫌いなんですか?」
「あんまり」
つまらなそうな顔を、ジョーイは浮かべる。
顔を合わせれば「嫁に行け」と言われ、とうとう見合いの話まで持ちかけてきたため、ウンザリして家を飛び出したという。
「親がいるだけ、わたしはうらやましいです」
リッコには、両親がいない。
「ご、ごめんなさい」
「いいんです。わたしには、家族のように慕ってくれた幼なじみ一家がいますから」
幼なじみを守りたくて、聖騎士になった。二人は納得していたつもりで。
「でも、そう思っていたのはわたしだけで。言われたんです。『守られてばかりはイヤだ』って」
リッコは幼なじみと袂を分かち、旅に出る。
「でもよかった。こうして幼なじみ以外にも友だちができて。女子会もできて。わたし、うれしくて」
リッコは鼻をすする。
「今日は食え、リッコ」
ソランジュがリッコの前に大皿を突き出す。
「はい。いただきます」
スプーンを掴み、リッコは料理をバクバクと平らげた。
「リッコさん、ありがとう」
「何がです?」
「よく考えたら、あたしをここまで育ててくれたのって、親だったなと」
両親の存在があったからこそ、今の自分があるのだ。それがようやく分かったと、ジョーイは語った。
同じことを、リッコも思う。
我が子を愛していなければ、レベル三〇まで面倒なんて見ないはずだ。
「今まで、親ってわずらわしいだけだなって思っていたんですけど、超えればいいんですよね?」
「その意気です」
リッコの隣でうなずきながら、ソランジュがワインを傾けた。
「私なんて、親がいないどころか、育った村さえ追放されたからな。キミは恵まれている方だぞ。一人で生きていく辛さは、私も分かる。キミは強いよ、ジョーイ」
「ありがとうございます、ソランジュさん」
「いや十分でしょ」
そこは、ジョーイと同意見である。
「キミも一応、クラフターの称号があるだろ?」
「はい。商業ギルドに入ったので、その機会になってみました」
魔法使い系の職業と、商人系のジョブを持っていたらなれる上級職だ。アイテムの鑑定がでいるのも特徴である。
「鍛冶職人レベルが、三〇を超えているんですね?」
「ええ。マジックアイテムの生成も可能ですよ」
ソランジュの武器を見て、欠点を見抜いただけあった。
「親の跡を継ぐより、自分で商売をしたくて、頑張ったんです。独り立ちしようとしていた矢先にこのザマでして」
「ご両親が、お嫌いなんですか?」
「あんまり」
つまらなそうな顔を、ジョーイは浮かべる。
顔を合わせれば「嫁に行け」と言われ、とうとう見合いの話まで持ちかけてきたため、ウンザリして家を飛び出したという。
「親がいるだけ、わたしはうらやましいです」
リッコには、両親がいない。
「ご、ごめんなさい」
「いいんです。わたしには、家族のように慕ってくれた幼なじみ一家がいますから」
幼なじみを守りたくて、聖騎士になった。二人は納得していたつもりで。
「でも、そう思っていたのはわたしだけで。言われたんです。『守られてばかりはイヤだ』って」
リッコは幼なじみと袂を分かち、旅に出る。
「でもよかった。こうして幼なじみ以外にも友だちができて。女子会もできて。わたし、うれしくて」
リッコは鼻をすする。
「今日は食え、リッコ」
ソランジュがリッコの前に大皿を突き出す。
「はい。いただきます」
スプーンを掴み、リッコは料理をバクバクと平らげた。
「リッコさん、ありがとう」
「何がです?」
「よく考えたら、あたしをここまで育ててくれたのって、親だったなと」
両親の存在があったからこそ、今の自分があるのだ。それがようやく分かったと、ジョーイは語った。
同じことを、リッコも思う。
我が子を愛していなければ、レベル三〇まで面倒なんて見ないはずだ。
「今まで、親ってわずらわしいだけだなって思っていたんですけど、超えればいいんですよね?」
「その意気です」
リッコの隣でうなずきながら、ソランジュがワインを傾けた。
「私なんて、親がいないどころか、育った村さえ追放されたからな。キミは恵まれている方だぞ。一人で生きていく辛さは、私も分かる。キミは強いよ、ジョーイ」
「ありがとうございます、ソランジュさん」
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
淫らなお姫様とイケメン騎士達のエロスな夜伽物語
瀬能なつ
恋愛
17才になった皇女サーシャは、国のしきたりに従い、6人の騎士たちを従えて、遥か彼方の霊峰へと旅立ちます。
長い道中、姫を警護する騎士たちの体力を回復する方法は、ズバリ、キスとH!
途中、魔物に襲われたり、姫の寵愛を競い合う騎士たちの様々な恋の駆け引きもあったりと、お姫様の旅はなかなか困難なのです?!
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
異世界楽々通販サバイバル
shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。
近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。
そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。
そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。
しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。
「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる