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第二章 魔女さんと二人旅なのに、トラブル続出ですか!?
第23話 研究所に入ります。
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背の高い門をくぐり、クテイ領オネスの街に入る。
「すごい、これがクテイ領、オネスの街ですか」
黄金を使っているワケではないのに、どこもかしこも煌びやかだ。「かがく」のもたらす光だろう。
見所はなんといっても、大聖堂だ。
天井には巨大な十字架が、街を見守るようにそびえ立っていた。
科学を愛しているが故に、神をないがしろにしない。
魔術が科学と共存できる社会を目指しているという。
「外灯の美しさは、ワーンス以上だな」
ワーンスは、良くも悪くも平凡な街だ。
「で、これからどこへ?」
「研究所だ。そこに依頼者がいる」
先に、盗賊をギルドに引き渡す。場所を教わって、研究所に。
場違いなまでに近代的な建物が、目の前にあった。
「うわ、すごい。図書館より大きいですね」
「ここが、クテイの英知が詰まった錬金術研究所だよ」
中に入ると、壁画の女性が頭を下げてくる。
ソランジュが、驚いた顔をした。
「絵が動いてますよ」
「魔法で作動する仕組みだね。原理を聞かれても分からないが」
すぐに、ソランジュは優しい顔になる。
建物内部は、研究所というより美術館や博覧会に近い。
見たこともないアイテムに、リッコは目を奪われる。
「お気に召しましたでしょうか?」
二〇代後半くらいの紳士が、こちらに歩いてきた。
「ようこそ、おいでくださいました。魔女ソランジュ様」
若き紳士は、胸の前で手を重ねる。クテイ流の挨拶らしい。
「わたくしはフィナンシェ・マセッティと申します。クテイ領オネスの領主で、ここの支配人でございます」
「見ただけで、私が魔女だと分かったのか?」
「さる人物から、あなたの特徴は聞き及んでおります」
「ああ、『一本松』にも依頼していたのか」
ソランジュが、指を慣らす。
「えっと、ソランジュさん、一本松とは?」
「ギルドの名前さ。ハンターとして優秀なんだ」
少数精鋭のギルドで、マセッティ直属の依頼を受けているらしい。
「こちらの可愛らしいお連れ様は?」
マセッティが、心地よい笑みをこちらに向けてきた。
「彼女は私の……」
「友達です。名前はリッコ・タテバヤシと言います」
先手を取られてか、ソランジュが口を真一文字に結ぶ。
「これはこれは。一匹狼のソランジュ様に、お友達がいらっしゃったとは。リッコ様、クテイは住み心地のよい場所です。ぜひご堪能を」
「ありがとうございます。それで、依頼というのは?」
「左様でした。こちらへ」
リッコたちは、別室に案内された。
「彼女も同席していいかな? 友達とは言わんが、パーティは組んでいるんだ」
「はい。照れなくとも心得ております」
またしてもソランジュが、「むむう」とうなる。
「すごい、これがクテイ領、オネスの街ですか」
黄金を使っているワケではないのに、どこもかしこも煌びやかだ。「かがく」のもたらす光だろう。
見所はなんといっても、大聖堂だ。
天井には巨大な十字架が、街を見守るようにそびえ立っていた。
科学を愛しているが故に、神をないがしろにしない。
魔術が科学と共存できる社会を目指しているという。
「外灯の美しさは、ワーンス以上だな」
ワーンスは、良くも悪くも平凡な街だ。
「で、これからどこへ?」
「研究所だ。そこに依頼者がいる」
先に、盗賊をギルドに引き渡す。場所を教わって、研究所に。
場違いなまでに近代的な建物が、目の前にあった。
「うわ、すごい。図書館より大きいですね」
「ここが、クテイの英知が詰まった錬金術研究所だよ」
中に入ると、壁画の女性が頭を下げてくる。
ソランジュが、驚いた顔をした。
「絵が動いてますよ」
「魔法で作動する仕組みだね。原理を聞かれても分からないが」
すぐに、ソランジュは優しい顔になる。
建物内部は、研究所というより美術館や博覧会に近い。
見たこともないアイテムに、リッコは目を奪われる。
「お気に召しましたでしょうか?」
二〇代後半くらいの紳士が、こちらに歩いてきた。
「ようこそ、おいでくださいました。魔女ソランジュ様」
若き紳士は、胸の前で手を重ねる。クテイ流の挨拶らしい。
「わたくしはフィナンシェ・マセッティと申します。クテイ領オネスの領主で、ここの支配人でございます」
「見ただけで、私が魔女だと分かったのか?」
「さる人物から、あなたの特徴は聞き及んでおります」
「ああ、『一本松』にも依頼していたのか」
ソランジュが、指を慣らす。
「えっと、ソランジュさん、一本松とは?」
「ギルドの名前さ。ハンターとして優秀なんだ」
少数精鋭のギルドで、マセッティ直属の依頼を受けているらしい。
「こちらの可愛らしいお連れ様は?」
マセッティが、心地よい笑みをこちらに向けてきた。
「彼女は私の……」
「友達です。名前はリッコ・タテバヤシと言います」
先手を取られてか、ソランジュが口を真一文字に結ぶ。
「これはこれは。一匹狼のソランジュ様に、お友達がいらっしゃったとは。リッコ様、クテイは住み心地のよい場所です。ぜひご堪能を」
「ありがとうございます。それで、依頼というのは?」
「左様でした。こちらへ」
リッコたちは、別室に案内された。
「彼女も同席していいかな? 友達とは言わんが、パーティは組んでいるんだ」
「はい。照れなくとも心得ております」
またしてもソランジュが、「むむう」とうなる。
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