5 / 92
第一章 ボッチ聖騎士です。魔女さん、友達になりませんか?
第5話 魔女さんのお部屋です!
しおりを挟む
「あ、あの決して、この子をいじめていたわけでは」
わたしはなんとか弁解しようとしてみたが、通じるかどうか。
「見れば分かるよ。ウチの使い魔が何か無礼を働いたようだな。詫びに茶をもてなそう。こちらへ」
館の中へ、入れてもらう。
魔女の部屋は、紅かった。名前に相応しく。身につけているガウンも、その下につけたネグリジェも。髪が銀で、目は金色だが。
「先ほどはありがとう。魔族から追われている身でね、ペットの召喚獣に番をさせていたんだが、ペットの方がやられてしまって」
ガウンを脱ぎ、ソランジュさんが白いオオカミを撫でる。
「もう大丈夫だとは思うが、念のために薬を飲ませておくか」
胸から出した瓶のフタを開けて、ソランジュさんはオオカミに中身を飲ませた。
『朱砂の魔女《ソーマタージ・オブ・シナバー》』の名は、衣装だけに留まらない。壁も所々紅い品々が揃っている。
ベッドのシーツまで、真紅で統一されていた。
けれど血のような不快感はしない。紅葉した山のような、温かみがあった。炎か太陽を集めているような気もする。
「口に合うかは知らんが、どうぞ」
紅き魔女から、紅茶とお茶菓子をもらった。魔女はリラックスしているのか、ローブを脱いでいる。警戒心を解いたのか、リッコと同性だからか。
「ありがとうございます。ソランジュさん? 魔女さん?」
わたしの心を読み取ったかのように、ソランジュさんはクスリと笑った。
「改めて。私はソランジュ・オルセンだ。キミら人間からは、朱砂の魔女と呼ばれている。この子は、使い魔のイグルー」
銀の髪と尖った耳は、ダークエルフの特徴だ。
ソランジュはイスに腰掛けた。それでやっと、立ったわたしと同じ目線になる。
それだけ背が高いというべきか、わたしの背が低すぎるのか。
胸のサイズも、規格外と呼んでもいい。
わたしも、トランジスタグラマーと呼べるけど。
「キミは?」
「リッコ・タテバヤシといいます」
わたしは、アーマーのカブトを取った。
「へえ。キミが」と、魔女のソランジュさんはわたしを知っているかのような口ぶりでひとりごつ。
「カワイイ顔をしているな」
そんなこと、言われたことない。ショートカットなので、あまり女の子らしくないとはよく言われるが。
「おおおお戯れを。では、いただきます」
紅茶をもらい、一息つく。だが、心底からくつろげていない。お茶菓子のクッキーは、多少薬草クサいが、慣れるとイイカンジに美味である。
「ハーブを練り込んであるんだ」
「ははあ、それで独特の香りがするんですね?」
「キミのようなカワイイ女性が来てくれると分かっていたら、媚薬を入れていたかもな」
イタズラっぽく、ソランジュさんは目を細めた。
「冗談だよ。キミが、イグルを助けてくれたようだね。ありがとう」
薄い褐色の手で、ソランジュさんはオオカミの背を撫でる。
「どういたしまして。イグルちゃんっていうんですね」
イグルは、わたしの足に首をこすりつけた。
「おお、イグルがここまで人に懐くなんてね。さっきのヒゲなんて、ずっと吠えられっぱなしだったのに」
「ああ、そうでした。あのおヒゲの商人さんから、頼まれていたんです!」
アイテムボックスから、おじさんに頼まれた小包みを取り出す。
わたしはなんとか弁解しようとしてみたが、通じるかどうか。
「見れば分かるよ。ウチの使い魔が何か無礼を働いたようだな。詫びに茶をもてなそう。こちらへ」
館の中へ、入れてもらう。
魔女の部屋は、紅かった。名前に相応しく。身につけているガウンも、その下につけたネグリジェも。髪が銀で、目は金色だが。
「先ほどはありがとう。魔族から追われている身でね、ペットの召喚獣に番をさせていたんだが、ペットの方がやられてしまって」
ガウンを脱ぎ、ソランジュさんが白いオオカミを撫でる。
「もう大丈夫だとは思うが、念のために薬を飲ませておくか」
胸から出した瓶のフタを開けて、ソランジュさんはオオカミに中身を飲ませた。
『朱砂の魔女《ソーマタージ・オブ・シナバー》』の名は、衣装だけに留まらない。壁も所々紅い品々が揃っている。
ベッドのシーツまで、真紅で統一されていた。
けれど血のような不快感はしない。紅葉した山のような、温かみがあった。炎か太陽を集めているような気もする。
「口に合うかは知らんが、どうぞ」
紅き魔女から、紅茶とお茶菓子をもらった。魔女はリラックスしているのか、ローブを脱いでいる。警戒心を解いたのか、リッコと同性だからか。
「ありがとうございます。ソランジュさん? 魔女さん?」
わたしの心を読み取ったかのように、ソランジュさんはクスリと笑った。
「改めて。私はソランジュ・オルセンだ。キミら人間からは、朱砂の魔女と呼ばれている。この子は、使い魔のイグルー」
銀の髪と尖った耳は、ダークエルフの特徴だ。
ソランジュはイスに腰掛けた。それでやっと、立ったわたしと同じ目線になる。
それだけ背が高いというべきか、わたしの背が低すぎるのか。
胸のサイズも、規格外と呼んでもいい。
わたしも、トランジスタグラマーと呼べるけど。
「キミは?」
「リッコ・タテバヤシといいます」
わたしは、アーマーのカブトを取った。
「へえ。キミが」と、魔女のソランジュさんはわたしを知っているかのような口ぶりでひとりごつ。
「カワイイ顔をしているな」
そんなこと、言われたことない。ショートカットなので、あまり女の子らしくないとはよく言われるが。
「おおおお戯れを。では、いただきます」
紅茶をもらい、一息つく。だが、心底からくつろげていない。お茶菓子のクッキーは、多少薬草クサいが、慣れるとイイカンジに美味である。
「ハーブを練り込んであるんだ」
「ははあ、それで独特の香りがするんですね?」
「キミのようなカワイイ女性が来てくれると分かっていたら、媚薬を入れていたかもな」
イタズラっぽく、ソランジュさんは目を細めた。
「冗談だよ。キミが、イグルを助けてくれたようだね。ありがとう」
薄い褐色の手で、ソランジュさんはオオカミの背を撫でる。
「どういたしまして。イグルちゃんっていうんですね」
イグルは、わたしの足に首をこすりつけた。
「おお、イグルがここまで人に懐くなんてね。さっきのヒゲなんて、ずっと吠えられっぱなしだったのに」
「ああ、そうでした。あのおヒゲの商人さんから、頼まれていたんです!」
アイテムボックスから、おじさんに頼まれた小包みを取り出す。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。
婚約破棄されたので森の奥でカフェを開いてスローライフ
あげは
ファンタジー
「私は、ユミエラとの婚約を破棄する!」
学院卒業記念パーティーで、婚約者である王太子アルフリードに突然婚約破棄された、ユミエラ・フォン・アマリリス公爵令嬢。
家族にも愛されていなかったユミエラは、王太子に婚約破棄されたことで利用価値がなくなったとされ家を勘当されてしまう。
しかし、ユミエラに特に気にした様子はなく、むしろ喜んでいた。
これまでの生活に嫌気が差していたユミエラは、元孤児で転生者の侍女ミシェルだけを連れ、その日のうちに家を出て人のいない森の奥に向かい、森の中でカフェを開くらしい。
「さあ、ミシェル! 念願のスローライフよ! 張り切っていきましょう!」
王都を出るとなぜか国を守護している神獣が待ち構えていた。
どうやら国を捨てユミエラについてくるらしい。
こうしてユミエラは、転生者と神獣という何とも不思議なお供を連れ、優雅なスローライフを楽しむのであった。
一方、ユミエラを追放し、神獣にも見捨てられた王国は、愚かな王太子のせいで混乱に陥るのだった――。
なろう・カクヨムにも投稿
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
淫らなお姫様とイケメン騎士達のエロスな夜伽物語
瀬能なつ
恋愛
17才になった皇女サーシャは、国のしきたりに従い、6人の騎士たちを従えて、遥か彼方の霊峰へと旅立ちます。
長い道中、姫を警護する騎士たちの体力を回復する方法は、ズバリ、キスとH!
途中、魔物に襲われたり、姫の寵愛を競い合う騎士たちの様々な恋の駆け引きもあったりと、お姫様の旅はなかなか困難なのです?!
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる