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第一章 ボッチ聖騎士です。魔女さん、友達になりませんか?

第5話 魔女さんのお部屋です!

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「あ、あの決して、この子をいじめていたわけでは」

 わたしはなんとか弁解しようとしてみたが、通じるかどうか。

「見れば分かるよ。ウチの使い魔が何か無礼を働いたようだな。詫びに茶をもてなそう。こちらへ」

 館の中へ、入れてもらう。

 魔女の部屋は、紅かった。名前に相応しく。身につけているガウンも、その下につけたネグリジェも。髪が銀で、目は金色だが。

「先ほどはありがとう。魔族から追われている身でね、ペットの召喚獣に番をさせていたんだが、ペットの方がやられてしまって」

 ガウンを脱ぎ、ソランジュさんが白いオオカミを撫でる。

「もう大丈夫だとは思うが、念のために薬を飲ませておくか」

 胸から出した瓶のフタを開けて、ソランジュさんはオオカミに中身を飲ませた。

『朱砂の魔女《ソーマタージ・オブ・シナバー》』の名は、衣装だけに留まらない。壁も所々紅い品々が揃っている。
 ベッドのシーツまで、真紅で統一されていた。

 けれど血のような不快感はしない。紅葉した山のような、温かみがあった。炎か太陽を集めているような気もする。

「口に合うかは知らんが、どうぞ」

 紅き魔女から、紅茶とお茶菓子をもらった。魔女はリラックスしているのか、ローブを脱いでいる。警戒心を解いたのか、リッコと同性だからか。

「ありがとうございます。ソランジュさん? 魔女さん?」

 わたしの心を読み取ったかのように、ソランジュさんはクスリと笑った。

「改めて。私はソランジュ・オルセンだ。キミら人間からは、朱砂の魔女ソーマタージ・オブ・シナバーと呼ばれている。この子は、使い魔のイグルー」

 銀の髪と尖った耳は、ダークエルフの特徴だ。

 ソランジュはイスに腰掛けた。それでやっと、立ったわたしと同じ目線になる。
 それだけ背が高いというべきか、わたしの背が低すぎるのか。
 胸のサイズも、規格外と呼んでもいい。

 わたしも、トランジスタグラマーと呼べるけど。

「キミは?」

「リッコ・タテバヤシといいます」

 わたしは、アーマーのカブトを取った。

「へえ。キミが」と、魔女のソランジュさんはわたしを知っているかのような口ぶりでひとりごつ。

「カワイイ顔をしているな」

 そんなこと、言われたことない。ショートカットなので、あまり女の子らしくないとはよく言われるが。

「おおおお戯れを。では、いただきます」

 紅茶をもらい、一息つく。だが、心底からくつろげていない。お茶菓子のクッキーは、多少薬草クサいが、慣れるとイイカンジに美味である。

「ハーブを練り込んであるんだ」

「ははあ、それで独特の香りがするんですね?」

「キミのようなカワイイ女性が来てくれると分かっていたら、媚薬を入れていたかもな」

 イタズラっぽく、ソランジュさんは目を細めた。

「冗談だよ。キミが、イグルを助けてくれたようだね。ありがとう」

 薄い褐色の手で、ソランジュさんはオオカミの背を撫でる。

「どういたしまして。イグルちゃんっていうんですね」

 イグルは、わたしの足に首をこすりつけた。

「おお、イグルがここまで人に懐くなんてね。さっきのヒゲなんて、ずっと吠えられっぱなしだったのに」

「ああ、そうでした。あのおヒゲの商人さんから、頼まれていたんです!」

 アイテムボックスから、おじさんに頼まれた小包みを取り出す。
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