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5章
誘拐④
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★悠視点
「旦那! 今日はどうしやしょう!」
「ああ、人も増えてきたし、小屋とトイレを増やすのと薪も集めないとな。寒いけど、今日も頑張ろう!」
俺がなんで陣頭指揮を取って開拓なんて行わないといけないだよ! なんて思いも当初はあったけど、話には聞いていたけどあまりにも酷い労働環境などを見かねて、動き始めたら着いてきてくれる人も増えた上に俺を攫ってきた兵士さん達も協力をしてくれている。
なんか城に集まっている偉そうな人達は嫌そうな顔をしているけど、最終的に人気取りをできるなら好きにさせろと、黒い羽の男が許可を出してくれた。あれが噂に聞く、サイゼの元カレのホストなのだろう。
ここは帝国と王国、どっちかといえば王国よりの東の端っこに位置するらしく、前哨基地としてその前に砦があって、元は帝国の要塞で王国からの攻撃を守るものではあったらしいが、それを活用しつつ新しい国家を作ろうとしている。
半強制的に毎日、元カレさんを崇める儀式があること、トイレ事情を除けは概ね満足がゆくものではある。
「賢者様、帝国から移動してきた民から、こんな植物が流れてきました。トイレの木と言うらしいです」
「トイレの木? なんだそれ」
衝撃だった。これを作った者は間違いなく天才ではないだろうか。
家に帰った後もなんなら使用したいくらいだ。かなりお高めなトイレットペーパーと比べても、俺だったら断然こっちを選択する。
開拓作業は順調とは言えないけど、種族の違いについても話せば意外にも言うことを聞いてくれて喧嘩がおさまったりはしている。これも一重に森の賢者の肩書きのおかげではあるけど。
「おい、森の賢者、城に戻れ。お前が思った以上に神の邪魔になっている」
イカつい鎧を身に纏った兵士を連れてやってきたのは、帝国の元皇子様? と太ったビクドの元神5の人? ごめん、名前とか全然覚える余裕がなくて。
「逃げないなら好きにしていていいって話だったじゃないですか」
「お前のせいで神への信仰が集まっていない。城で大人しくしていろ」
「横暴だ!」
「賢者様を害するのか!」
「煩いぞ! お前らの家族が死んでもいいのか?」
女性と子供は別の場所に隔離されており、場所も特定はでき始めているらしいと聞いた。
助けるみたいな作戦も水面化ではあるみたいとは聞いたけど、詳しい話を聞いても力になれなそうなので、お任せしますとだけ話てある。
「わかりました。とりあえず城には戻ります」
「「賢者様!」」
むさ苦しい男どもが、まるで生贄になる乙女でもみるような目で見てくる。
俺も隔離されるだけだよ、心配ないさ。
「また顔出すよ」
城に戻るとまずは謁見の間に案内される。
サイゼ様の元カレが踏ん反り返って玉座に座り、見下ろしてくる。確かに色気だけはある男だし、サイゼ様が騙されるのも少しは頷ける。
「クソが、あの小娘どもの牽制にもなるし、信仰を集める役に立つかと思ったが、余計なことをしやがって」
「そらどうもすんませんねー」
「しかしながら神よ、賢者殿が来てから生産性ややる気が上がったのは確かです。定期的に顔だけ見せさせて、神を崇めるような話をさせては如何でしょうか?」
「そうか、ではそうしろ」
ビクド出身らしい、太ったおっさんが余計な助言をしやがって。そうだ、こっそりとファミレス神の布教でもしてやろうかな。
その後については元カノ神をよいしょするような話ばかりで耳に入ってこなかった。
しばらく経ってから自室に戻ることになる。ずっと外にいたから城にの自室に戻ってくるのは久しぶりだ。しばらく風呂にも入れてなかったし、外で働いてる人には悪いけど、まったりとさせてもらうか。
自室は無駄に豪奢で実に居心地が悪い。
それにやたら可愛いらしいメイドさん達がお世話をしようとしてくれるので、気まずい。
男であれば据え膳とは言うが、ヴィのこともあるし、俺はモモやイール、可愛い娘達に軽蔑もされたくはないのだ。あとエリゼにもう殴られたくもない、首が飛ぶかと思った。
メイドさん達は追い出されてしまうと、怒られとのことで、居心地は悪いが掃除とか給餌とかの仕事をしてもらっている。お風呂だけは1人で入らせてはもらっているけど、その他にも伽にお仕事もあるらしい。
当然、紳士である俺はエリゼへの恐怖、いや、娘達から信頼から手を出すなんてことはない。
ベットは使ってもらい、床で寝ている。それでも外の小屋で寝るよりはずっと良い。俺もワイルドな生活に慣れ親しんだものだ。
いつの間にか年も明けちゃってるし、ここに来て数ヶ月経過したけど、モモ達は動いてくれてるのかな?
た、助けてくれないってことはないよね? 全くもって他力本願な自分に嫌気が差してくるよ。
俺にできることはないか? 余計なことをして、モモ達に迷惑をかけたくないし、大人しくしているのが一番か。
たまに外に出て、働いている人達と触れ合い、神が如何に素晴らしいかってことを台本通りに読み、城に帰る繰り返し。
なんでも信仰が集まらなくて、ぐちぐち言われるが俺が知ったことではない。台本通りにやってるし。
でも話には感動しているのか、参加したむさ苦しい男連中は泣いたりしてるけどな?
「賢者様、御労しい。我々を守るために邪神の代弁者に……」
うん、いい感じに勘違いしてくれてる。
もうすぐ春になる。早く家に帰りたいよ。
あー、あー、ヴィと家族とまた会いたいなぁ。
「旦那! 今日はどうしやしょう!」
「ああ、人も増えてきたし、小屋とトイレを増やすのと薪も集めないとな。寒いけど、今日も頑張ろう!」
俺がなんで陣頭指揮を取って開拓なんて行わないといけないだよ! なんて思いも当初はあったけど、話には聞いていたけどあまりにも酷い労働環境などを見かねて、動き始めたら着いてきてくれる人も増えた上に俺を攫ってきた兵士さん達も協力をしてくれている。
なんか城に集まっている偉そうな人達は嫌そうな顔をしているけど、最終的に人気取りをできるなら好きにさせろと、黒い羽の男が許可を出してくれた。あれが噂に聞く、サイゼの元カレのホストなのだろう。
ここは帝国と王国、どっちかといえば王国よりの東の端っこに位置するらしく、前哨基地としてその前に砦があって、元は帝国の要塞で王国からの攻撃を守るものではあったらしいが、それを活用しつつ新しい国家を作ろうとしている。
半強制的に毎日、元カレさんを崇める儀式があること、トイレ事情を除けは概ね満足がゆくものではある。
「賢者様、帝国から移動してきた民から、こんな植物が流れてきました。トイレの木と言うらしいです」
「トイレの木? なんだそれ」
衝撃だった。これを作った者は間違いなく天才ではないだろうか。
家に帰った後もなんなら使用したいくらいだ。かなりお高めなトイレットペーパーと比べても、俺だったら断然こっちを選択する。
開拓作業は順調とは言えないけど、種族の違いについても話せば意外にも言うことを聞いてくれて喧嘩がおさまったりはしている。これも一重に森の賢者の肩書きのおかげではあるけど。
「おい、森の賢者、城に戻れ。お前が思った以上に神の邪魔になっている」
イカつい鎧を身に纏った兵士を連れてやってきたのは、帝国の元皇子様? と太ったビクドの元神5の人? ごめん、名前とか全然覚える余裕がなくて。
「逃げないなら好きにしていていいって話だったじゃないですか」
「お前のせいで神への信仰が集まっていない。城で大人しくしていろ」
「横暴だ!」
「賢者様を害するのか!」
「煩いぞ! お前らの家族が死んでもいいのか?」
女性と子供は別の場所に隔離されており、場所も特定はでき始めているらしいと聞いた。
助けるみたいな作戦も水面化ではあるみたいとは聞いたけど、詳しい話を聞いても力になれなそうなので、お任せしますとだけ話てある。
「わかりました。とりあえず城には戻ります」
「「賢者様!」」
むさ苦しい男どもが、まるで生贄になる乙女でもみるような目で見てくる。
俺も隔離されるだけだよ、心配ないさ。
「また顔出すよ」
城に戻るとまずは謁見の間に案内される。
サイゼ様の元カレが踏ん反り返って玉座に座り、見下ろしてくる。確かに色気だけはある男だし、サイゼ様が騙されるのも少しは頷ける。
「クソが、あの小娘どもの牽制にもなるし、信仰を集める役に立つかと思ったが、余計なことをしやがって」
「そらどうもすんませんねー」
「しかしながら神よ、賢者殿が来てから生産性ややる気が上がったのは確かです。定期的に顔だけ見せさせて、神を崇めるような話をさせては如何でしょうか?」
「そうか、ではそうしろ」
ビクド出身らしい、太ったおっさんが余計な助言をしやがって。そうだ、こっそりとファミレス神の布教でもしてやろうかな。
その後については元カノ神をよいしょするような話ばかりで耳に入ってこなかった。
しばらく経ってから自室に戻ることになる。ずっと外にいたから城にの自室に戻ってくるのは久しぶりだ。しばらく風呂にも入れてなかったし、外で働いてる人には悪いけど、まったりとさせてもらうか。
自室は無駄に豪奢で実に居心地が悪い。
それにやたら可愛いらしいメイドさん達がお世話をしようとしてくれるので、気まずい。
男であれば据え膳とは言うが、ヴィのこともあるし、俺はモモやイール、可愛い娘達に軽蔑もされたくはないのだ。あとエリゼにもう殴られたくもない、首が飛ぶかと思った。
メイドさん達は追い出されてしまうと、怒られとのことで、居心地は悪いが掃除とか給餌とかの仕事をしてもらっている。お風呂だけは1人で入らせてはもらっているけど、その他にも伽にお仕事もあるらしい。
当然、紳士である俺はエリゼへの恐怖、いや、娘達から信頼から手を出すなんてことはない。
ベットは使ってもらい、床で寝ている。それでも外の小屋で寝るよりはずっと良い。俺もワイルドな生活に慣れ親しんだものだ。
いつの間にか年も明けちゃってるし、ここに来て数ヶ月経過したけど、モモ達は動いてくれてるのかな?
た、助けてくれないってことはないよね? 全くもって他力本願な自分に嫌気が差してくるよ。
俺にできることはないか? 余計なことをして、モモ達に迷惑をかけたくないし、大人しくしているのが一番か。
たまに外に出て、働いている人達と触れ合い、神が如何に素晴らしいかってことを台本通りに読み、城に帰る繰り返し。
なんでも信仰が集まらなくて、ぐちぐち言われるが俺が知ったことではない。台本通りにやってるし。
でも話には感動しているのか、参加したむさ苦しい男連中は泣いたりしてるけどな?
「賢者様、御労しい。我々を守るために邪神の代弁者に……」
うん、いい感じに勘違いしてくれてる。
もうすぐ春になる。早く家に帰りたいよ。
あー、あー、ヴィと家族とまた会いたいなぁ。
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