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5章
誘拐
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★ユウ視点
大福の姿が朝から見えない。朝ごはんだけは食べてから出ていくのに今日はどうしたのだろうか。
また来客でもあったのかなぁ。
朝食を食べて、畑と果樹園などの世話をして、お昼ご飯を食べる。なんの変哲もない1日ではる。
「寒くなってきたし、炬燵出そうか。イール隊長、炬燵を出すことはできるかな?」
「はい! 炬燵隊長、イール、設置を開始します! ライラちゃん来てー」
炬燵が大好きなイールに設置をお願いすると、押し入れから引っ張ってきた、炬燵布団と、専用のケーブルをテーブルに設置する。ライラちゃんはなんなのか理解はできていないが、隊長の指示に従って設置を手伝う。
ものの数分であっという間に炬燵の設置が完了すると、次に蜜柑とお茶が入った急須を置いて完成を宣言する。
「これはなんでしょうか? 暖房器具ですか」
イライヤさんもムースさんもドタバタしていた子供たちを見守っていたが、設置された物を不思議そうにみている。
「暖房器具ですよ。暖かくて気持ちがいいんですけど、寝るのは禁止です。体調を崩したりするのでね」
「イールが手本を見せる! まずはスイッチを入れるの、ここで一緒に温度調整ができて、あとは入るだけ! 中に潜っちゃうのもルール違反なの!」
イールの微笑ましい解説を聞いて、イライヤさん、ムースさんも炬燵に入り、良さを体験する。
とろけるような表情から、気に入ってくれたことはわかる。
まったりと皆んなで炬燵を楽しんでいると、大福が声が聞こえてくる。
なんだか怒っている?
「大福様が来てほしいって言ってる……」
イールが怯えている? 何かあったのは確かなようだ。
「子供らは外に出ないように、イライヤさんお願いできますか」
「わかりました」
力だけなら、イールの方がここにいる誰よりも強いけど、子供を守るのは大人の役目である。
ムースさんに付き合ってもらい、外に出ると大福の横に鎧姿の男と小脇には獣人の子供を抱えている。
「どちらが森の賢者様ですか?」
「俺だよ。いったいどんな要件かな」
男前の兵士ではあるが、小脇に抱えた子供に刃物を向けているのはいただけない。子供は泣いている、ただ彼も少し申し訳なさそうな顔をしているのは本意ではないということか。
「ちょっと待ってくれ、その子は、君は大地か?」
「うん、僕はダイチだよ」
「賢者殿とお知り合いなのは間違いないようですね。この子の兄弟や獣人の子供は他にも我々が人質にしています。まずはお話しを聞いていただけるように彼を離しましょう」
解放された大地を大福が咥えて連れてきてくれる。怪我などがないか確認してみたが無傷のようでよかった。
「賢者殿、我々も全員が本意ではないことは事前にわかってほしい。私も家族を人質に取られている。貴方には新しい国家を作るための旗印となってもらう。着いてきてほしい」
「着いていかないと言ったら?」
「貴方のお知り合いの子供を含めて多くの死人が出ます。私が戻らなくても死人は出ますので、お気をつけください」
「わん!」
大福は着いていくことはないと言っているんだろう。まさかこんなことになるなんてな。
正直言ってしまえば、着いていくのも外に出るのも怖い。
「貴方も本意ではないと言いましたね。家族が解放されれば寝返ってくれるんですか?」
「多くの者が同じような状況におります。難しいと思いますが、可能であるなら賢者様のお力になりたいです」
「わかりました。俺は貴方方に着いて行きます」
「ユウ様、いけません!」
「ムースさん、彼らは俺を旗印にしたいと言っています。そう簡単には殺さないでしょうし、後のことはモモに任せるとします。情けない父親ですが、あの子ならこの後のこともなんとかしてくれるでしょうし。ムースさんには申し訳ないのですが、彼らが解放した後の子供達の保護をお願いできますか?」
ムースさんは納得してないようだが、最終的には首を縦に振ってくれた。
イールには少し用事ができたので、外に行ってくると話をして、イライヤさんやムースさんの言うことに従うこと、お姉ちゃんなのでライラちゃんや大地の面倒を見るようにお願いをした。
「若葉、君には重要なことをお願いしたい。手紙を書く余裕もないから、火の鶏と一緒に外に出て今回のことを伝えてくれないか? モモなら火の鶏とも話ができるけど、他の人だと意思の疎通もできないし、頼めるか」
「なんで私が! んーもう! 仕方ないわね!」
イライラはしていたけど、現状の状況を理解してくれたのか、了承はしてくれた。
簡単に別れを済まして、大福と一緒に結界の境界線まで移動をする。
収納魔法などはないので、持てるだけリュックに詰めてはきた。
イール達のご飯も種とかはまとめて購入して渡したし、備蓄もある。数年は問題ないが、俺にもしものことがあったら、モモならこの土地を使用する権限もあるし、頼むようにお願いをしておいた。
大地を人質にしていた兵士さんと合流して、結界の外に出る。
ある程度、移動したら人質を解放する約束をしてあるが、最終的には彼を信用するしかない。
思ったよりも丁寧には扱われるらしく、上等の馬車に案内された。
数百人はいるだろうか、兵士全員から注目を浴びる。
「皆んな、聞いてくれ。我々の話に賢者様は同意してくれた。そして人質も解放してくれると約束してくれた! 敵の懐に飛び込むことにはなるが、賢者様がついている! 絶対に賢者様をお守りするぞ!」
なんか話が大きくなってないか? 俺は問題が解決されれば味方になってくれたのか聞いただけで、俺が解決するなんて言っていないんだけど。
モモ、どうか後のことは上手く、何卒上手く解決してくれ!
大福の姿が朝から見えない。朝ごはんだけは食べてから出ていくのに今日はどうしたのだろうか。
また来客でもあったのかなぁ。
朝食を食べて、畑と果樹園などの世話をして、お昼ご飯を食べる。なんの変哲もない1日ではる。
「寒くなってきたし、炬燵出そうか。イール隊長、炬燵を出すことはできるかな?」
「はい! 炬燵隊長、イール、設置を開始します! ライラちゃん来てー」
炬燵が大好きなイールに設置をお願いすると、押し入れから引っ張ってきた、炬燵布団と、専用のケーブルをテーブルに設置する。ライラちゃんはなんなのか理解はできていないが、隊長の指示に従って設置を手伝う。
ものの数分であっという間に炬燵の設置が完了すると、次に蜜柑とお茶が入った急須を置いて完成を宣言する。
「これはなんでしょうか? 暖房器具ですか」
イライヤさんもムースさんもドタバタしていた子供たちを見守っていたが、設置された物を不思議そうにみている。
「暖房器具ですよ。暖かくて気持ちがいいんですけど、寝るのは禁止です。体調を崩したりするのでね」
「イールが手本を見せる! まずはスイッチを入れるの、ここで一緒に温度調整ができて、あとは入るだけ! 中に潜っちゃうのもルール違反なの!」
イールの微笑ましい解説を聞いて、イライヤさん、ムースさんも炬燵に入り、良さを体験する。
とろけるような表情から、気に入ってくれたことはわかる。
まったりと皆んなで炬燵を楽しんでいると、大福が声が聞こえてくる。
なんだか怒っている?
「大福様が来てほしいって言ってる……」
イールが怯えている? 何かあったのは確かなようだ。
「子供らは外に出ないように、イライヤさんお願いできますか」
「わかりました」
力だけなら、イールの方がここにいる誰よりも強いけど、子供を守るのは大人の役目である。
ムースさんに付き合ってもらい、外に出ると大福の横に鎧姿の男と小脇には獣人の子供を抱えている。
「どちらが森の賢者様ですか?」
「俺だよ。いったいどんな要件かな」
男前の兵士ではあるが、小脇に抱えた子供に刃物を向けているのはいただけない。子供は泣いている、ただ彼も少し申し訳なさそうな顔をしているのは本意ではないということか。
「ちょっと待ってくれ、その子は、君は大地か?」
「うん、僕はダイチだよ」
「賢者殿とお知り合いなのは間違いないようですね。この子の兄弟や獣人の子供は他にも我々が人質にしています。まずはお話しを聞いていただけるように彼を離しましょう」
解放された大地を大福が咥えて連れてきてくれる。怪我などがないか確認してみたが無傷のようでよかった。
「賢者殿、我々も全員が本意ではないことは事前にわかってほしい。私も家族を人質に取られている。貴方には新しい国家を作るための旗印となってもらう。着いてきてほしい」
「着いていかないと言ったら?」
「貴方のお知り合いの子供を含めて多くの死人が出ます。私が戻らなくても死人は出ますので、お気をつけください」
「わん!」
大福は着いていくことはないと言っているんだろう。まさかこんなことになるなんてな。
正直言ってしまえば、着いていくのも外に出るのも怖い。
「貴方も本意ではないと言いましたね。家族が解放されれば寝返ってくれるんですか?」
「多くの者が同じような状況におります。難しいと思いますが、可能であるなら賢者様のお力になりたいです」
「わかりました。俺は貴方方に着いて行きます」
「ユウ様、いけません!」
「ムースさん、彼らは俺を旗印にしたいと言っています。そう簡単には殺さないでしょうし、後のことはモモに任せるとします。情けない父親ですが、あの子ならこの後のこともなんとかしてくれるでしょうし。ムースさんには申し訳ないのですが、彼らが解放した後の子供達の保護をお願いできますか?」
ムースさんは納得してないようだが、最終的には首を縦に振ってくれた。
イールには少し用事ができたので、外に行ってくると話をして、イライヤさんやムースさんの言うことに従うこと、お姉ちゃんなのでライラちゃんや大地の面倒を見るようにお願いをした。
「若葉、君には重要なことをお願いしたい。手紙を書く余裕もないから、火の鶏と一緒に外に出て今回のことを伝えてくれないか? モモなら火の鶏とも話ができるけど、他の人だと意思の疎通もできないし、頼めるか」
「なんで私が! んーもう! 仕方ないわね!」
イライラはしていたけど、現状の状況を理解してくれたのか、了承はしてくれた。
簡単に別れを済まして、大福と一緒に結界の境界線まで移動をする。
収納魔法などはないので、持てるだけリュックに詰めてはきた。
イール達のご飯も種とかはまとめて購入して渡したし、備蓄もある。数年は問題ないが、俺にもしものことがあったら、モモならこの土地を使用する権限もあるし、頼むようにお願いをしておいた。
大地を人質にしていた兵士さんと合流して、結界の外に出る。
ある程度、移動したら人質を解放する約束をしてあるが、最終的には彼を信用するしかない。
思ったよりも丁寧には扱われるらしく、上等の馬車に案内された。
数百人はいるだろうか、兵士全員から注目を浴びる。
「皆んな、聞いてくれ。我々の話に賢者様は同意してくれた。そして人質も解放してくれると約束してくれた! 敵の懐に飛び込むことにはなるが、賢者様がついている! 絶対に賢者様をお守りするぞ!」
なんか話が大きくなってないか? 俺は問題が解決されれば味方になってくれたのか聞いただけで、俺が解決するなんて言っていないんだけど。
モモ、どうか後のことは上手く、何卒上手く解決してくれ!
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