家庭菜園物語

コンビニ

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3章

白猫②

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 お父さんに反対されるなんて思ってなかった。
 それにお姉ちゃんまで。それでも私の意思は変わらない、反対されても連れて行く。

「モモ、お前はこの世界の基準で言えば成人なのかもしれないけど。俺から見ればまだ子供で学生だ。本分は勉強することだろ? それにイールちゃんはまだ小さい、モモが授業に出てる間は、熱を出したら、別の問題が起きた時にどうする」

 お父さんが言うことをは正しい。友人が協力してくれるかもしれないけど、結果的に大きな迷惑をかけてしまうことになってしまう。

「にゃーん」
「お姉ちゃん」
「そうだぞ、なんで家族を頼らない」

 お父さんがせっかく、元気づけてくれたのに、また涙が止まらなくなってしまう。

「俺ってそこまで薄情な人間に見えるかい? モモが連れてきた時点で迎え入れる気満々だったけど。モモがいなくなって張り合いがないって言うのかな? エリゼはいるけど、なんだかんだ手はかからないしな。家族がまた1人増えたって変わらないさ」
「でもエリゼがいなくなったら、お父さんは畑も動物のお世話も果樹園だって増えたのに」
「心配するな。俺だけじゃない、姉さんも大福もいる」
「にゃーん」

 お父さんに拾って育ててもらっただけで大恩があるのに、私のせいで迷惑なんてかけたくない。

「モモは優しい子だ。他人に迷惑をかけないように考えて、相手の気持ちも慮って偉いよ。でもな、家族には迷惑をかけてもいいんだよ。あまりにも悪い事なら都度、怒ってやるからさ。そうやって、沢山のことを勉強するんだ。今回のことはモモは失敗したこともあると思う。ルイさん達にモモの行動で迷惑をかけたけどさ、イールちゃんのことについては良くやったよ。迷惑だなんて思わないし、むしろちゃんと守ってここまで連れて来たて頑張ったよ」
「にゃーん」
「あとは任せろって俺のセリフですよ、姉さん」

 私が勝手にしたことで、お父さんに負担なんてかけたくなかった。
 自分に自惚れているとこはあった。少し強くなったくらいでなんでもできると思っていた。でも私はまだ1人でなんでも解決できるほど大人なんかではないって改めて認識できた。
 もっと強くなりたい。物理的にもその他の部分でも。

「あとはイールちゃんがここにいてもいいって思ってくれるといいんだけど」
「イールちゃんには私からも話から大丈夫!」
「頼むよ」

 そうだ、お墓の件も話さないと。

「あと色々お願いすることになっちゃうんだけど、お母さんとイールちゃんのお母さんのお墓をここに建ててもいいですか?」
「勿論。カイラちゃんからお母さんを迎えに行ったて聞いてたから、準備はしていたよ。イールちゃんのお母さんの分もみんなで一緒に用意しよう。こっちの世界では火葬が一般的なのかな? それとも土葬なのかな?」
「地域によって違うって話は聞いたことあるけど、お父さんの世界では?」
「俺が住んでいた場所では火葬が一般的だったな。国によって違いはあるけど」
「じゃあ、お父さんのいたとこに習って火葬にしよう」
「モモがそれでいいなら、明日は皆んなでお見送りをしよう」
「うん。お父さんも杏お姉ちゃんもありがとうございます」
「ああ、もう夜も遅いし早く寝なさい」
「お父さんも飲み過ぎないですね」

 部屋に戻ると、カイラとエリゼの寝相が悪くて、絡み合っている。イールは無事かな?
 あ、また部屋の隅で大福様と丸くなって寝てる。寝姿は可愛いんだけど、ちゃんと布団を使って欲しい。カイラとエリゼのせいでイールちゃんが怪我をしたら大変なので、2人を隅に寄せてイールを抱き寄せて大福様を枕にさせてもらい目を瞑る。


「聞いてよ! モモってばお姉ちゃんである私を隅に寄せて布団もかけてくれないんだよ!」
「お、おう。なんだ、モモ、少しは手加減してやれよ?」
「イールちゃんが潰れたらどうするんですか。カイラと夢の中で喧嘩でもしてるの? 前はここまで寝相ひどくなかったのに」

 朝食時にエリゼが文句を言ってお父さんに抗議をする。
 それに私がいない間にカイラはお前の姉は強いなとか、なんでお姉ちゃんポジションを外堀を埋めて確立しようとしてるの。

「エリゼにも報告がある。イールちゃんをこの家で預かることになった、来年には出て行くことになると思うけど暫くよろしく頼む」
「やった! 妹が増えた! お姉ちゃんって呼んでね、イール!」
「ズルいぞ! 俺はパパでもいいよ、イール」

 イールちゃんが困惑して、大福様の影に隠れてしまった。2人には距離感を急に詰めないようにお願いしないと。
 朝食後にお父さんの案内で裏庭の守りの木の側に行くと、四角い石が置いてある。これがお墓なのかな? 石碑みたい。

「俺の世界風の墓なんだけどさ、エリゼやカイラちゃんに手伝ってもらったんだ。この正面に名前を掘るんだよ」
「名前……私、お母さんの名前わからない。イールちゃんのお母さんの名前も」
「にゃーん」
「最上家で一括りにしちゃえって、それぞれのお母さんを一緒に入れていいもんなんですかね? 他人ですよね」
「にゃーん」
「確かにもモモもイールちゃんももう家族認定ではありますけど、モモとイールちゃんは構わないのか?」

 イールちゃんに確認すると、何かわかっていないが頷いてくれた。いずれ物事の判別ができるようになったらまた相談をしてみよう。私は一緒のお墓でもいいと思う。

「遺体を燃やすのか」
「エリゼのとかは違うのか? 王坂では一般的だぞ」
「国によって違うんだなぁ。俺のいた世界だと土地の問題とか病気とかさ、リアルな問題もあるけど、魂を天に返す? 的な意味合いもあったはずだ」

 王坂では火葬が一般的なのは何かで読んだような気もする。
 カイラ曰く、竜の火で燃やしてもらうのが王坂では最高の弔いであり、功労者であれば王様直々に火葬をするらしい。

「カイラ、お願いできる?」
「私でいいのか?」
「お願い」
「わかった!」

 イールちゃんを抱きしめて、お母さんと最後のお別れをするように話す。
 お父さんがその間に天国に行っても困らないように、お金やお守りなんか一緒に入れてくれた。

「イールちゃん、お母さんを天国に案内するためにこれから燃やす。火葬するの、お母さんを虐めるわけじゃないから、一緒に見てられる?」

 不安そうに首を縦に振ってくれた。
 2つの木箱を用意して、カイラが大きく息を吸って炎を吐きかける。炎は木箱のを包むように留まり燃え続ける。これが1時間ほど続くとのことだったので、シールちゃんと一緒に炎を見つめる。

「にゃーん」
「そうですね、モモ、これはお供えの水だよ。天国に行くまでに喉が渇かないように定期的に交換をしてあげてね」
「はい」

 お盆の儀式もそうだけど、お父さんの世界の儀式って少し変わっている。でも死者を思いやる気持ちを感じるので嫌いではない。
 火葬が終わった木箱からそれぞれ、骨を集めて、遺骨という壺の中に入れてお墓の中にしまう。

「お母さん、おかえりなさい」
「帰ってこれてよかったな。お墓はモモがいない間も俺が綺麗にしておくからさ」
「うん」

 これでしたかったことの1つはできて、少しだけ心が軽くなった。でもお母さんの弔いは完全に終わってない。できればお母さんのお父さんかお母さん、おじいちゃん達がいるのかも確認したい。



 
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