家庭菜園物語

コンビニ

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3章

まったり

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 春が終われが梅雨になる。
 縁側に座って、雨が地面を打ち付ける音を聞いていると癒されるなぁ。
 俺の横では大福がねており、大福の上には姉さんが、姉さんの上に若葉が寝ている。団子だな、可愛らしい。

「1週間くらい野営に行ってくる!」

 そう言ってエリゼちゃんは訓練に向かってしまった。
 心配なので大福も連れていったらどうかと、話をしていたが断られてしまった。
 エリゼちゃんなりに外に出る準備を着々とはじめているんだろう。

 俺も1人になった時に備えて、畑から動物の世話まで全部自分でやってみたが思った以上に疲れたし、動物達もずっとモモとエリゼちゃんに任せっきりだったせいか、俺が来たことに少し不満気だった。悲しい。
 動物達との関係も時間が解決してくれるのだろうか。

 この数日こそ1人で慌ただしくしていたが、こんな雨の日はまったりとするのも悪くない。
 忙しいと改めてこんな時間が貴重だなと感じられる。

 モモが来たばかっりの時も一緒に雨が降る中、眺めたりしたなー。
 この世界に来て1人でいる時間は短かったから、なんだか新鮮な時間だ。こうやって姉さん達とまったりとした時間を過ごすのもいいけど正直、寂しいと感じてしまう。
 
 寂しさを紛らわすのに、モモからの手紙を読み返す。
 学園には大浴場があり、皆んなでお風呂に入ったりするそうだが、送ってもらった下着が可愛いと評判になったという話。送った下着を参考に学園内で試作品を作り始めたりもしているらしい。
 どこの世界でも女の子とはオシャレが好きなもんだよな。

 ソード家の人達とお茶会もしたらしく、終始不満気ではあるけど、最終的にはソード家の子達はしっかりしていると締めくくられていた。俺もモモと同様に思うところがないわけではないが、国の在り方については真剣に考えているようだ。
 今の王様は悪い人ではないが、権力はそこまで持っておらず、貴族連中の顔を伺っているらしい。
 そんな中で貴族連中も2人の王子を担ぎ上げて派閥争いをしているらしい。帝国と変わらんではないかと。
 そしてトップシークレットな話ではあるが、第3王子が存在しているという話もあるらしい。そんな重要な話を俺宛に書かなくてもいいのにさ。
 ソード家としては今の王子もヤバいと思っているらしく、このままでは農作物の作成、流通に本格的に王国が参入できないと、第3王子を見つけて教育を施して担ぎ上げたいという話らしい。王国、主にソード家の人らは苦労人だねー。

 あとは基本的に平和な話が多い。
 ルームメイトのリリアちゃんが可愛いと、モモの中で話題沸騰で、一緒に寝たり、お風呂に入ったりととても楽しそうだ。これが親友というやつだろうか。エリゼちゃんが若干やきもちを妬いていて面白かった。

 クラブ活動も活発らしくて鍛冶関連のクラブがどうこうとか、モモは薬草関連のクラブに友人がいて、一緒に動物達も飼育し始めているらしい。今はリリアちゃんも所属していてもう1人の友人と楽しく活動しているとのことだ。
 モモはどこに行っても動物が好きな子だな。薬草や作物を育てている子については在来種を研究しているらしくて土いじりも好きらしい。
 俺とも気が合うんじゃないかと書いてあった。どんな女の子なんだろうか、今年の夏休みは無理かもしれないけど来年の夏休みには友人達を招待したいと書いてあった。いいねー、青春だね。

 モモの世界が広がっていることが嬉しい。
 この手紙は一生の宝物になるかもしれない、モモがもっと大きくなったら、思い出話をしながら一緒に読みたいものだ。

「にゃーん」
「いつの間にか雨が上がったんですね」

 もう時期、梅雨も明けるのかな? 無性に素麺が食べたくなってきた。
 
「姉さん、今日は素麺でどうですか」
「にゃーん」
「わん!」

 大福も起きたのか。大福が食べる素麺の量はエグいことになりそうだ。
 もう時期、西瓜が美味しい時期にもなる。
 なんだ、寂しいとか言っておきながら意外と切り替えれるじゃないか俺よ。

 今日は素麺に薬味やトッピングを自由に選べるようにちょこちょこ用意しようかな。
 ネギにオクラ、納豆にナス、ベーコン系にトマト、魚をほぐした身だろー、卵もありだな。
 夜には風呂上がりにビールと浅漬けのきゅうりを食べようかな。

 まったりとした時間が流れる。
 これぞスローライフって感じだ。娘達がいないこういう時間も今は悪くないかもしれない。



 
 
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