91 / 180
2章
変化
しおりを挟む
「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「おめでとう? ございます」
モモが新年の挨拶して頭を下げる。それをマネしてエリゼちゃんも同じように頭を下げる。
「おめでとう。本年もよろしくお願いします」
「にゃーん」
「わん」
姉さんや大福が頭を下げる姿は可愛らしく、インターネットがあってこの写真をアップできればバズること間違いないだろうなー。
「それじゃあ、恒例の餅つき大会を始めようか!」
「餅つき?」
「エリゼさんには私が教えてあげます! いいよね、お父さん!」
「じゃあ、今年はモモに任せようかな」
杵と臼、炊いたもち米は既に用意していたので、姉さんと縁側に座って、モモ達が餅をつく様子を眺める。
「いいですか、力を入れすぎて臼と杵を壊さないでくださいね」
「が、頑張る」
エリゼちゃんも最初こそ戸惑っていたが、慣れてくるとすごいスピードで杵を振り下ろしており、モモもタイミングよく餅をひっくり返している。
最初こそ怪我をしてしまうのでないかと心配していたが、2人にとっては普通のスピードらしい。
異世界の餅つき、恐ろしい。
「美味い! 餅、モチモチだぁ!」
エリゼちゃんが両手にあんこときな粉の餅を持ってわんぱくスタイルで食べている。相変わらずそのスタイルが似合う娘だ。
モモは淡々と、黙々と、餅を口に運んでいる。食べている時の視線がどこか遠くを見ていて少し怖いですモモさん。フードファイターみたいだな。
砂糖醤油よりは、甘いあんこやきな粉、ずんだなどが人気で、最終的にはもちではなく、あんこなどをそのまま食べようとしていたの取り上げた。食べすぎても体に悪いからな。
畑関連の進捗としては数ヶ月の頑張りと、神様割引が入ったことで念願の果樹園とお茶畑のアンロックをすることができた。
ちなみにモモやエリゼちゃんにはまだ話していない。育てる物を増やすとなればモモが学校に行くことを気にしそうだし。
餅を食べて、温かい麦茶を啜っていると、モモが何やら話したいようで俺の正面に座り直した。
「どうしたモモ?」
「お父さんに相談とお願いがあります」
優秀でほとんどのことを助けなし出来てしまうこの子がお願い。どんな無理難題を言われるのか少し怖い。
「学校が始める前に少し早めに出て外の世界を回ってから、そのまま学校に行きたいの」
なるほど。悪いことではない。モモはここに来る前のことは村の事しか知らず、知識こそ増えたがあくまで知識であって、実際に見たり体験したことは多くない。
特に知らない人との接し方など、街にでないと体験できないことが多いはずだ。
ただ心配でないと言えば嘘になる。火の鶏か、ピーちゃん辺りに乗せてもらって直で学校に向かうことだってできるんだ、無理に危険な道を進むことはない。
「モモがそう決めたなら俺は応援するよ」
「お父さん、ありがとうございます!」
「でもね、初めての事だし俺も心配なんだ。少し条件は出すけどいいかな?」
「どんな条件?」
まずは道程の提出とすり合わせだ。
流石はしっかり者のモモなだけあって、既に道筋は決めていたようだった。
王国ルートではなく、王坂、ビクド、帝国に入って最終的に最北端の学校へ向かうルートとなっていた。
「帝国内は不安定と聞いているの人里を通らずに森林や山脈を越えていこうと思っているの」
「危なくないか?」
「この辺の森と比べれば大した事ないと、会ったことある人は言ってたから大丈夫!」
さくらさんを筆頭に強い人達だし、その人らが太鼓判を押すなら問題ないのか?
「しっかり道も決めてるんだね。俺のお願い条件としては、こことここ、帝国に入ってからもできれば手紙を出してほしいんだ」
「はい。ピーちゃんも一緒に来るって言ってたから、帝国に入ってからは1回ピーちゃんにお願いするね。大阪と聖国ではガンジュさんやソーズさんに挨拶しに行った時にお願いしてみる」
「俺からも2人には手紙を出しておくよ」
モモの予定としては3月前には旅立つそうだ。
ギリギリまでは一緒にいれるのか思っていたので少し寂しいが、モモが決めたことだ。誠意一杯応援してあげたい。
ただ厳しいこの世界でモモが変わり果てた姿になってしまうのでないかと、不安が過ぎる。
「にゃーん」
「そうですね。絶対なんてことは生きてる上でないですからね」
少し不安になったのが、一緒に話を聞いていたエリゼちゃんがモモの話を最初こそ真剣に聞いていたが、いや、真剣にはずっと聞いていたか。
途中で明らかに話についていけてなかった。この子も来年には冒険者になるためにここからでていくんだよな? 大丈夫なのだろうか、少し不安になった。
「エリゼさんは獣的な感覚に優れているから、たぶん……大丈夫だと思う」
「まぁ、まだ時間はあるから頑張って勉強をしていこうね、エリゼちゃん」
「わ、私だってやればできるんだから!」
やればできるってぶっつけ本番ではなく、計画性を持ってやろうね。
あと1年もあるし、この数ヶ月でこの子は劇的に変わったんだから、言う通りやればできる子。
きっと大丈夫だ。
「おめでとう? ございます」
モモが新年の挨拶して頭を下げる。それをマネしてエリゼちゃんも同じように頭を下げる。
「おめでとう。本年もよろしくお願いします」
「にゃーん」
「わん」
姉さんや大福が頭を下げる姿は可愛らしく、インターネットがあってこの写真をアップできればバズること間違いないだろうなー。
「それじゃあ、恒例の餅つき大会を始めようか!」
「餅つき?」
「エリゼさんには私が教えてあげます! いいよね、お父さん!」
「じゃあ、今年はモモに任せようかな」
杵と臼、炊いたもち米は既に用意していたので、姉さんと縁側に座って、モモ達が餅をつく様子を眺める。
「いいですか、力を入れすぎて臼と杵を壊さないでくださいね」
「が、頑張る」
エリゼちゃんも最初こそ戸惑っていたが、慣れてくるとすごいスピードで杵を振り下ろしており、モモもタイミングよく餅をひっくり返している。
最初こそ怪我をしてしまうのでないかと心配していたが、2人にとっては普通のスピードらしい。
異世界の餅つき、恐ろしい。
「美味い! 餅、モチモチだぁ!」
エリゼちゃんが両手にあんこときな粉の餅を持ってわんぱくスタイルで食べている。相変わらずそのスタイルが似合う娘だ。
モモは淡々と、黙々と、餅を口に運んでいる。食べている時の視線がどこか遠くを見ていて少し怖いですモモさん。フードファイターみたいだな。
砂糖醤油よりは、甘いあんこやきな粉、ずんだなどが人気で、最終的にはもちではなく、あんこなどをそのまま食べようとしていたの取り上げた。食べすぎても体に悪いからな。
畑関連の進捗としては数ヶ月の頑張りと、神様割引が入ったことで念願の果樹園とお茶畑のアンロックをすることができた。
ちなみにモモやエリゼちゃんにはまだ話していない。育てる物を増やすとなればモモが学校に行くことを気にしそうだし。
餅を食べて、温かい麦茶を啜っていると、モモが何やら話したいようで俺の正面に座り直した。
「どうしたモモ?」
「お父さんに相談とお願いがあります」
優秀でほとんどのことを助けなし出来てしまうこの子がお願い。どんな無理難題を言われるのか少し怖い。
「学校が始める前に少し早めに出て外の世界を回ってから、そのまま学校に行きたいの」
なるほど。悪いことではない。モモはここに来る前のことは村の事しか知らず、知識こそ増えたがあくまで知識であって、実際に見たり体験したことは多くない。
特に知らない人との接し方など、街にでないと体験できないことが多いはずだ。
ただ心配でないと言えば嘘になる。火の鶏か、ピーちゃん辺りに乗せてもらって直で学校に向かうことだってできるんだ、無理に危険な道を進むことはない。
「モモがそう決めたなら俺は応援するよ」
「お父さん、ありがとうございます!」
「でもね、初めての事だし俺も心配なんだ。少し条件は出すけどいいかな?」
「どんな条件?」
まずは道程の提出とすり合わせだ。
流石はしっかり者のモモなだけあって、既に道筋は決めていたようだった。
王国ルートではなく、王坂、ビクド、帝国に入って最終的に最北端の学校へ向かうルートとなっていた。
「帝国内は不安定と聞いているの人里を通らずに森林や山脈を越えていこうと思っているの」
「危なくないか?」
「この辺の森と比べれば大した事ないと、会ったことある人は言ってたから大丈夫!」
さくらさんを筆頭に強い人達だし、その人らが太鼓判を押すなら問題ないのか?
「しっかり道も決めてるんだね。俺のお願い条件としては、こことここ、帝国に入ってからもできれば手紙を出してほしいんだ」
「はい。ピーちゃんも一緒に来るって言ってたから、帝国に入ってからは1回ピーちゃんにお願いするね。大阪と聖国ではガンジュさんやソーズさんに挨拶しに行った時にお願いしてみる」
「俺からも2人には手紙を出しておくよ」
モモの予定としては3月前には旅立つそうだ。
ギリギリまでは一緒にいれるのか思っていたので少し寂しいが、モモが決めたことだ。誠意一杯応援してあげたい。
ただ厳しいこの世界でモモが変わり果てた姿になってしまうのでないかと、不安が過ぎる。
「にゃーん」
「そうですね。絶対なんてことは生きてる上でないですからね」
少し不安になったのが、一緒に話を聞いていたエリゼちゃんがモモの話を最初こそ真剣に聞いていたが、いや、真剣にはずっと聞いていたか。
途中で明らかに話についていけてなかった。この子も来年には冒険者になるためにここからでていくんだよな? 大丈夫なのだろうか、少し不安になった。
「エリゼさんは獣的な感覚に優れているから、たぶん……大丈夫だと思う」
「まぁ、まだ時間はあるから頑張って勉強をしていこうね、エリゼちゃん」
「わ、私だってやればできるんだから!」
やればできるってぶっつけ本番ではなく、計画性を持ってやろうね。
あと1年もあるし、この数ヶ月でこの子は劇的に変わったんだから、言う通りやればできる子。
きっと大丈夫だ。
44
お気に入りに追加
1,140
あなたにおすすめの小説
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
加護を疑われ婚約破棄された後、帝国皇子の契約妃になって隣国を豊かに立て直しました
黎
ファンタジー
幼い頃、神獣ヴァレンの加護を期待され、ロザリアは王家に買い取られて王子の婚約者となった。しかし、侍女を取り上げられ、将来の王妃だからと都合よく仕事を押し付けられ、一方で、公爵令嬢があたかも王子の婚約者であるかのように振る舞う。そんな風に冷遇されながらも、ロザリアはヴァレンと共にたくましく生き続けてきた。
そんな中、王子がロザリアに「君との婚約では神獣の加護を感じたことがない。公爵令嬢が加護を持つと判明したし、彼女と結婚する」と婚約破棄をつきつける。
家も職も金も失ったロザリアは、偶然出会った帝国皇子ラウレンツに雇われることになる。元皇妃の暴政で荒廃した帝国を立て直そうとする彼の契約妃となったロザリアは、ヴァレンの力と自身の知恵と経験を駆使し、帝国を豊かに復興させていき、帝国とラウレンツの心に希望を灯す存在となっていく。
*短編に続きをとのお声をたくさんいただき、始めることになりました。引き続きよろしくお願いします。
婚約破棄されたので森の奥でカフェを開いてスローライフ
あげは
ファンタジー
「私は、ユミエラとの婚約を破棄する!」
学院卒業記念パーティーで、婚約者である王太子アルフリードに突然婚約破棄された、ユミエラ・フォン・アマリリス公爵令嬢。
家族にも愛されていなかったユミエラは、王太子に婚約破棄されたことで利用価値がなくなったとされ家を勘当されてしまう。
しかし、ユミエラに特に気にした様子はなく、むしろ喜んでいた。
これまでの生活に嫌気が差していたユミエラは、元孤児で転生者の侍女ミシェルだけを連れ、その日のうちに家を出て人のいない森の奥に向かい、森の中でカフェを開くらしい。
「さあ、ミシェル! 念願のスローライフよ! 張り切っていきましょう!」
王都を出るとなぜか国を守護している神獣が待ち構えていた。
どうやら国を捨てユミエラについてくるらしい。
こうしてユミエラは、転生者と神獣という何とも不思議なお供を連れ、優雅なスローライフを楽しむのであった。
一方、ユミエラを追放し、神獣にも見捨てられた王国は、愚かな王太子のせいで混乱に陥るのだった――。
なろう・カクヨムにも投稿
転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~
ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。
異世界転生しちゃいました。
そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど
チート無いみたいだけど?
おばあちゃんよく分かんないわぁ。
頭は老人 体は子供
乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。
当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。
訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。
おばあちゃん奮闘記です。
果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか?
[第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。
第二章 学園編 始まりました。
いよいよゲームスタートです!
[1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。
話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。
おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので)
初投稿です
不慣れですが宜しくお願いします。
最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。
申し訳ございません。
少しづつ修正して纏めていこうと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる