家庭菜園物語

コンビニ

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2章

赤ちゃん?

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 俺が考えた名前にガンジュさん達が満足してくれてよかった。一緒に漢字表記も教えてあげたらカッコイイ字だと好評だった。そこら辺は外人さんの反応と変わらないんですね。
 少し蛇足だったのが、もう1人いれば海って名前もありですねなんて言ったら、ルイさん夫婦が近じか頑張ろうかみたいな話をしていて、嫉妬に狂いそうになった。幸せそうでいいですね。

「ねぇ、赤ちゃんってどうやったらできるの?」

 親御さんが困る話題、世界1位の質問がエリゼちゃんから降ってきた。ガンジュさんを含めて男メンバーが明らかに動揺している。どうする、どう答えるべきだ!
 今のタイミングであれば奥さんや姉さんにお願いするのもありか?
 
「後で教えてあげるので少し黙っててください」
「わかった!」

 なっ! モモ! モモは知っているのか!
 
「に、にゃーん!」
「にゃーん」

 頭がおかしくなったのかと姉さんに心配された。言葉が出ず、何故か猫語? が出てしまった。
 
「にゃーん」

 私ではないので、さくらではないのかと言うのは姉さんのお言葉だ。
 おばあちゃんなら、勉強の合間に下世話な話から、考えなしに説明した可能性は高いか。

「母上からは、知らない方が未来の旦那様が喜ぶと言われて教えてもらったことがなかったんだ。経験者であるアントワーネさんもいるし、聞くのが楽しみだなぁ! 赤ちゃんの作り方!」

 そんなワクワクしないでほしいんだけど。モモも奥さんも少し困り顔だ。
 まぁ、保健体育の話はモモと奥さんに任せるとしよう。
 子作りの話題はほどほどにビールが進む。モモ達以外のメンバーとこうしてご飯を食べるのは楽しい。
 安全が確保できるならいずれは外の世界に遊びにいくのもありなのではないか?
 うーん、安全の確保できるかなぁ。うん、やっぱり来てもらうだけでもいいかな! 楽だしさ!

「にゃーん」
「基本、引きこもりなんで。それに帰ってくる場所を守るのも大事なことじゃないですか」
「にゃーん」

 ドヤ顔でカッコつけても、無駄だと言われてしまいました。
 ある程度、ご飯を食べ終わると、モモが率先して迎え盆の説明をみんなにして野菜の用意をしている。
 もうそんな季節だもんねー。感慨深いな。

「来年は学校に行くなら、モモがいないお盆かもしれませんね」
「にゃーん」

 子供の成長は喜ばしいだろうって、そうですね。でもその反面寂しくもありますよ。
 沢山のことを1人でできるようになって行って、手がかからなくなって、来たばかりの時の慌ただしかった期間のことを思えばさ。

「黄昏てどうした?」

 ガンジュさんがビールを片手に声をかけてくれる。

「いえ、子供成長って早いなぁって話を姉さんとしてました」
「そうだな。お前も親に大人になっているということだな。俺は悠の成長を見ているのも楽しいぞ」
「変わってますかね?」
「逞しくなっているよ。親であり、男の顔になったさ」

 ガンジュさんがわしゃわしゃと頭を撫でてくれる。
 この人に頭を撫でられるのはなんか懐かしくて嬉しくなる。歳は全然違うけどじいちゃんのことを思い出す。

「死者の魂を迎え入れる儀式。これは良い儀式だな。我々も真似をしていいか?」
「どうぞ。真似って言っても誰かの物ではないですから、亡くなった方々を偲んであげてください」

 野菜の馬を用意し終わる頃には、辺りが真っ暗になってしまう。
 ランタンでも出そうかと思ったが、モモが光の魔法で当たりを照らしくれる。魔法パネぇ!
 魔法が当たり前に使えると、家電とか意味がないなって思えてしまうことが多い。

 家に到着すると、お子様達と女子メンバーがお風呂に向かう。
 縁側で飲み直そうと大人メンバーを誘い、新しいビールと簡単なおつまみを用意して縁側に向かうと姉さんとガンジュさんだけで、ルイさんの姿が見えない。
 俺が聞こうとしたことがわかったのか、無言でガンジュさんが頷くと、座るように促される。姉さんの香箱座りが可愛い。

 ガンジュさんが新しく持ってきた冷えたビールを受け取ると、お礼を言ってから一気飲みしてしまう。
 大きな口で豪快に飲み干す姿は気持ちいい。
 俺が何口かビールを口にした後で、ガンジュさんが話し始める。この雰囲気だなんとなく言うことはわかる気がする。

「悠、今回も世話になった。明日には帰ろうと思う」
「世話だなんてやめてくださいよ。来てくれて嬉しかったですよ。気をつけて帰ってくださいね。今度は来年ですか?」
「来年も来たいのは山々だがな」
「冗談なので、本気で申し訳なさそうにするのはやめてください!」

 本当に頭を下げようとするガンジュさんを必死に止める。

「にゃーん」
「はい。杏殿もお元気で、できるだけ後進を早く育てて自分の領地に戻って隠居したいとは思ってます」
「にゃーん」
「またお会いできるのは先になりそうですね」
「そうだな。今度は妻も連れて来てもいいか?」
「はい、待ってますよ」

 ガンジュさんが差し出してくれた手を取って、握手をする。
 また寂しくなっちゃうなぁ。
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