家庭菜園物語

コンビニ

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クリスマス②

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 俺にクリスマスプレゼントを用意してくれるなんて、一生の家宝にしよう。
 神様におねだりして、一生劣化しない額縁とか準備してもらえないかな。

「お父さん、これは髪飾りですか? 綺麗です」
「モモには負けるけどね。これは桃の花なんだよ」
「桃? 私の名前の由来になった花なんですか?」
「桃って果実だね。名前とか決めたのは姉さんだけどさ。姉さん、なんでモモにしたんですか?」
「にゃーん」

 同じバラ科の仲間だからってそうなんだ、モモと杏ってバラ科なんだ。それに由来が強い子になってほしいから?

「強い子ってどういうことですか?」
「にゃーん」

 花言葉なんて俺が知ってるわけないじゃないですか。

「お姉ちゃんの名前と私の名前は、仲間? 縁がある名前ってことなんですね」
「にゃーん」

 モモが髪どめを含めて、このイベントを喜んでくれているからいいか。
 おい、ソーズくんや、モモが可愛いのはわかるが何をそんなに凝視しているのかね? うちの子はやらんぞ。

「これは凝視するようなことをして、失礼しました。あの髪飾り、なんだか神聖な気配を纏っている気がして、普通の髪飾りなんですよね?」
「うん、普通に購入しただけだし」
「そうですよね。自分の気のせいでしょう」

 今日は畑仕事関連もお休みの予定だが、動物連中のお世話を休むわけにはいかないので、ご飯などの用意をしようと、髪どめをもらってご機嫌のモモと牛のお世話にして鶏小屋に行くと、久しぶりの火の鶏くんが小屋の前でコケコケと隙間から1羽の鶏と何か話している。

「久しぶりだなーどうした?」
「コケー!」

 興奮しているな、モモがふんふんと火の鶏の話を聞いている。

「娘さんを僕にくださいと言っています」
「ダメ!」

 この鶏、なにを言い出すんだ。幻獣だがなんだか知らんがモモはやらんぞ!

「コケ」

 頭を地面に擦り付けて、羽をバタバタさせて懇願してくるがダメなものはダメだぞ!
 モモが1羽の鶏を抱えて小屋から出てくると、火の鶏と仲良そうに体を擦り付けている。娘ってまさか、その子のことか?

「お父さん、仲良そうですがダメですか?」
「いや、ごめん。うん、いいんじゃないかな」
 
勘違いしちゃってごめんね。モモのことじゃないのか、そうだよね。
なんか罪悪感が……卵が1つ減っちゃうのは悲しいけど、いいんじゃないかな。

「コケー!」
「とても感謝していると言ってます」

 翼をはためかせて、とても喜んでくれているのがわかる。

「うん、なんとなくはわかる」

 なんか鶏見てたら鶏肉食いたくなってきたな。

「コケ!」

 別にお前の嫁を食べようなんて思ってないよ。クリスマスにプロポーズして成功するなんて羨ましい限りだね。

「それにしてもいつの間に愛を育んでたんだよ」
「コケ」
「一目惚れだそうです」

 出会って直ぐにとかマジかよ。俺もそのくらいモテてみたいんだけど。
 ムカつくから今日は七面鳥に挑戦してみよう。
 
「コケ」
「お父さん、家をくださいと言ってます」
「鶏小屋に一緒に住んでいいけど?」
「コケー!」

 絶対に別に新居を作れと言っているだろ。図々しいやつだ。

「新居が欲しいそうです。お父さん、家族になったお祝いにとクリスマスですし、どうでしょうか?」
「そうだなー。お前、モモに感謝しろよ」
「コケー!」
「よかったですね」

 祝い事だし、木にも余裕はあるからいいか。金がゴリゴリ減っていくけど。
 こいつらの子供はどんな子が生まれるのか少し気になるな。父親に似てブサイクに生まれてこないといいね。
 頑張れよと、嫁さんの頭を撫でて、新居を建ててやる。

「それじゃあ、家に戻るか」
「はい!

 アクシデント? はあったものの、動物達のお世話も終わったので、家に戻る。
 モモがフェニックスさんの子供楽しみですね、みたいな話をした。モモは赤ちゃんがどこからやってくるのか知ってるのかな。その辺のデリケートな話は前に聞いたことがあるのか自然の摂理としてさくらさんなどから説明があったのかな?
 まぁ深く聞くこともできないけど。

 自宅に戻って、ショッピングサイトで七面鳥を買おうかと思ったが、高くて手が出なかったので、もも肉を購入してクリスマスチキンを調理する。
 オーブントースターしかないので、ちゃんとしたオーブンが欲しくなってくる。来年こそお金を貯めて家の増築をするぞ。
 夜にはチキンと野菜をゴロゴロと入れたクリームシチューとパンを並べてクリスマスっぽい食事を堪能する。
 
「ごちそうさまでした!」
「お粗末さま。シチューはどうだった?」
「美味しかったです!」

 今回はお手軽にルーを購入させてもらったがルーなしでの調理もチャレンジしてみようかな。
 さてさて、クリスマスの締めといえばこれだろうな。

「お父さん、この白くて綺麗な食べ物? はなんですか?」
「ケーキだよ」

 今回はオードソックスにショートケーキを購入した。切り分けて、それぞれの皿に乗せていく、モモの顔が一番キラキラしている。

「にゃーん」

 姉さんかモモが最初に食べてごらんと促されて、フォークでゆっくりとショートケーキを掬い上げる。
 1口、また1口と無言で口に運ぶ。そして空になった皿を無言で眺める。

「お父さん、私の分のケーキがありません」
「え? 今食べたよね」
「食べてません」

 モモがおかしくなってしまった? このケーキには毒でも入ってたかな。試しに1口食べてみるが普通に美味しい。

「これは美味しいですね。聖国にあるケーキとは比べ物になりません」
「へー、ビクドにもケーキってあるんですね」
「とても貴重で高価なので、そうそう食べられませんがね」
「お父さん、私の分のケーキがありません」

 モモ、どうしちゃったの? わかったよ、もう1つ乗せればいいんだよね。
 皿に乗せられたケーキを見て、満面の笑みを浮かべて、早々にケーキを完食してしまう。

「お父さん、私の分のケーキがありません」

 甘い物って怖いな。いや、甘い物に関連するモモが怖い。

 




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