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八百万
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真面目そうな坊主から出るとは思えないような、宗教名が出てきた。マジなのか? 最初に作ったのってエルフさんに拾われた異世界人だよな。性癖に忠実で素直というか、それが後世で宗教になってるってどんな気持ちなんだろうか。
「なんていうか変わった宗教だな」
「そうですかね? 素晴らしい教えですよ。自分は『筋肉教』も信仰しておりますが」
筋肉教? なんか教えとかが複数あるのか? 筋肉が好きなのは見ていればわかるけどさ。
「その褐色エルフなんとか教っていう1つの宗教ではないんですか?」
「悠様は面白いことをおっしゃいますね」
面白いことを言ったつもりはないんだけど。異世界と言えば宗教国家って1人の神をガチガチ祭って、結束力もあって、危険な手段ってイメージなんだけど。
「面白いこと言ったつもりもないんですけど。それと呼び捨てで、悠でいいですよ」
「ここまで良くしていただいた方を呼び捨てにはできません。では悠殿で如何でしょうか?」
「ソーズさんがそれでいいなら、俺はいいですけど。それでビクドの宗教関連ってどうなってるんですか?」
「ビクドの開祖、である指導者ユージ様が作られた褐色白髪エルフっ子大好き教はやはり崇拝されていますね。いわゆる外せないコンテンツですよ。『雷使いのノワールちゃん』は」
「ノワールちゃんですか……」
何を言ってるんだろうかコイツ。
「全30巻と非常に聖書の中でも読みやすい部類ですね。漫画版なら120巻となっています」
「聖書って漫画もあるんですか?」
「ええ、異世界人の勇者の方が広めてくれた素晴らしい叡智ですね。開祖様の教えですが、褐色エルフっ子については巫女様を敬うことも含めてビクドの根幹となっていますが、敬うべき神はそれぞれにいてよく、神は様々なとこに存在すると言われています」
「にゃーん」
「そっすね、八百万の神みたいな考え方なんですかね」
坊主がほほうと感心した様子で俺を見てくる。
「悠殿はお詳しいですね。そうです様々のとこに、物に神は存在するのですから、どんな神を祀ってもいいんです!」
寛容な考え方ではあるけど、エルフっ子とか筋肉とかはありなのか?
まさか巨乳とかもあるのだろうか。なんか聖書が30巻といい、漫画といい、サークルみたいな国家だな。
「夏と冬には、大きなお祭りがありまして、これまでの努力の結果を見せたり、販売したりするのです」
それはなんていうコミックマーケットなんだろうか。
「思ったよりも楽しそうな国家ですね……でもそんなに沢山の宗教があって喧嘩しないんですか?」
「そうですね、様々な信仰はあれど、褐色白髪エルフっ子という支柱がありますから互いに尊重しあっていますよ」
その支柱は怖すぎる。
「経典とかあったりするんですか? ルール的な」
「ございますよ。どうぞ」
ソーズさんも収納魔法使えるのか。生徒手帳サイズの経典を手渡されたので、開いて中を確認してみると、中学生の時の生徒手帳の中身と似たようなことしか書いていない。
まずはノワールちゃんの主題歌と言えばいいのか、国家と言うべきなのか、魔法少女ちっくな歌詞が並んでおり、あとは校則とか一般的な常識が書き記されている。
人の嫌がることはやめようとか、挨拶はちゃんとしよう、人を見た目で判断しない、礼儀正しくとか、ごく普通のことだけど、この厳しい世界ではこんな一般的な常識がきっと大事だと考えて、エルフ大好きさんが作成したんだろう。
これが全て守られるとしたらとても優しい世界だと思う。
「信仰対象はともかくいい経典ですね」
「そうでしょう。悠殿も入信されませんか? 素質あると思いますよ」
「遠慮しておきます。褐色白髪エルフっ子が好きなんじゃなくて、俺はモモが好きだから愛でてるんです」
モモが嬉しそうにエヘヘと頭を出してくるので、撫でましてやる。
大好きさんは、なんでこんな主教を作ったんのだろうか? やっぱり白髪のエルフは特別な力があって、それを保護するための手段だったのだろうか。
「それは残念です。では筋肉教だけでも如何ですか?」
「そこまで筋肉に興味ないので大丈夫です」
ソーズさんがさっき断った時よりも、ショボーンとしている。外での仕事が増えて筋肉が付くのは悪い気はしないけど、積極的に鍛えようとまでは思えないんだよなぁ。
俺自身は無宗教というか、そういう事に関してはあんまり興味はなかったし、何かを押し付けられるのは苦手だけどビクドには少し興味がわいてしまった。
「そういえば、ソーズさんはこれからどうするんですか?」
「明日、お手伝いできることがあれば、ご飯や泊めていただけたお礼にお手伝いをして、修行に戻ろうと思っています。良き出会には恵まれましたので、またお伺いしたと思います」
もう少しビクドの話も聞きたかったけど、修行中ということであれば強く引き留めても迷惑か。
「お礼とか本当に気にしないでください。またビクドの話も聞きたいので今度は漫画とかも持ってきてくださいよ」
「野良仕事であれば修行の一環のようなものですからお手伝いさせてください。漫画は次回にはご用意してきましょう」
「なんていうか変わった宗教だな」
「そうですかね? 素晴らしい教えですよ。自分は『筋肉教』も信仰しておりますが」
筋肉教? なんか教えとかが複数あるのか? 筋肉が好きなのは見ていればわかるけどさ。
「その褐色エルフなんとか教っていう1つの宗教ではないんですか?」
「悠様は面白いことをおっしゃいますね」
面白いことを言ったつもりはないんだけど。異世界と言えば宗教国家って1人の神をガチガチ祭って、結束力もあって、危険な手段ってイメージなんだけど。
「面白いこと言ったつもりもないんですけど。それと呼び捨てで、悠でいいですよ」
「ここまで良くしていただいた方を呼び捨てにはできません。では悠殿で如何でしょうか?」
「ソーズさんがそれでいいなら、俺はいいですけど。それでビクドの宗教関連ってどうなってるんですか?」
「ビクドの開祖、である指導者ユージ様が作られた褐色白髪エルフっ子大好き教はやはり崇拝されていますね。いわゆる外せないコンテンツですよ。『雷使いのノワールちゃん』は」
「ノワールちゃんですか……」
何を言ってるんだろうかコイツ。
「全30巻と非常に聖書の中でも読みやすい部類ですね。漫画版なら120巻となっています」
「聖書って漫画もあるんですか?」
「ええ、異世界人の勇者の方が広めてくれた素晴らしい叡智ですね。開祖様の教えですが、褐色エルフっ子については巫女様を敬うことも含めてビクドの根幹となっていますが、敬うべき神はそれぞれにいてよく、神は様々なとこに存在すると言われています」
「にゃーん」
「そっすね、八百万の神みたいな考え方なんですかね」
坊主がほほうと感心した様子で俺を見てくる。
「悠殿はお詳しいですね。そうです様々のとこに、物に神は存在するのですから、どんな神を祀ってもいいんです!」
寛容な考え方ではあるけど、エルフっ子とか筋肉とかはありなのか?
まさか巨乳とかもあるのだろうか。なんか聖書が30巻といい、漫画といい、サークルみたいな国家だな。
「夏と冬には、大きなお祭りがありまして、これまでの努力の結果を見せたり、販売したりするのです」
それはなんていうコミックマーケットなんだろうか。
「思ったよりも楽しそうな国家ですね……でもそんなに沢山の宗教があって喧嘩しないんですか?」
「そうですね、様々な信仰はあれど、褐色白髪エルフっ子という支柱がありますから互いに尊重しあっていますよ」
その支柱は怖すぎる。
「経典とかあったりするんですか? ルール的な」
「ございますよ。どうぞ」
ソーズさんも収納魔法使えるのか。生徒手帳サイズの経典を手渡されたので、開いて中を確認してみると、中学生の時の生徒手帳の中身と似たようなことしか書いていない。
まずはノワールちゃんの主題歌と言えばいいのか、国家と言うべきなのか、魔法少女ちっくな歌詞が並んでおり、あとは校則とか一般的な常識が書き記されている。
人の嫌がることはやめようとか、挨拶はちゃんとしよう、人を見た目で判断しない、礼儀正しくとか、ごく普通のことだけど、この厳しい世界ではこんな一般的な常識がきっと大事だと考えて、エルフ大好きさんが作成したんだろう。
これが全て守られるとしたらとても優しい世界だと思う。
「信仰対象はともかくいい経典ですね」
「そうでしょう。悠殿も入信されませんか? 素質あると思いますよ」
「遠慮しておきます。褐色白髪エルフっ子が好きなんじゃなくて、俺はモモが好きだから愛でてるんです」
モモが嬉しそうにエヘヘと頭を出してくるので、撫でましてやる。
大好きさんは、なんでこんな主教を作ったんのだろうか? やっぱり白髪のエルフは特別な力があって、それを保護するための手段だったのだろうか。
「それは残念です。では筋肉教だけでも如何ですか?」
「そこまで筋肉に興味ないので大丈夫です」
ソーズさんがさっき断った時よりも、ショボーンとしている。外での仕事が増えて筋肉が付くのは悪い気はしないけど、積極的に鍛えようとまでは思えないんだよなぁ。
俺自身は無宗教というか、そういう事に関してはあんまり興味はなかったし、何かを押し付けられるのは苦手だけどビクドには少し興味がわいてしまった。
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もう少しビクドの話も聞きたかったけど、修行中ということであれば強く引き留めても迷惑か。
「お礼とか本当に気にしないでください。またビクドの話も聞きたいので今度は漫画とかも持ってきてくださいよ」
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