42 / 180
豊作②
しおりを挟む
★ガンジュ視点
「そうビビるなガンジュくん。8割くらいしか怒っていない」
「ウケる! さくらお姉様、それめっちゃ怒ってるやつじゃないですか」
竜王様と和気藹々としているがこっちは生きた心地がしない。悠め、口止めしていたのに。
「悠には口止めしていたようだが、酒を飲ませたら口が滑らかになったよ。直接、君からは説明を受けたとは明言しなかったが、君が如何に素晴らしい人物かと話されてウザかったよ」
「申し訳ございません」
「流石はこの国でも仏とか慈愛とかの二つ名がある人物だ、人をたらし込むのも上手いな」
「恐縮です」
下手な回答をしたらどうなるかわからんな。ヒガシ殿を竜王様が黙らせたのも頷ける。
「さくらお姉様は何用でいらっしゃったんですか?」
「用がなければ来てはダメなのか?」
「用がなければ姿を現す方ではないではないですか」
あの竜王様がまともな会話をしている。
「そうだな。1つはお前たちがあの実りをどう扱うか見たかったと言うのもある」
「我々は合格ですか?」
「そこのガンジュに救われた感はあるがな。2つ目の目的はその男の人となりを見極めたいのもあった」
「随分、悠という人物を気に入っているのですね」
「ふん。念のためだ、あそこには私以上に怖い姉様がいるからな。彼の御仁に滞在など認められた人物なら杞憂だとは思ったが」
「さくら姉様以上に怖いってどんな人なんですか?」
「美しい黒猫殿だよ。それで熊くん、帝国にいくのであればこれを持っていくといい」
「はい」
さくら様からサカイに書状なような物を渡される。
「これで皇帝には会うことができるだろう。あいつもそう長くない、急いで行ってきなさい」
「わかりました。ありがとうございます」
サカイが許可を求めるように竜王様を見ると、1つ頷かれたので、サカイは急いで会議室の外にで出ていく。
出ていく間際に俺の肩をあとは頼むぞと言わんばかりに叩いて出ていった。勘弁してくれ。
「貴女が表舞台に出てくるとは本当に意外ですよ。学校の件も」
「もう感知していた。お前と私の仲だ、数名であれば受け入れてもいいぞ」
「さくら姉様に教えを乞うことができるとは、私が行きたいとこですね」
ダメですよ竜王様!
「熊のいぬ間にと思いましたが、そこの狼がゆるしてくれそうにありません。妹とそこの愚弟をお願いできますでしょうか」
「いいぞ、ちょうど建設に人手も欲しかったのだ。存分にこき使ってやろう」
ヒガシ殿が口をぱくぱくとさせている。拒否権はない、頑張ってくれ。
「ありがとうございます。あとは帝国や王国はいいとして、問題は聖国ですが、あそこは我々の隣で癖も強く。飛び抜けた力を持つ者もいますから色々厄介なんですよねー」
「神の啓示があったとかで、【武神】が悠のいる森方面に動き出している。悠のことだ、なんらかのアクションが起きるだろうし、今回はそれ待ちでもいいだろう」
「巻き込まれ体質なんですか、その子は」
「嫁が欲しいとか言ってたし、神とまた一悶着あったのではないか?」
「多様性の時代ですから、まぁそれもありなんですかね」
たぶんではあるが、悠と神との間に大きな誤解が発生している気がする。
だが武神といえば聖国でも明階でありなが特級の資格を与えられている武闘派と聞いている。人間で数少ない竜王様ともいい勝負ができる人物ではないだろうか。
そんな人物が悠のところに……杏殿も大福様もいらっしゃる、万が一は起きないだろうし大丈夫か。
「今回の豊作の件を含めて、礼をしなければならん。彼の森には人を送りたいが、熊がいないので、トヨナカを出す訳には行かなくなった。任せられる者はいるか?」
エリザベスに任せたい所だが、俺が抜けるとなると彼女がいないと仕事が回らない。アダメは騒がしい。ドナルドは口数は少ないので、使者として向かないが悠とは不思議と意思疎通ができていたので問題ないか。
「以前に同行していた者の1人に任せたいと考えています」
「ハハッ! 竜王様、僕も同行してよろしいでしょうか?」
「ヒラカタかー」
竜王様がこいつ大丈夫だと思う? 見たな目を俺に向けてくる。
ヒラカタは料理全般、食材や生育まで詳しい、畑仕事にも精通しているので悠の力になるだろうか? しかしながら性格が少し尖っている。問題ないだろうか、うーむ。サカイが残ってくれれば俺が行けば問題なかったのだが。
「ハハッ! 使者として礼を述べるのであれば、使者の格も必要です。畑関連は私も任せられる部下がいますし、彼の地を私が見ることでわかることや、持ち帰れることも多いと考えます!」
「建前としては最もだのうー。まぁいいか。いいぞ」
「竜王様、少し雑ではないですか……ヒラカタ、あの家族には礼を持って接しろよ」
「ハハッ! 勿論だよ!」
「なかなかに面白い奴だな! 心配はない、お前が問題を起こしても飛ぶのはお前の首とガンジュくんの首くらいものだ!」
さくら様の言葉が冗談であることを祈りたい。頼んだぞドナルド。
「そうビビるなガンジュくん。8割くらいしか怒っていない」
「ウケる! さくらお姉様、それめっちゃ怒ってるやつじゃないですか」
竜王様と和気藹々としているがこっちは生きた心地がしない。悠め、口止めしていたのに。
「悠には口止めしていたようだが、酒を飲ませたら口が滑らかになったよ。直接、君からは説明を受けたとは明言しなかったが、君が如何に素晴らしい人物かと話されてウザかったよ」
「申し訳ございません」
「流石はこの国でも仏とか慈愛とかの二つ名がある人物だ、人をたらし込むのも上手いな」
「恐縮です」
下手な回答をしたらどうなるかわからんな。ヒガシ殿を竜王様が黙らせたのも頷ける。
「さくらお姉様は何用でいらっしゃったんですか?」
「用がなければ来てはダメなのか?」
「用がなければ姿を現す方ではないではないですか」
あの竜王様がまともな会話をしている。
「そうだな。1つはお前たちがあの実りをどう扱うか見たかったと言うのもある」
「我々は合格ですか?」
「そこのガンジュに救われた感はあるがな。2つ目の目的はその男の人となりを見極めたいのもあった」
「随分、悠という人物を気に入っているのですね」
「ふん。念のためだ、あそこには私以上に怖い姉様がいるからな。彼の御仁に滞在など認められた人物なら杞憂だとは思ったが」
「さくら姉様以上に怖いってどんな人なんですか?」
「美しい黒猫殿だよ。それで熊くん、帝国にいくのであればこれを持っていくといい」
「はい」
さくら様からサカイに書状なような物を渡される。
「これで皇帝には会うことができるだろう。あいつもそう長くない、急いで行ってきなさい」
「わかりました。ありがとうございます」
サカイが許可を求めるように竜王様を見ると、1つ頷かれたので、サカイは急いで会議室の外にで出ていく。
出ていく間際に俺の肩をあとは頼むぞと言わんばかりに叩いて出ていった。勘弁してくれ。
「貴女が表舞台に出てくるとは本当に意外ですよ。学校の件も」
「もう感知していた。お前と私の仲だ、数名であれば受け入れてもいいぞ」
「さくら姉様に教えを乞うことができるとは、私が行きたいとこですね」
ダメですよ竜王様!
「熊のいぬ間にと思いましたが、そこの狼がゆるしてくれそうにありません。妹とそこの愚弟をお願いできますでしょうか」
「いいぞ、ちょうど建設に人手も欲しかったのだ。存分にこき使ってやろう」
ヒガシ殿が口をぱくぱくとさせている。拒否権はない、頑張ってくれ。
「ありがとうございます。あとは帝国や王国はいいとして、問題は聖国ですが、あそこは我々の隣で癖も強く。飛び抜けた力を持つ者もいますから色々厄介なんですよねー」
「神の啓示があったとかで、【武神】が悠のいる森方面に動き出している。悠のことだ、なんらかのアクションが起きるだろうし、今回はそれ待ちでもいいだろう」
「巻き込まれ体質なんですか、その子は」
「嫁が欲しいとか言ってたし、神とまた一悶着あったのではないか?」
「多様性の時代ですから、まぁそれもありなんですかね」
たぶんではあるが、悠と神との間に大きな誤解が発生している気がする。
だが武神といえば聖国でも明階でありなが特級の資格を与えられている武闘派と聞いている。人間で数少ない竜王様ともいい勝負ができる人物ではないだろうか。
そんな人物が悠のところに……杏殿も大福様もいらっしゃる、万が一は起きないだろうし大丈夫か。
「今回の豊作の件を含めて、礼をしなければならん。彼の森には人を送りたいが、熊がいないので、トヨナカを出す訳には行かなくなった。任せられる者はいるか?」
エリザベスに任せたい所だが、俺が抜けるとなると彼女がいないと仕事が回らない。アダメは騒がしい。ドナルドは口数は少ないので、使者として向かないが悠とは不思議と意思疎通ができていたので問題ないか。
「以前に同行していた者の1人に任せたいと考えています」
「ハハッ! 竜王様、僕も同行してよろしいでしょうか?」
「ヒラカタかー」
竜王様がこいつ大丈夫だと思う? 見たな目を俺に向けてくる。
ヒラカタは料理全般、食材や生育まで詳しい、畑仕事にも精通しているので悠の力になるだろうか? しかしながら性格が少し尖っている。問題ないだろうか、うーむ。サカイが残ってくれれば俺が行けば問題なかったのだが。
「ハハッ! 使者として礼を述べるのであれば、使者の格も必要です。畑関連は私も任せられる部下がいますし、彼の地を私が見ることでわかることや、持ち帰れることも多いと考えます!」
「建前としては最もだのうー。まぁいいか。いいぞ」
「竜王様、少し雑ではないですか……ヒラカタ、あの家族には礼を持って接しろよ」
「ハハッ! 勿論だよ!」
「なかなかに面白い奴だな! 心配はない、お前が問題を起こしても飛ぶのはお前の首とガンジュくんの首くらいものだ!」
さくら様の言葉が冗談であることを祈りたい。頼んだぞドナルド。
33
お気に入りに追加
1,130
あなたにおすすめの小説
俺とシロ
マネキネコ
ファンタジー
【完結済】(全面改稿いたしました)
俺とシロの異世界物語
『大好きなご主人様、最後まで守ってあげたかった』
ゲンが飼っていた犬のシロ。生涯を終えてからはゲンの守護霊の一位(いちい)として彼をずっと傍で見守っていた。そんなある日、ゲンは交通事故に遭い亡くなってしまう。そうして、悔いを残したまま役目を終えてしまったシロ。その無垢(むく)で穢(けが)れのない魂を異世界の女神はそっと見つめていた。『聖獣フェンリル』として申し分のない魂。ぜひ、スカウトしようとシロの魂を自分の世界へ呼び寄せた。そして、女神からフェンリルへと転生するようにお願いされたシロであったが。それならば、転生に応じる条件として元の飼い主であったゲンも一緒に転生させて欲しいと女神に願い出たのだった。この世界でなら、また会える、また共に生きていける。そして、『今度こそは、ぜったい最後まで守り抜くんだ!』 シロは決意を固めるのであった。
シロは大好きなご主人様と一緒に、異世界でどんな活躍をしていくのか?
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
俺と幼女とエクスカリバー
鏡紫郎
ファンタジー
憧れた世界で人をやめ、彼女と出会い、そして俺は初めてあたりまえの恋におちた。
見知らぬ少女を助け死んだ俺こと明石徹(アカシトオル)は、中二病をこじらせ意気揚々と異世界転生を果たしたものの、目覚めるとなんと一本の「剣」になっていた。
最初の持ち主に使いものにならないという理由であっさりと捨てられ、途方に暮れる俺の目の前に現れたのは……なんと幼女!?
しかもこの幼女俺を復讐のために使うとか言ってるし、でもでも意思疎通ができるのは彼女だけで……一体この先どうなっちゃうの!?
剣になった少年と無口な幼女の冒険譚、ここに開幕
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
ブロック作成スキルで、もふもふスローライフを目指すことにした
うみ
ファンタジー
もふもふ犬と悪魔少女と共に異世界ジャングルでオートキャンプする!
俺こと日野良介は、異世界のジャングルに転移してしまった。道具も何も持たずに放り出された俺だったが、特殊能力ブロック作成でジャングルの中に安心して住める家を作る。
うっかり拾ってしまった現地人の悪魔っ娘、俺と同時に転移してきたと思われるポチ、喋るの大好き食いしん坊カラスと一緒に、少しずつ手探りで、異世界での生活を充実させていく。
サバイバル生活から楽々スローライフを目指す!
衣食住を充実させるのだ。
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる