家庭菜園物語

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豊作②

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★ガンジュ視点

「そうビビるなガンジュくん。8割くらいしか怒っていない」
「ウケる! さくらお姉様、それめっちゃ怒ってるやつじゃないですか」

 竜王様と和気藹々としているがこっちは生きた心地がしない。悠め、口止めしていたのに。

「悠には口止めしていたようだが、酒を飲ませたら口が滑らかになったよ。直接、君からは説明を受けたとは明言しなかったが、君が如何に素晴らしい人物かと話されてウザかったよ」
「申し訳ございません」
「流石はこの国でも仏とか慈愛とかの二つ名がある人物だ、人をたらし込むのも上手いな」
「恐縮です」

 下手な回答をしたらどうなるかわからんな。ヒガシ殿を竜王様が黙らせたのも頷ける。

「さくらお姉様は何用でいらっしゃったんですか?」
「用がなければ来てはダメなのか?」
「用がなければ姿を現す方ではないではないですか」

 あの竜王様がまともな会話をしている。

「そうだな。1つはお前たちがあの実りをどう扱うか見たかったと言うのもある」
「我々は合格ですか?」
「そこのガンジュに救われた感はあるがな。2つ目の目的はその男の人となりを見極めたいのもあった」
「随分、悠という人物を気に入っているのですね」
「ふん。念のためだ、あそこには私以上に怖い姉様がいるからな。彼の御仁に滞在など認められた人物なら杞憂だとは思ったが」
「さくら姉様以上に怖いってどんな人なんですか?」
「美しい黒猫殿だよ。それで熊くん、帝国にいくのであればこれを持っていくといい」
「はい」

 さくら様からサカイに書状なような物を渡される。

「これで皇帝には会うことができるだろう。あいつもそう長くない、急いで行ってきなさい」
「わかりました。ありがとうございます」

 サカイが許可を求めるように竜王様を見ると、1つ頷かれたので、サカイは急いで会議室の外にで出ていく。
 出ていく間際に俺の肩をあとは頼むぞと言わんばかりに叩いて出ていった。勘弁してくれ。

「貴女が表舞台に出てくるとは本当に意外ですよ。学校の件も」
「もう感知していた。お前と私の仲だ、数名であれば受け入れてもいいぞ」
「さくら姉様に教えを乞うことができるとは、私が行きたいとこですね」

 ダメですよ竜王様!

「熊のいぬ間にと思いましたが、そこの狼がゆるしてくれそうにありません。妹とそこの愚弟をお願いできますでしょうか」
「いいぞ、ちょうど建設に人手も欲しかったのだ。存分にこき使ってやろう」

 ヒガシ殿が口をぱくぱくとさせている。拒否権はない、頑張ってくれ。

「ありがとうございます。あとは帝国や王国はいいとして、問題は聖国ですが、あそこは我々の隣で癖も強く。飛び抜けた力を持つ者もいますから色々厄介なんですよねー」
「神の啓示があったとかで、【武神】が悠のいる森方面に動き出している。悠のことだ、なんらかのアクションが起きるだろうし、今回はそれ待ちでもいいだろう」
「巻き込まれ体質なんですか、その子は」
「嫁が欲しいとか言ってたし、神とまた一悶着あったのではないか?」
「多様性の時代ですから、まぁそれもありなんですかね」

 たぶんではあるが、悠と神との間に大きな誤解が発生している気がする。
 だが武神といえば聖国でも明階でありなが特級の資格を与えられている武闘派と聞いている。人間で数少ない竜王様ともいい勝負ができる人物ではないだろうか。
 そんな人物が悠のところに……杏殿も大福様もいらっしゃる、万が一は起きないだろうし大丈夫か。

「今回の豊作の件を含めて、礼をしなければならん。彼の森には人を送りたいが、熊がいないので、トヨナカを出す訳には行かなくなった。任せられる者はいるか?」

 エリザベスに任せたい所だが、俺が抜けるとなると彼女がいないと仕事が回らない。アダメは騒がしい。ドナルドは口数は少ないので、使者として向かないが悠とは不思議と意思疎通ができていたので問題ないか。

「以前に同行していた者の1人に任せたいと考えています」
「ハハッ! 竜王様、僕も同行してよろしいでしょうか?」
「ヒラカタかー」

 竜王様がこいつ大丈夫だと思う? 見たな目を俺に向けてくる。
 ヒラカタは料理全般、食材や生育まで詳しい、畑仕事にも精通しているので悠の力になるだろうか? しかしながら性格が少し尖っている。問題ないだろうか、うーむ。サカイが残ってくれれば俺が行けば問題なかったのだが。

「ハハッ! 使者として礼を述べるのであれば、使者の格も必要です。畑関連は私も任せられる部下がいますし、彼の地を私が見ることでわかることや、持ち帰れることも多いと考えます!」
「建前としては最もだのうー。まぁいいか。いいぞ」
「竜王様、少し雑ではないですか……ヒラカタ、あの家族には礼を持って接しろよ」
「ハハッ! 勿論だよ!」
「なかなかに面白い奴だな! 心配はない、お前が問題を起こしても飛ぶのはお前の首とガンジュくんの首くらいものだ!」

 さくら様の言葉が冗談であることを祈りたい。頼んだぞドナルド。



 
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