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麦
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「麦畑が金色です!」
「わん」
見事、黄金色に実った畑の中をモモと大福が駆け回る。稲とは少し違った風景ではあるが、綺麗だ。
「それじゃあ、収穫していくぞー」
モモも収穫を手伝いたいとのことで、鎌を1本追加して2人で刈り進めていくが、思った以上に腰が痛い。普段使わない筋肉が軋む。
自動的に刈り取れる機械とかないのかよ。まぁ流石にないんだろうけど。
「にゃーん」
「やっぱり、数ヶ月程度では体はついていかないっすね」
俺に比べてもモモはどんどん麦を刈り進めている。さくらさんに出された課題の消化だけでなく、早朝のランニングや自主トレを大福と一緒に行っており、体のキレが増しているような気がする。
娘に頼りっぱなしの父親というのは情けなさすぎる。適材適所とはいえ、流石にモモだけに任せるわけにはいかない。
「モモ、もう半分終わっただろう? 残りは俺の取り分だからね」
「え、でも……」
「にゃーん」
「はい、わかりました。 ではお父さん、頑張ってください!」
モモの応援があれば百人力! と言いたいが、スピードが劇的に上がるわけではない。
これが終わったら、パンを焼くための窯を購入はしているので、焼き立てのパンをモモ達と一緒に食べるのだ。
「ひー、疲れた」
「お父さん、お疲れ様です。取れた麦はこれに入れていけばいいんですか?」
「そうだね、えっと小麦に設定をしてと。どんどん入れていこう」
箱の中に小麦、大麦みたいなボタンがあり、小麦に設定して一杯になるまで入れて、閉めてみると見事な小麦粉になっている。
箱には取り出し口? のような蛇口がついているので、ある程度の高さに箱を置いて、蛇口を回すとサラサラと綺麗な小麦粉が落ちてくる。
順番に小麦用の袋に入れていき、それを繰り返していくと10個の袋が完成した。
「1つ10キロ計算だから100キロか。思ったよりも多いな」
「こんなに綺麗な小麦を見るのは初めてです!」
購入しているパンも美味しいと言ってくれたが、焼き立てなら更に美味しくなるだろうし、モモも喜んでくれるだろう。でも今回はただのパンを焼くわけではない。もう作る物は決まっている。
購入した窯は家のスペースを圧迫することはなく、窯用のスペースが広がった状態になった。そしてこの窯は燻製器のように材料さえいれてしまえば、パンについてはオートで作ってくれる非常に優れ物な商品なのである。流石は10万円。
パンをこねるとか焼くとかハードルが高いので正直助かる。
小麦粉を500g入れると、窯の前に表示された画面沿って食パンを選択する。完成時間は30分となっている。
「お父さん、最初は何を作るんですか?」
「まずは食パンかな、色々塗って食べてみよう」
パンが焼きあがるまでの間に、マーガリン、苺ジャムを購入しておく。あとはサンドウィッチにするのありだな。
燻製肉を簡単に焼いて、トマトやキャベツ、きゅうりなどの野菜も挟めるように食材の用意だけしておく。
--チーンという、トースターみたいな完成音が部屋の中に響くと、部屋の中がパンの良い香りで一杯になる。
「いい匂いです!」
「ちょっと待ってな、熱いかもしれないから俺が出すから」
用意しておいたオーブン用の手袋をはめて、食パンを取り出す。
パン屋で見るような、見事な食パンが2斤完成していた。台所に移して、適度な大きさに切っていき、テーブルに並べる。今日はビュッフェスタイルである。
「にゃーん」
姉さんの号令で、パンを手元に置く。全員、まずはそのまま味を確認するために何も付けないで齧りつく。
「これは美味い!」
「お父さんが買ってくれるパンも美味しいですが、このパンはそれ以上に柔らかくて、美味しいです!」
「わん」
「大福様はパンだけでは味気ないそうです」
なんだかんだでお前はやっぱり肉か。大福用にパンにマーガリンを塗り、はみ出すほどの大量の肉と野菜、トマトを挟んで置くと、器用に前脚を使って齧りつく。
「にゃーん」
「姉さんはやっぱり米派ですか。今度は別で用意しますね」
「にゃーん」
「手間なんかじゃないですよ」
最近は大福も姉さんも動物用のご飯より、俺の料理を好んで頼んでくれる。大企業のご飯より俺の飯を美味しいと言ってくれるのは少し嬉しい。まぁ本来は食べたらダメなものも多いけど、厳密に言えば動物っていう枠組みではないからな。
モモはジャムが気に入ったのか、瓶を1つ使用する勢いで大量につけて食べていたので、つけ過ぎも良くないので注意を促したら少しショボーンとしていた。甘い物って基本少ないもんなー。実はチョコとかケーキなんてものも買えないわけではないけど、お金の問題と刺激が強すぎるかと思って出したことはない。
チョコクリームとか出した日にそのまま食べてしまいそうだ。女の子というのはどこの世界でも甘い物が好きだものね。
「にゃーん」
「ですねー、うんども食べたいですね。スープは少しこだわって、ネギに少し肉を入れて……製麺機も欲しくなってきますね」
「わん」
見事、黄金色に実った畑の中をモモと大福が駆け回る。稲とは少し違った風景ではあるが、綺麗だ。
「それじゃあ、収穫していくぞー」
モモも収穫を手伝いたいとのことで、鎌を1本追加して2人で刈り進めていくが、思った以上に腰が痛い。普段使わない筋肉が軋む。
自動的に刈り取れる機械とかないのかよ。まぁ流石にないんだろうけど。
「にゃーん」
「やっぱり、数ヶ月程度では体はついていかないっすね」
俺に比べてもモモはどんどん麦を刈り進めている。さくらさんに出された課題の消化だけでなく、早朝のランニングや自主トレを大福と一緒に行っており、体のキレが増しているような気がする。
娘に頼りっぱなしの父親というのは情けなさすぎる。適材適所とはいえ、流石にモモだけに任せるわけにはいかない。
「モモ、もう半分終わっただろう? 残りは俺の取り分だからね」
「え、でも……」
「にゃーん」
「はい、わかりました。 ではお父さん、頑張ってください!」
モモの応援があれば百人力! と言いたいが、スピードが劇的に上がるわけではない。
これが終わったら、パンを焼くための窯を購入はしているので、焼き立てのパンをモモ達と一緒に食べるのだ。
「ひー、疲れた」
「お父さん、お疲れ様です。取れた麦はこれに入れていけばいいんですか?」
「そうだね、えっと小麦に設定をしてと。どんどん入れていこう」
箱の中に小麦、大麦みたいなボタンがあり、小麦に設定して一杯になるまで入れて、閉めてみると見事な小麦粉になっている。
箱には取り出し口? のような蛇口がついているので、ある程度の高さに箱を置いて、蛇口を回すとサラサラと綺麗な小麦粉が落ちてくる。
順番に小麦用の袋に入れていき、それを繰り返していくと10個の袋が完成した。
「1つ10キロ計算だから100キロか。思ったよりも多いな」
「こんなに綺麗な小麦を見るのは初めてです!」
購入しているパンも美味しいと言ってくれたが、焼き立てなら更に美味しくなるだろうし、モモも喜んでくれるだろう。でも今回はただのパンを焼くわけではない。もう作る物は決まっている。
購入した窯は家のスペースを圧迫することはなく、窯用のスペースが広がった状態になった。そしてこの窯は燻製器のように材料さえいれてしまえば、パンについてはオートで作ってくれる非常に優れ物な商品なのである。流石は10万円。
パンをこねるとか焼くとかハードルが高いので正直助かる。
小麦粉を500g入れると、窯の前に表示された画面沿って食パンを選択する。完成時間は30分となっている。
「お父さん、最初は何を作るんですか?」
「まずは食パンかな、色々塗って食べてみよう」
パンが焼きあがるまでの間に、マーガリン、苺ジャムを購入しておく。あとはサンドウィッチにするのありだな。
燻製肉を簡単に焼いて、トマトやキャベツ、きゅうりなどの野菜も挟めるように食材の用意だけしておく。
--チーンという、トースターみたいな完成音が部屋の中に響くと、部屋の中がパンの良い香りで一杯になる。
「いい匂いです!」
「ちょっと待ってな、熱いかもしれないから俺が出すから」
用意しておいたオーブン用の手袋をはめて、食パンを取り出す。
パン屋で見るような、見事な食パンが2斤完成していた。台所に移して、適度な大きさに切っていき、テーブルに並べる。今日はビュッフェスタイルである。
「にゃーん」
姉さんの号令で、パンを手元に置く。全員、まずはそのまま味を確認するために何も付けないで齧りつく。
「これは美味い!」
「お父さんが買ってくれるパンも美味しいですが、このパンはそれ以上に柔らかくて、美味しいです!」
「わん」
「大福様はパンだけでは味気ないそうです」
なんだかんだでお前はやっぱり肉か。大福用にパンにマーガリンを塗り、はみ出すほどの大量の肉と野菜、トマトを挟んで置くと、器用に前脚を使って齧りつく。
「にゃーん」
「姉さんはやっぱり米派ですか。今度は別で用意しますね」
「にゃーん」
「手間なんかじゃないですよ」
最近は大福も姉さんも動物用のご飯より、俺の料理を好んで頼んでくれる。大企業のご飯より俺の飯を美味しいと言ってくれるのは少し嬉しい。まぁ本来は食べたらダメなものも多いけど、厳密に言えば動物っていう枠組みではないからな。
モモはジャムが気に入ったのか、瓶を1つ使用する勢いで大量につけて食べていたので、つけ過ぎも良くないので注意を促したら少しショボーンとしていた。甘い物って基本少ないもんなー。実はチョコとかケーキなんてものも買えないわけではないけど、お金の問題と刺激が強すぎるかと思って出したことはない。
チョコクリームとか出した日にそのまま食べてしまいそうだ。女の子というのはどこの世界でも甘い物が好きだものね。
「にゃーん」
「ですねー、うんども食べたいですね。スープは少しこだわって、ネギに少し肉を入れて……製麺機も欲しくなってきますね」
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