家庭菜園物語

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麦襲来

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 主食と呼ばれる食べ物と言えば、米にパンに麺類、そして米以外の原料と言えば小麦である。
 9月に入るまでは野菜や余剰分の西瓜、毎日取れる牛乳の品質もモモの世話のおかげで良くなり、そこそこの売上をあげ、ここにきて8月終わりの残金が30万円。
 チーズとヨーグルトを作れる不思議な壺を購入し、食材の保管庫を作成、と設備を整えてこの金額が残っているのである。それもこれもショッピングサイトにて小麦の季節襲来の報を聞いて後半は節約をしていたのだ。
 
 食材を入れておけば劣化せず保管して置けるチート的な保管庫という施設をゲットできたので小麦を大量生産して是非とも保管しておきたい、と言ってもまだ4畳ほどの狭い倉庫ではあるんだけど。
 これで20万したんだから高い。もうちょっと広くてもいいじゃないか、おかげで木材も心許ないぜ。
 
「きたあああああ!」

 9月に入ってついに麦畑がアンロックされたのである。
 麦畑は通常の家庭菜園とは別でスペースを購入することができるが、お値段はなんと10万円、そこから種の購入も必要で、トータルが11万円かかってしまった。
 麦畑をアンロックと設置すると、それに付随する施設もアンロックされる。【小麦、大麦の箱】がそれぞれ、【小麦の窯】【鎌】【製麺機】【ビール樽】【お茶の樽】【焼酎の樽】【ウィスキーの樽】、と沢山のアイテムが解放された。さすが様々な食品の原料となる食材だ。
 小麦が大麦かによっても違いあるもんな、それを変換するための箱は必須だろう。10万? 足元みやがって。
 鎌も1万円と地味にする。でもこれも必須アイテムだろう。

 パンの窯も10万か。でもそもそも置くとこがなぁ、台所狭くなりそうなんだけど。外とかに設置できるのかな、衛生面とかは不安だけどそこは神様のアイテムなわけだし問題ないのかな。焼き立てのパンとかめっちゃ食いたいよ。
 製麺機も10万と高いが、うどん、ラーメン、パスタなどが自由に選択できるとすれば安い買い物になると思う。

 樽シリーズは物によって大きく金額が違う。1万円から100万で生成する製品によって金額が大きく異なる。
 お茶については麦茶だろうけど、これが1万、ビールが15万、焼酎が40、ウィスキーが100となっていた。
 この世界に来て酒の味を知ってしまった身としては何としても作りたい。この庭の効果なのか収穫した物は品質が上がれば上がるほどめちゃくちゃ美味いのだ。さくらさんが持ってくる酒も美味いが、ここで育てればそれ以上に美味くなるはずと考えれば涎が溢れてくる。

「にゃーん」
「や、やだなぁ姉さん、酒は勿論、後回しですよ」

 小麦、大麦の箱に鎌で更に11万、トータルで22万かかった。これで来月には米があると予想すれば、またお金を貯めなければならない。
 いやいや、考え方によっては初年度でこれだけ設備を増やせているんだ、2年目、3年目が一気に楽になるはずだ、大変なのは今だけ! 頑張れ自分!

「お父さん楽しそうですね」
「ああ! 新しい食材が増えてね。これからまた忙しくなるぞ!」

 外に出ると、麦畑としてのスペースが増えていた。田んぼなら近所にいっぱいあったので見慣れているが、麦畑は初めてみる。1反の半分くらいの面積だろうか、そんなスペースがぽっかりと現れている。
 生育期間は10日間で9月、10月となっているので、順当に行けば6回は収穫できる計算になってくる。
 1万円分購入した種も半分の5000円分で一面がいっぱいとなった、あとはどのくらいの金額になってくれるかだが、小麦自体の単価は低いだろうから加工ありきとなるはず。

 そうなってくるとパンか麺系のアイテム購入は必要だろう。
 今は高品質の牛乳を取得できるし、チーズに加工すれば安定的な収入になる。神様に牛乳を卸すことを前提に和牛をもらってるので全部チーズにするわけにいかないが、2日に1回はチーズを販売して、1キロのチーズが1万5000円にはなる。こうなってくると牛がもう1頭欲しくもなってくるなー。
 序盤はやることが多いが、老後は安心して暮らしたいからなぁ。老後、嫁、くうぅ。運命の出会いの冬まではもうちょっと、神様の話を期待することにしよう。

 あとは冬服用にお金も準備しないといけないし。なんか女の子用の服のラインナップが充実してるんだよなぁ。明らかに俺に金を使わせようとしている。この実りの秋でどのくらいお金を確保できるかにかかっている。
 秋の野菜としてカボチャや消費量の多い玉ねぎ、生姜や唐辛子、セロリなどを植える。
 メロンも野菜分類ではあるが、アンロックされる気配はない。温室などが必要になってくるのだろうか? 

 種を植えてしまえばとりあえずは畑仕事は終了。あとは日課の木こりであるが、中々効率が上がらないのが悩みではある。他力本願ではあるけどまたガンジュさん、もしくはドナルドさんが手伝いに……遊びに来てくれないものだろうか。
 最近では木の消費量に供給が追いついていないので、木こり小屋とかを建てて、妖精さんを雇うのもありかもしれない。悩ましい問題ではある。
 
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