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死人に口無し
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1週間ほど、さくらさんは滞在していたが、そろそろ仕事を再開しないといけないと明日にはまた旅立つことになった。
モモには宿題などを鶏に頼んで文通で、遠隔授業のようなことをするらしい。魔法や剣や弓の授業については一定期間は基礎訓練で決められたことを反復練習するような話になっている。
そんな話を夜ご飯を食べた後に、晩酌をしながらまったりと聞いていた。
「仕事って今は何しているんですか?」
「うむ。お前に言われたからではないと前置きしておくが、歴史の編纂を改めてな」
言われたから始めた訳じゃないんだからねっ! ってところが実にさくらさんらしい。
「歴史書や知識は埋もれやすいのでな、今は前段階のそれらを保管する施設を作っている」
「施設ですか? 図書館ってことですか?」
「いや、学校だよ。手駒も増やしたいと思ってな、どこの国にも干渉されないような仕組みを作っているところだ」
「それって実質、国みたいなもんなんじゃ」
「そんな大層なものではない、自衛もできるようにはしておくがな」
スケールがでかい話だ。モモの授業を見てても、さくらさんは先生慣れしてる感じはあるから学校を作るというのはなんか似合ってはいる。
「他国とのコネクションもできるし、後進を育てて管理もさせられるからな。今はモモへも個人的な授業をしているが、同年代が集まり、勉学に励む環境とは悪いものではないし、いずれは入れてもいいぞ」
「そうですねー、学校はここから近いんですか?」
「帝国の一番北、険しい山々に囲まれた地域だからな。火の鳥に乗せてもらっても3日はかかるだろう」
どんなとこに学校作ろうとしてるんすか。
そうなってくると学校の寮とかで下宿するってことなのかな。モモのためには絶対になるよなー、あとはモモの意思次第ではあるけど、別々に生活するってのは心配ではあるな。
「ちなみにもっと近い学校はないんですかね?」
「なんだ、離れるのが寂しいとかか? なくはないが、王国は学校自体が権力に塗れているし、王坂は知識よりも力を重んじる学校、聖国なんかにモモが行けばわかるだろう?」
「なるほど」
「帝国に学校はあるが、あそこもあそこで権力関係がめんどくさいぞー、その点で我が校は学長は優秀だし、変な権力争いもなく、公平で公正である、ピカピカの校舎に寮、最新の技術! しかもセーラー服を導入予定! さぁどこの学校がいいかな?」
ぐぬぬ、モモのセーラー服姿とかめっちゃ見たい! 絶対にうちの子が着れば世界一可愛い。ショッピングサイトで制服なんて買えないわけではないが、俺がモモに着てみないかなんて、絵面がキモすぎるし、それはなんか違う。その点、学校という理由があれば自然な流れである。
「……最終的にはモモと相談します」
「それがいいな、最終的にはあの子次第であろう。人との関わり方を学ぶには悪い環境ではないと思う。まぁ完成は2年後になるだろうがな」
「この世界の成人って13でしたよね? 成人前かー」
「成人と言っても結婚ができる年齢であって、半人前に変わりはない、学校なども15までってところが多いな」
「成人の年齢決めた人って」
「夫だが」
チートさんよう。
「それにしてもよく土地とか用意できましたね? 勝手に使ってるとかじゃないですよね?」
「私を何だと思っている。ちゃんと帝国の老いぼれに話て、交換条件はあったが快く土地をくれたぞ。まぁ未開拓地だし、住むには向かない厳しい地域だからな。私ほどの力がないと開拓も難しい」
ドヤ顔で話てはいるけど、老いぼれで土地の権利持ってるとか皇帝ってことかな。それに交換条件ってのが気になる。
「どんな交換条件だったんですか?」
「そう難しい話ではない、老いぼれには継承権を持つ3人の子供がいてな。長男は戦争大好きな脳筋、長女は顔だけの脳なしお金大好きな男にハマっていてな、どちらもそれぞれに愚鈍ではあるが権力を持った後ろ盾がいるが、3人目の次男くんには後ろ盾がなくて、その後見人になってほしいというのが交換条件だ」
「めちゃくちゃ権力争いに巻き込まれてるじゃないですか」
「心配ない、ただの口約束だし、死人に口無しというではないか」
「悪魔かなんかですか?」
「ガハハ、まぁその次男くんに見込みがあれば私を探し出すくらいのことはするだろう。見込みがあれば助けてやらんこともない」
次男くんが頑張らないと帝国は終わってしまうんじゃないんですかそれ?
なんか嫌な話を聞いてしまった。忘れようっと。
★★★
あれだけ飲んだのによく一番に起きれるな、さくらさんは。
眠いが見送らないわけにはいかないので、家族一同で見送りをする。
「それではな。来年中にはまた様子を見にこよう。緊急のことがあれば火の鳥に頼むといい。あとは悠、酒の件頼んだぞ」
酒? あんまり昨日話したこと覚えてないんだけど。
「え、はい」
「モモも基礎訓練をサボるなよ」
「師匠ではないので大丈夫です」
モモってさくらさんに対して辛辣というか、なんというか。
まぁ仲良さそうにはしているからコミニュケーションの一種なのかな。
「にゃーん」
「はい、杏殿もお元気で。西瓜もありがとう。ではな」
「道中、お気をつけてー」
何だかんだで、さくらさんには世話になりっぱなしだな。酒の件は覚えてないが、酒を作れるくらいに来年は発展させたいな。
モモには宿題などを鶏に頼んで文通で、遠隔授業のようなことをするらしい。魔法や剣や弓の授業については一定期間は基礎訓練で決められたことを反復練習するような話になっている。
そんな話を夜ご飯を食べた後に、晩酌をしながらまったりと聞いていた。
「仕事って今は何しているんですか?」
「うむ。お前に言われたからではないと前置きしておくが、歴史の編纂を改めてな」
言われたから始めた訳じゃないんだからねっ! ってところが実にさくらさんらしい。
「歴史書や知識は埋もれやすいのでな、今は前段階のそれらを保管する施設を作っている」
「施設ですか? 図書館ってことですか?」
「いや、学校だよ。手駒も増やしたいと思ってな、どこの国にも干渉されないような仕組みを作っているところだ」
「それって実質、国みたいなもんなんじゃ」
「そんな大層なものではない、自衛もできるようにはしておくがな」
スケールがでかい話だ。モモの授業を見てても、さくらさんは先生慣れしてる感じはあるから学校を作るというのはなんか似合ってはいる。
「他国とのコネクションもできるし、後進を育てて管理もさせられるからな。今はモモへも個人的な授業をしているが、同年代が集まり、勉学に励む環境とは悪いものではないし、いずれは入れてもいいぞ」
「そうですねー、学校はここから近いんですか?」
「帝国の一番北、険しい山々に囲まれた地域だからな。火の鳥に乗せてもらっても3日はかかるだろう」
どんなとこに学校作ろうとしてるんすか。
そうなってくると学校の寮とかで下宿するってことなのかな。モモのためには絶対になるよなー、あとはモモの意思次第ではあるけど、別々に生活するってのは心配ではあるな。
「ちなみにもっと近い学校はないんですかね?」
「なんだ、離れるのが寂しいとかか? なくはないが、王国は学校自体が権力に塗れているし、王坂は知識よりも力を重んじる学校、聖国なんかにモモが行けばわかるだろう?」
「なるほど」
「帝国に学校はあるが、あそこもあそこで権力関係がめんどくさいぞー、その点で我が校は学長は優秀だし、変な権力争いもなく、公平で公正である、ピカピカの校舎に寮、最新の技術! しかもセーラー服を導入予定! さぁどこの学校がいいかな?」
ぐぬぬ、モモのセーラー服姿とかめっちゃ見たい! 絶対にうちの子が着れば世界一可愛い。ショッピングサイトで制服なんて買えないわけではないが、俺がモモに着てみないかなんて、絵面がキモすぎるし、それはなんか違う。その点、学校という理由があれば自然な流れである。
「……最終的にはモモと相談します」
「それがいいな、最終的にはあの子次第であろう。人との関わり方を学ぶには悪い環境ではないと思う。まぁ完成は2年後になるだろうがな」
「この世界の成人って13でしたよね? 成人前かー」
「成人と言っても結婚ができる年齢であって、半人前に変わりはない、学校なども15までってところが多いな」
「成人の年齢決めた人って」
「夫だが」
チートさんよう。
「それにしてもよく土地とか用意できましたね? 勝手に使ってるとかじゃないですよね?」
「私を何だと思っている。ちゃんと帝国の老いぼれに話て、交換条件はあったが快く土地をくれたぞ。まぁ未開拓地だし、住むには向かない厳しい地域だからな。私ほどの力がないと開拓も難しい」
ドヤ顔で話てはいるけど、老いぼれで土地の権利持ってるとか皇帝ってことかな。それに交換条件ってのが気になる。
「どんな交換条件だったんですか?」
「そう難しい話ではない、老いぼれには継承権を持つ3人の子供がいてな。長男は戦争大好きな脳筋、長女は顔だけの脳なしお金大好きな男にハマっていてな、どちらもそれぞれに愚鈍ではあるが権力を持った後ろ盾がいるが、3人目の次男くんには後ろ盾がなくて、その後見人になってほしいというのが交換条件だ」
「めちゃくちゃ権力争いに巻き込まれてるじゃないですか」
「心配ない、ただの口約束だし、死人に口無しというではないか」
「悪魔かなんかですか?」
「ガハハ、まぁその次男くんに見込みがあれば私を探し出すくらいのことはするだろう。見込みがあれば助けてやらんこともない」
次男くんが頑張らないと帝国は終わってしまうんじゃないんですかそれ?
なんか嫌な話を聞いてしまった。忘れようっと。
★★★
あれだけ飲んだのによく一番に起きれるな、さくらさんは。
眠いが見送らないわけにはいかないので、家族一同で見送りをする。
「それではな。来年中にはまた様子を見にこよう。緊急のことがあれば火の鳥に頼むといい。あとは悠、酒の件頼んだぞ」
酒? あんまり昨日話したこと覚えてないんだけど。
「え、はい」
「モモも基礎訓練をサボるなよ」
「師匠ではないので大丈夫です」
モモってさくらさんに対して辛辣というか、なんというか。
まぁ仲良さそうにはしているからコミニュケーションの一種なのかな。
「にゃーん」
「はい、杏殿もお元気で。西瓜もありがとう。ではな」
「道中、お気をつけてー」
何だかんだで、さくらさんには世話になりっぱなしだな。酒の件は覚えてないが、酒を作れるくらいに来年は発展させたいな。
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