佐々木恭介の深夜徘徊

夜桜紅葉

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9:40 P.M.

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 シャワーを浴びてリビングに戻ったら天姉が食卓に突っ伏して寝ていた。

「こんなとこで寝てたら風邪引くよ」
近づいて声を掛けてみたが、ピクリともしない。

試しにほっぺたを人差し指で突いてみたら
「ぬー」
と、唸り声を上げた。
しかし目は開けてくれない。

面倒臭いなと思っているところに、けいが部屋から出てきた。

「む? どうしたんでゴザル恭介殿」
「天姉が寝てる」

「あー。起きない感じでゴザル?」
「うん。面倒だけど部屋に運んどこうか」
「そうでゴザルな」

僕が腕を持って、けいが足を持って天姉を部屋に運んだ。

ベッドの上にそっと降ろして布団をかけてやってからため息をついた。

「はぁ。なんだって天姉はこんなに寝るのが好きなのかね。せめてちゃんとしたところで寝るようにして欲しいんだけど」

「さっき拙者の後にシャワー浴びてたっぽいでゴザルが、その後椅子に座ったらそのまま寝ちゃった感じでゴザろうな」

「そっか。まぁいいや。っていうかなんかすることあったから部屋から出てきたんじゃないの?」

僕が訊くと、けいは
「あ、そういえば拙者トイレに行きたいんでゴザったわ。行ってくるでゴザル」
と言って一足先に天姉の部屋から出て行った。

僕も天姉の部屋の電気を消してから
「おやすみ」
と一応声を掛けて部屋を出てドアを閉めた。

天姉は寝ることが大好きなのだ。
しょっちゅう変なところで寝るので、その度に僕たちが部屋に運ぶことになる。
面倒だが、いい加減慣れてしまった。

それはさておき、出発する前に軽く腹ごしらえしようと思い立って、冷蔵庫を見てみた。

「ん~」
さて何を食べたものかと悩んでいるところに、けいがトイレから戻ってきた。

「なんか食べていくんでゴザルか?」
「うん。何食べようか考えてるとこ」

「じゃあカップラーメンでも食べんでゴザル?」
「ああそれいいかもね。んじゃそうしよう」

「拙者も食べるでゴザル」
「おっけー」

そういうわけで僕は二人分のカップ麺を用意した。
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