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外伝 とある新人生産プレイヤーは…… 気付いたら、神の子供(双子)の専属メカニックになってました!?

姉弟子から託された物とは……

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「こいつは……」

「ええ…… 間違いなくあの娘達の開発記録ですね」

ミニダーズがモナに見せたデータは、あのサイボーグの少女がミニマザーに託した彼女達の機神開発計画の記録データだった。

そのデータをモナは、フェアリーガーデンでエミリーとエナに確認してもらう事にしたのだが……

「ところどころデータが破損してる箇所があるな……」

「攻撃を受けて、身体が損傷したせいでしょうか?」

「ああ…… うん? これは映像データか?」

「1番新しい記録データですね」

最新の記録データである映像データを再生すると……

『マスター、もう撮ってます』

『えっ!? ちょっ、ちょっと待って! 心の準備が……』

一瞬だけサイボーグの少女と同じ姿をした少女が映るが、焦る様子で画面から外れてしまう。

『えっと…… やっぱりはずかしいから…… 私は声だけで、開発中のを撮して』

『解りました』

『では…… この記録データは、私に何かが起きた時の為に残します。ちょっと…… 家庭の事情とかでね…… 説明し辛いんだよね…… ともかく、この映像が他のプレイヤーさんに見られてる時は…… 私はログインできて無いと思うの。だから、私の…… 私達とあの娘の記録を残して、託そうと考えました』

開発途中の機神達が映り出される。

『ここに並ぶ物も…… 完成できないかも知れない…… だから、私の開発データをあなたに渡す事にしました。私のサポートユニットは優秀だから…… この娘が選んだあなただから、悪用しないと思うの。そして…… 私達の開発記録データを渡す代わりに、頼みがあるの…… 開発データの〝S計画〟のファイルを見て…… 私の願いを叶えて……』

「映像は…… これで終わりだな」

「他は無い様ですね……〝S計画〟のファイルを見てと言っていましたが?」

「願いを叶えてと言ってましたけど……」

開発記録データの中から〝S計画〟と書かれたファイルを開くと……

「これは…… 宇宙船!?」

「でかいですね…… 250メートル級万能型の機神運用艦でしょうか?」

「それだけじゃないな…… こいつは分離して専用の機神の武装になる設計がされているが…… この機構は……? どうやら、図面に書かれて無い秘密がある様だな」

「あの娘達は、これを完成させて欲しい様ですが…… このサイズの物を1から作るとなると……」

「250メートル……」

助けられなかったサイボーグの少女を思うと、モナは設計データの万能艦を作りたかったのだが……

サイズがデカ過ぎた為に、作る事を断念するしか無いと思ったが設計データの片隅に〝とあるメモ書き〟を見付けた。

「これは…… きほんふれーむとどうりょくぶは…… かんせい!? これって、この宇宙船のパーツが何処かにあるって事?」

「何!? これは…… どうやら、完成の目処がついていた様だな」

「このD-0と書かれた場所に、完成したパーツがあるのでしょうか?」

「あいつ等の秘密の開発所か…… ありえるな。フェアリーガーデンを見ては…… 何時かは、自分達の秘密基地をって…… 楽しげに話していたからな」

「では…… このデータの中にD-0って、場所がわかるのかな?」

「あいつ等の事だからなぁ~…… 素直には場所を記さずに、ヒントを散りばめてそうだが…… モナ、お前…… 探して作る気か?」

「はい、作りたいです!」

「本気か?」

「この設計データを見る限りでは…… 既に譲渡された機神の専用艦の様です。作ったとしても使えないかも知れませんよ?」

「この機神の持ち主に心当たりがあるが…… 絶対に機神を手放す事は無いだろうな。それでも…… お前は作るか?」

「はい! この宇宙船は…… その人の為に作られたんだと思うから…… きっと、完成させて届けるまでが願いなんだと…… だから、完成した宇宙船を届けたいと思います!」

「モナさん……」

「よ~し、お前の思いは解った! 始めるぞ」

「えっ?」

「D-0探しだよ」

「先ずは…… データの中からヒントを集めましょう!」

「は、はい!」

「手の開いてる奴を集めろ! すぐに見付けるぞ!」

こうして…… フェアリーガーデンの総力をかけた〝サイボーグの少女達の秘密開発所〟の捜索が始まるのだった。

 ・
 ・
 ・

 ~ とある街の工場街…… ~

「帰んな! あんたに売る物は無い」

「そんな…… 急に何故?」

「あんた…… ドワーフの恩人に手を出したろう?」

「えっ!?」

「おら達ドワーフには見えるんだよ…… 地の精霊があんたに物を売るな!って、怒ってやがる」

「そんなぁ……」

「悪いが…… 地の精霊の怒りが治まるまでは、ドワーフからは何も買えんぞ」

ドワーフ達の工場街の片隅で……〝とある少女〟が肩を落とした。

「くぅ~…… 10万円に目が眩んだばっかりに…… どうしよう…… ドワーフ達から買い物できないと〝人形達〟が作れないし直せない……」

「まあ、何をしたかは知らんが…… 地の精霊の怒りを治めるには、ドワーフの恩人に許される事だな」

と、付き合いのあるドワーフが教えてくれた。

「うん…… あの子達に謝る……」

こうして…… ドワーフの工場街から、一人の〝人形使い少女〟の謝罪の旅が始まるのだった。

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