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夢忘れ編

迎撃戦

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【ヒルドルブ砦】
「と、砦で兵士たちや三姉妹たちが戦っている今、結婚の話とかをするのはどうかと思うのですが…」

「言い訳か?見苦しいぞ、ヒイロ・アルバート!…それに、我が軍に何度も手痛いダメージを与えてくれた【マーマル遊撃隊】や、南方に支援要請しに行けなくしてくれた銀翼竜をも退けたパーティなんだ。特に心配する必要は無いだろうさ」

1km弱ほど離れた林の中の天然温泉で、ヒイロがホルンと一緒に混浴しながら結婚を迫られていた頃……ここヒルドルブ砦では、銀翼竜(ブルゥブロ)に率いられた野生のゴブリンの大群達を撃退する戦いが繰り広げられていた

「何でコイツら、こんな危ない目で見てくるにぇ!?」

「コイツら男の兵隊さんを襲っている時と、わたしら女を襲っている時じゃ全然別ですよー!」

必死に【ホロミナティ】に指示を出すリーダーのミコと、敵と戦いながらも状況分析をしているサケマタ。Bランクの彼女たち4人では1対1で戦うのは、無謀と言えるほど実力に差があった

ネイティブ・ゴブリンどもは性欲も食欲も一般のゴブリンよりも遥かに上なので、ホロミナティのメンバーは苦戦していた。ヤツらは食用の男を襲う時と、子作り用の女を襲う時では明らかに顔色が別だった


「ドベキィッ!!」
「ほらほらシッカリしてぇ!のんびりしてたら囲まれちゃうよォ!…唸れ炎ーっ!!」

氷結の能力(スキル)に続いて覚えた灼熱の能力(スキル)を使って戦い、大暴れしているアリスの姿が、大量のネイティブ・ゴブリンを相手に戦っているみんなに勇気を与えていた!

「獣人族の少女があんなに強いとは!」
「我らも兵士の戦いを魅せるのだ!」
「流石はアリスお姉様、素敵です︎❤︎」

実は、シェリーがシャルルを探しに行った時には30体ほどしか確認されていなかったネイティブ・ゴブリンだが…その後、挟み込むように別方向からも同じくらいの数が現れたので、実質ヤツらは60体ほどいた

「銀翼竜はアテナ様たちに任せて、我らはゴブリンどもを撃退するのだ!」

しかもBOSSは神獣と呼ばれる銀翼竜(ブルゥブロ)である。こんな魔物の集団に襲われたら、軍属である彼らも本来なら気が滅入るところだろう。しかし、武闘女神アテナとSランク魔法使いのカルーアが居る。クリストファーは、2人の強さを信じて兵士たちに、自分達はゴブリン相手に専念するように指示した


「ほっほっほ!空中ならババアの攻撃から逃げられると思ったかっ!!…カルーアよ、もっと風の塊を作って足場を増やさんかい!」

1日前、カルーアとヨシュアの2人がかりでも凄く苦戦した銀翼竜(ブルゥブロ)だったが…ヨシュアの代わりに若い時の姿で戦うアテナが、カルーアが打ち上げた多数の圧縮した風魔法を足場にして空中を舞い踊り【武闘女神】の名に偽りなし!と証明するかのように、空中戦であっても銀翼竜(ブルゥブロ)を苦しめていた

「ホロミナティの皆さんが押されている、近くの者はサポートせよ!」

ネイティブ・ゴブリン達の相手はゲイツとクリストファーが前衛で指揮を取り、なるべく味方に被害が出ないことを考慮に入れながら戦っていた

その中で元気に戦う獣人族のアリスと、最後の基礎型超人類であるエリエスの活躍は抜きん出ていて、みんなの心の支えになっていた



【砦内の会議室】
1時間後…銀翼竜(ブルゥブロ)と数体のネイティブ・ゴブリンは逃がしてしまったが…味方からは1人の死者を出すこともなく撃退に成功した。そして今回の件について話し合われていた

「銀翼竜(ブルゥブロ)は前日、アルバートファミリーにやられた仕返しに来たのでしょうか?」

「……………………………………………」

「あの…宜しいでしょうか?」

「どうぞ」

手を挙げたのは【ホロミナティ】の頭脳と自称するコヨリィだ。彼女も戦いに参加していたが、何かを感じていたようだ

「ネイティブ・ゴブリンでしたか?ヤツらは明らかに若い女性に対して、多く群がってきていたように思われます。特にアルバートファミリーは若い女性が多いので、その成分(エキス)に誘われて来たのではないでしょうか?」

「確かに、ヤツらは食欲は大したことないのですが…性欲は桁違いですから、有り得ますね…」

クリストファーによると、ネイティブ・ゴブリンたちの習性は人型の女性を孕ませる事が目的で、戦闘を仕掛けてくることが多いらしいので、コヨリィの洞察力が的確であることが証明された

「という事は…わたしの妹の天使族であるサーシャから出る…その…成分(エキス)とやらが強過ぎて、アレだけ多くの敵を呼び寄せたんだろうね…」

「まぁ!という事はサーシャが凄く魅力的だという事ですのね♬」

自分の女成分が、子作り目的で戦うネイティブ・ゴブリンを多く引き寄せた。という話を聞いてドヤ顔で喜んでいるサーシャ。しかし、サーシャが惑星神の娘なので神聖力が強い為、魔物を呼び寄せていただけである。決して女の魅力 云々(うんぬん)ではないw


「サーシャはエッチぃ事が大好きだからぁ、あのエッチぃゴブリンが群がって来たんだよねぇ♪」

「全くだよね。サーシャが普段からもっとエロさを控えてくれてたら、あんなに多くは集まらなかったのかも知れないよね!」

「サーシャの溢れ出る女の魅力に抗えなかったみたいですの♪」
「サーシャママは素敵なノ♪」

度々、末っ子のサーシャのエッチぃ悪戯の餌食にされてきたアリスとカルーアは、この機会にサーシャにエロい悪戯を自粛させたかったのだが…サーシャ本人はエロの標的にされた事をむしろ自慢していたw


「本当にあの人がエリスア様の1人娘だなんて…信じられません…」

「人の上を行く者の考えは、私たちには理解し難いわねw」

つい先ほど、そのサーシャからたっぷりエッチぃ手ほどきを受けさせられたクーニャも、クリストファーもサーシャを見る目には呆れの感情が現れていた


「それにしてもお祖母様…」

「ん?どうかしたかの?エリエスや…」

「昨日から若い姿で居られますのに、今回は1度も実年齢に戻られませんよね?何か特別な事でもあったのですか?」

シャワーを浴びて、砦の2階の衣装室にあったドレスを借りて着替えたエリエスが、大広間へと降りて来た

【武闘女神】と称されSS(ダブルエス)ランクの称号を持つアテナだが、実年齢は60歳を超えているので、彼女が覚えている若返りの秘術(他人から生気を吸う)を使っても、2-3時間も戦えば今までなら実年齢の肉体に戻っていたのだが…

「今回は…エリスア様の生気を吸わせて貰ったからのぅ。こんだけ長い時間、若返っていても元に戻らぬからババアもビックリしとるんじゃ!」

事もあろうに今回アテナは、惑星神であるエリスア様から生気を吸っていたようだ。天使族のサーシャの回復魔法でさえズバ抜けたモノがあるのに、その親である惑星神から生気を吸っていたので全然元の年齢に戻る兆候が訪れないそうだった

「ねぇねぇアテナ様ぁ…」

「なんかの?アリスちゃんや」

「エリエスちゃんってぇ、惑星神のエリスア様に名前が凄く似てるよねぇ?何か意味があったりするのかなぁ?」

「!?」

アリスがアテナに何気なく質問した話の内容に、その場の全員が「確かにそうだな!」と気が付いた。本人であるエリエスさえも…

「エリエスよ、ワシが地下遺跡でお主を見つけた話はした事があるな。実はな…寝ていたエリエスの横に紙切れが落ちておってのぅ。たぶんお前の親が書いたのじゃろうが…
「この子の名は【エリエス】この星エリスアでトップの意味を持つ【エース】になって欲しい!その思いを込めて付けた名前」と書かれておったのじゃ…」

「私(わたくし)の名前にそんな意味が…」

何気なく気付いたアリスの質問から名前の由来の意味を知ったエリエス。地球から来た古代人が残した最後の基礎型超人類である彼女の秘密を1つ知った全員は静かになっていた


「ヒイロさんとホルンさんが戻られました」
「ガチャ」

ヒイロが戻ってきた。という報せを聞き扉を開けて彼を出迎えに外に出たカルーア

「おかえりなさいヒイロ。全員無事に魔物を撃退したよ。もちろんヒイロも何とも無いんだよね?……え、えぇぇぇっ!?な、何?どういう事なんだい?」

ヒイロ達がスグそこまで戻ってきている。と聞いたカルーアは、彼に早く会いたい気持ちで1番に外に出て出迎えたのだが…カルーアが見たのは…

「や、やあカルーア…」
「ふんふふふ~ん♪」

ヒイロの腕に自らの腕を絡ませて…いわゆる【恋人腕組み】をしながらニコニコ顔で帰ってきたホルンの姿だった


「ちょっとヒイロ…どういう事なのさっ!?」

少し前に風呂を覗かれたホルンが、ヒイロに「責任を取れ!」と怒って迫っていたのだが一応の解決を得ていたので、まさか帰ってきた2人がこんなイチャイチャとしてるとは予想もしていなかったカルーアは、とんでもなく驚いてしまった

この後ヒイロを巡って本格的に争うことになるカルーアとホルンの決着は?



続く
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