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夢忘れ編
エリエスの過去
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【カルデア森林帯の攻防】
実は銀翼竜(クレリアワイバーン)ブルゥブロは、三姉妹たちが森林帯に入る前からSランク級の強さであるカルーア、ヨシュアはもちろんSS(ダブル)ランク級と言えるサーシャ達の覇気を感じ取っていたので、それぞれの個性を観察し対策可能な布陣を敷いていたのだ
とは言え、ここまで三姉妹たちが完封されたのは予想外だっただろう。その大きな要因となったのは…早々にエリエスを封じられた事が大きい
このパーティの大きな戦力ダウンになってしまったエリエスの強さの秘密とは?彼女の生い立ちは、どのようなものだったのか?
【16年前】
マリニウム地方に存在している古代遺跡
当時のマリニウム王からの要請でクラウン城から【舞闘女神アテナ】を含む【ヘパイトス部隊】が派遣されていた
「さっきから相手しておる機械魔物じゃが…聞いていた通り厄介じゃのう…古代遺跡の調査が難航しておるのも頷けるわい…」
「騎士達よ、今回は武闘女神アテナが付いているとはいえ、油断はするなよ。調査部の話では、この遺跡が当たりの可能性が高いらしいからな…」
宮廷鍛冶師でありながらSランクの強さを誇るヘパイトスをリーダーとし、SSランクの武闘家アテナとSランク騎士数名を含む最強の部隊編成で、古代兵器たちが守護する古代遺跡の攻略に来ていた
【地下最深部研究施設】
「マスター。上が騒がしいみたいですが…」
「どうやら人間側にお前の存在を察知されたのかも知れん…私は古代兵器を操り迎え撃つが…万が一にも私が敗れた時、エリエスが基礎型超人類と知られる訳にはイカん」
古代人の叡智で作られたクリスタル型培養器の中に、全裸の少女が居る。その手前で何かの装置を操作しているのが、彼女が言うマスターのようだ
「バキンっ!ガラガラガラ…」
彼の操作によりクリスタルは砕け散り、中から出てきた全裸の少女に服を着せるマスター
「ここは…破棄するのですか?」
少女はクリスタルから出たばかりで身体が上手く動かせないようだ。服を着せてあげたマスターは、敢えて手書きの紙を残した
【我が子 エリエスを宜しく頼みます】
「お前の覚醒モードは記憶と共に封印する。いつか本当に戦闘力(チカラ)を欲した時に解放される様に組んでおいた。ではサラバだ…最後の基礎型超人類エリエスよ!」
「待って…マスター。1人にしないで…」
上手く動かない身体だが…何とかマスターを止めたかったエリエス。しかし、それは叶わず男が流し込んだプログラムにより眠りに落ちるエリエス
「やらせはせん!やらせはせんぞぉォォ!」
男は登場型の古代兵器に乗り込み、クラウン城からやって来た精鋭揃いの騎士隊に突貫した!
【1ヶ月後】
大商業都市ヘルメスの街にクーパー夫婦の工房、兼、一軒屋が完成した。密かに交際を重ねていたヘパイトスとアテナが当時のクラウン王から、古代人の研究成果の生命体である可能性の高いエリエスの世話を任された時に、結婚の許可を得てクラウン城で式を行いヘルメスの街に引っ越して来たのだ
「いや!!触らないでっ!!」
古代遺跡で発見された少女が次に目を覚ましたのは…実に1ヶ月後の事だった。彼女を見ていたクーパー夫婦は、この少女が普通の生命体ではない!と確信していた
なぜなら、その寝ていた1ヶ月もの間、少女は飲食を一切取らなかったばかりか、排泄行為ですら1度も無かったというのに生命活動を維持していたからだ。当たり前だが、魔族であっても魔物であっても、そんな生命体は存在しないだろう
「ん?ここは…あ、誰!?」
少女は目覚めると、クーパー夫婦を本能的に敵だと判断した。鍛冶師であるヘパイトスの仕事場でもあるこの家には、武器など山ほど置いてある。その内の1つを手に取りクーパー夫婦を威嚇する少女
「安心せいエリエス。アタシらは敵じゃないのよ。今日からお前は旦那とアタシの孫なの。3人家族で仲良く暮らすのよ」
「……家族?」
聞き慣れない言葉に首を傾(かし)げるエリエス。そんな彼女の頭部を鍛え抜かれ分厚くなった手で、優しく撫でるヘパイトス
「あっ…」
その時からエリエスは祖父母から頭を撫でられるのが気に入ったようだ。頭部を通して伝わってくる彼らの体温に安らぎを感じていたようだ
【3ヶ月後】
「せいや!…はあっ!…うりゃー!!」
クーパー家の広い庭で祖母であるアテナと格闘技の訓練に明け暮れるエリエスの姿は、ヘルメスの街の名物みたいになっていた
「かなり厳しい修行をさせとる様じゃのう。流石に息が上がってきとったぞ…動けるようになってまだ日が浅いんじゃ。あまり飛ばさぬ方が…」
「お爺さん…エリエスは昨日、3つ上の門下生を倒したんじゃよ。まだ突きと蹴りしか教えておらんのにじゃ…あの子は天才じゃよ…」
「なんと!?…やはり、古代人の目的の為に創られた生命体だということか…」
生ける伝説【舞闘女神】と称されるアテナと、その孫娘であるエリエスが訓練している姿を見学に来る人たちが、段々その数を増やしていった
もちろん【宮廷鍛冶師】であるヘパイトスがこの街に居るのだ。冒険者たちは彼に武器防具の製作や、修理を頼みに沢山の人がやって来た
ただ、修理は平均的な値段でしてもらえたが…武器防具の製作となると彼の技術の高さから、それに比例して代金も跳ね上がっているので気軽に頼めるモノではない
【剣術に目覚めるエリエス】
クーパー夫婦がヘルメスの街に引っ越して来た当時は、街の周囲でも度々魔物による被害が発生していたが…SSランクの【舞闘女神】の存在はとんでもなく大きく、彼女がエリエスを連れて街の周囲の魔物駆除に出るようになると、1ヶ月後にはその報告は激減した
「最近は武器防具の修理の依頼も少なくなって暇じゃのぅ……そうじゃエリエス!剣術には興味は無いか?」
「剣術ですか?…そのソードを使って戦うのですよね?」
「既に婆さんの格闘術の門下生を半分以上倒したようじゃの?剣術も身に付ければ…エリエスの強さは飛躍的に上がるじゃろうな…」
「少し…考えても良いですか?」
せっかくの提案なので…アテナから教えられている格闘術で、ヘパイトスと模擬戦をしたエリエスだが……鍛冶師でありながらもSランクの強さを誇るヘパイトスの剣術は、アテナから4ヶ月間、格闘技を学んだエリエスを圧倒した
もちろん年季の差が大きいのだが【剣道三倍段】という言葉が示す通り、剣術は格闘技よりも同じレベルであっても、3倍の強さに匹敵するのである
「はぁはぁ…お爺さま…お強いですね…」
いくら見て学習する事に秀でている基礎型超人類の完成系であるエリエスと言えど、ヘパイトスの剣術に勝てる可能性など今は無かった
【その日の夜】
「お爺様!私(わたくし)にも剣術を教えてください!」
すっかり祖父であるヘパイトスの剣術を気に入ったエリエスは、剣術を極めたい!という欲求に駆られていた
「どうなのだアテナ、エリエスの格闘技の腕前の程は?」
「凄まじい学習の速さよ。格闘家としてならば、近いうちにAランク試験にも受かるかも知れんのぅ…」
【宮廷鍛冶師】の筆頭であったヘパイトスとしては、1度習い始めたモノは如何(いか)なる理由があろうとも一定レベルまで身に付けてから、次のステップに行くのが当然だと考えているからだ
しかし【舞闘女神】であるアテナから十分のレベルに達していると、お墨付きを得たエリエスは翌日からは、アテナの格闘術だけでなく、ヘパイトスの剣術も訓練を受けるのだった
続く
実は銀翼竜(クレリアワイバーン)ブルゥブロは、三姉妹たちが森林帯に入る前からSランク級の強さであるカルーア、ヨシュアはもちろんSS(ダブル)ランク級と言えるサーシャ達の覇気を感じ取っていたので、それぞれの個性を観察し対策可能な布陣を敷いていたのだ
とは言え、ここまで三姉妹たちが完封されたのは予想外だっただろう。その大きな要因となったのは…早々にエリエスを封じられた事が大きい
このパーティの大きな戦力ダウンになってしまったエリエスの強さの秘密とは?彼女の生い立ちは、どのようなものだったのか?
【16年前】
マリニウム地方に存在している古代遺跡
当時のマリニウム王からの要請でクラウン城から【舞闘女神アテナ】を含む【ヘパイトス部隊】が派遣されていた
「さっきから相手しておる機械魔物じゃが…聞いていた通り厄介じゃのう…古代遺跡の調査が難航しておるのも頷けるわい…」
「騎士達よ、今回は武闘女神アテナが付いているとはいえ、油断はするなよ。調査部の話では、この遺跡が当たりの可能性が高いらしいからな…」
宮廷鍛冶師でありながらSランクの強さを誇るヘパイトスをリーダーとし、SSランクの武闘家アテナとSランク騎士数名を含む最強の部隊編成で、古代兵器たちが守護する古代遺跡の攻略に来ていた
【地下最深部研究施設】
「マスター。上が騒がしいみたいですが…」
「どうやら人間側にお前の存在を察知されたのかも知れん…私は古代兵器を操り迎え撃つが…万が一にも私が敗れた時、エリエスが基礎型超人類と知られる訳にはイカん」
古代人の叡智で作られたクリスタル型培養器の中に、全裸の少女が居る。その手前で何かの装置を操作しているのが、彼女が言うマスターのようだ
「バキンっ!ガラガラガラ…」
彼の操作によりクリスタルは砕け散り、中から出てきた全裸の少女に服を着せるマスター
「ここは…破棄するのですか?」
少女はクリスタルから出たばかりで身体が上手く動かせないようだ。服を着せてあげたマスターは、敢えて手書きの紙を残した
【我が子 エリエスを宜しく頼みます】
「お前の覚醒モードは記憶と共に封印する。いつか本当に戦闘力(チカラ)を欲した時に解放される様に組んでおいた。ではサラバだ…最後の基礎型超人類エリエスよ!」
「待って…マスター。1人にしないで…」
上手く動かない身体だが…何とかマスターを止めたかったエリエス。しかし、それは叶わず男が流し込んだプログラムにより眠りに落ちるエリエス
「やらせはせん!やらせはせんぞぉォォ!」
男は登場型の古代兵器に乗り込み、クラウン城からやって来た精鋭揃いの騎士隊に突貫した!
【1ヶ月後】
大商業都市ヘルメスの街にクーパー夫婦の工房、兼、一軒屋が完成した。密かに交際を重ねていたヘパイトスとアテナが当時のクラウン王から、古代人の研究成果の生命体である可能性の高いエリエスの世話を任された時に、結婚の許可を得てクラウン城で式を行いヘルメスの街に引っ越して来たのだ
「いや!!触らないでっ!!」
古代遺跡で発見された少女が次に目を覚ましたのは…実に1ヶ月後の事だった。彼女を見ていたクーパー夫婦は、この少女が普通の生命体ではない!と確信していた
なぜなら、その寝ていた1ヶ月もの間、少女は飲食を一切取らなかったばかりか、排泄行為ですら1度も無かったというのに生命活動を維持していたからだ。当たり前だが、魔族であっても魔物であっても、そんな生命体は存在しないだろう
「ん?ここは…あ、誰!?」
少女は目覚めると、クーパー夫婦を本能的に敵だと判断した。鍛冶師であるヘパイトスの仕事場でもあるこの家には、武器など山ほど置いてある。その内の1つを手に取りクーパー夫婦を威嚇する少女
「安心せいエリエス。アタシらは敵じゃないのよ。今日からお前は旦那とアタシの孫なの。3人家族で仲良く暮らすのよ」
「……家族?」
聞き慣れない言葉に首を傾(かし)げるエリエス。そんな彼女の頭部を鍛え抜かれ分厚くなった手で、優しく撫でるヘパイトス
「あっ…」
その時からエリエスは祖父母から頭を撫でられるのが気に入ったようだ。頭部を通して伝わってくる彼らの体温に安らぎを感じていたようだ
【3ヶ月後】
「せいや!…はあっ!…うりゃー!!」
クーパー家の広い庭で祖母であるアテナと格闘技の訓練に明け暮れるエリエスの姿は、ヘルメスの街の名物みたいになっていた
「かなり厳しい修行をさせとる様じゃのう。流石に息が上がってきとったぞ…動けるようになってまだ日が浅いんじゃ。あまり飛ばさぬ方が…」
「お爺さん…エリエスは昨日、3つ上の門下生を倒したんじゃよ。まだ突きと蹴りしか教えておらんのにじゃ…あの子は天才じゃよ…」
「なんと!?…やはり、古代人の目的の為に創られた生命体だということか…」
生ける伝説【舞闘女神】と称されるアテナと、その孫娘であるエリエスが訓練している姿を見学に来る人たちが、段々その数を増やしていった
もちろん【宮廷鍛冶師】であるヘパイトスがこの街に居るのだ。冒険者たちは彼に武器防具の製作や、修理を頼みに沢山の人がやって来た
ただ、修理は平均的な値段でしてもらえたが…武器防具の製作となると彼の技術の高さから、それに比例して代金も跳ね上がっているので気軽に頼めるモノではない
【剣術に目覚めるエリエス】
クーパー夫婦がヘルメスの街に引っ越して来た当時は、街の周囲でも度々魔物による被害が発生していたが…SSランクの【舞闘女神】の存在はとんでもなく大きく、彼女がエリエスを連れて街の周囲の魔物駆除に出るようになると、1ヶ月後にはその報告は激減した
「最近は武器防具の修理の依頼も少なくなって暇じゃのぅ……そうじゃエリエス!剣術には興味は無いか?」
「剣術ですか?…そのソードを使って戦うのですよね?」
「既に婆さんの格闘術の門下生を半分以上倒したようじゃの?剣術も身に付ければ…エリエスの強さは飛躍的に上がるじゃろうな…」
「少し…考えても良いですか?」
せっかくの提案なので…アテナから教えられている格闘術で、ヘパイトスと模擬戦をしたエリエスだが……鍛冶師でありながらもSランクの強さを誇るヘパイトスの剣術は、アテナから4ヶ月間、格闘技を学んだエリエスを圧倒した
もちろん年季の差が大きいのだが【剣道三倍段】という言葉が示す通り、剣術は格闘技よりも同じレベルであっても、3倍の強さに匹敵するのである
「はぁはぁ…お爺さま…お強いですね…」
いくら見て学習する事に秀でている基礎型超人類の完成系であるエリエスと言えど、ヘパイトスの剣術に勝てる可能性など今は無かった
【その日の夜】
「お爺様!私(わたくし)にも剣術を教えてください!」
すっかり祖父であるヘパイトスの剣術を気に入ったエリエスは、剣術を極めたい!という欲求に駆られていた
「どうなのだアテナ、エリエスの格闘技の腕前の程は?」
「凄まじい学習の速さよ。格闘家としてならば、近いうちにAランク試験にも受かるかも知れんのぅ…」
【宮廷鍛冶師】の筆頭であったヘパイトスとしては、1度習い始めたモノは如何(いか)なる理由があろうとも一定レベルまで身に付けてから、次のステップに行くのが当然だと考えているからだ
しかし【舞闘女神】であるアテナから十分のレベルに達していると、お墨付きを得たエリエスは翌日からは、アテナの格闘術だけでなく、ヘパイトスの剣術も訓練を受けるのだった
続く
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