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日常編

デブ豚は救いようがあらしまへんなぁ

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【マリニウム城 会議室】
「そうですか…配布する為の保存が効く食料が底をついてきましたか…困りましたねロベルトさん…」

マリニウムの巫女でありラデュードと結婚したミーコは、その結婚式に国民も招き盛大にもてなした事で彼らのストレスを減らし、城への信頼回復に大きく貢献したのだが…

「城の地下の備蓄庫も先のクーデターの時に半分以上が瓦礫に埋もれて、使い物にならなくなってしまいましたからな…」

前王の国民を蔑(ないがし)ろにしてまでも、城の発展に重きを置いた政策とは真逆の行動をしているミーコの政策は、国民から大きな支持を得ていたのだが…現実的には新たな問題に直面する事になっていた

「ロベルト様、ミーコ様!大変です!」

「そんなに慌ててどうかしたのですか?」

2人の護衛として会議に同席していたミャンジャムが、慌ただしく入ってきた若い兵士に質問した

「東部地方を納める【ガッポリーニ伯爵】が、慰労訪問していたボランティアの者たちを人質に取って立て篭もりを始めました!」

「( ˶°ㅁ°˶)ナンダト!?」
「どういう事なのですか?貴族の方たちからは復興の為の資金徴収をさせて頂いてますがその代わりに、下水や道路などのインフラ整備に、周囲の魔物討伐などの安全対策を優先して行っているハズです」

「ガッポリーニ伯爵は…商人上がりの貴族でしたね。金を取られることに不満を募らせたというのか?」

ロベルト宰相も巫女のミーコも叛乱をされる理由が分からず、お互いに顔を見合せていた。すると…

「私たちでその原因を調査して参りましょう。もしも…必要と判断すれば、私たちで処分を下しておきます!」

今のマリニウムの切り札とも言える【聖騎士勇者隊】のリーダーであるミャンジャム・イレイユが立ち上がり叛乱の調査、鎮圧の為に動こうと立候補した

「ミャンジャム様、今は私もミーコ様も時間を作るのが困難な状況にあります。超人類の唯一の生き残りの茜ちゃんも、まだまだ現場に出られる程は回復していませので、聖騎士である貴女に判断を委任しますから、どうか良い様に収めて来てください」

宰相であるロベルトから現場での判断を一任されたミャンジャムは、アドルとメリーズを引き連れ【聖騎士勇者隊】の任務として東部地方へと向かった



【マリニウム東部地方領主邸前】
「伯爵!聖騎士勇者隊のミャンジャムです!今回の叛乱の意図は何なのですか!?慰労訪問に精を出してくれている者たちを人質に取っての叛乱など、貴方の立場を脅かしかねないのですよ?」

「やかましいっ!ロベルト宰相も巫女のミーコの甘いやり方にはウンザリしてるんだ!アイツらが指導者になってからは財産分与を要求されてばかりで、ワシを始め貴族たちの財力は減る一方なのだ!これ以上あんな政策に付き合わされてたまるかっ!!」

東部地方の最大手貴族である彼は、周りの小規模貴族まで取り込み大勢の人質を取って立て篭もっていた

「伯爵!貴方の要求は何だ!?城の2人には帰り次第、僕から報告しよう。望みを言ってくれ!」

「……けっ!【イシスの英雄】だか知らんが、貴様のような青二才にワシの崇高な考えが理解出来るものかっ!?」

ガッポリーニ伯爵は英雄と称される、アドルの言葉にさえ耳を傾けようとしなかった

「東部地方は今日をもって独立する!ワシを国主として認めさせよ!甘ちゃんの2人のやり方は間違っていると証明してやるわ!そして更なる富を増やしたワシの財力(チカラ)を見せつけてくれるわ!ガーハッハッハッ(笑)」

「ふっ…デブ豚は救いようがあらしまへんなぁ…」
 

いつもは前に出ず後方支援に徹しているメリーズが珍しく前に出ると、ガッポリーニ伯爵の方に手のひらを向けて呪文を詠唱した

「ぐぎっ!?」

するとガッポリーニ伯爵だけが見る間に凍りついていく!ほんの数秒で彼は氷のクリスタルの中に閉じ込められた!

「この豚に賛同した貴族はんたち…改心するなら今のうちどすえ?【氷結爆砕(バーンバニッシュ)】!」

メリーズが伯爵に向けて開いていた手に魔力を込めて、呪文とともにイッキに握り潰すような動作をしたかと思うと…ガッポリーニ伯爵を覆っていた氷のクリスタルは、彼もろとも粉々に砕け散った



【マリニウム城 謁見の間】
「そうでしたか…少々判断を急いだ気もしなくはありませんが…叛乱の鎮圧ご苦労さまでした」

「待ってください!いくら彼らが私利私欲に走ったとはいえ、会心の機会も与えずに殺害してしまったと言うのは、やはり…」

ロベルト宰相はメリーズの判断も一理あると考えて、あまりにも早急にやり過ぎたのでは?という自分の考えを押し殺したのだが…優しさを具現化した存在とも言われているミーコには、納得できない話のようだ



【その夜】
ミーコの自室では…
「あん♪ラデュード…もっと、もっと激しく…モヤモヤを吹き飛ばすくらいに…私を打ち砕いてください…っ、あはっ♪」
 
「ミーコ様。やはりメリーズに課した1週間の謹慎は厳しいと…うっ!?締め付けが…思っているのでは?」

ラデュードに身体を預けながらも、メリーズの事を話し合うミーコがハッスルしていた

「んっ!…いえ、彼らには…ふひゅ…働きを期待し過ぎていますから…休暇も兼ねている…のですよ…はぁはぁ…それよりも…もっと、もっと。強くぅ!…はひゃっ!!」

「ミーコ、いくよ!」
「来てぇ!!」

男女の営みの最中も周りへの配慮が抜けないミーコの悶える姿があった



【聖騎士勇者隊の部屋】
あれから数時間が経ち日は暮れ、外はすっかり暗くなっていたが…隣のミーコの部屋ではミーコとミャンジャムが、今でもメリーズの取った行動に意見し合っていた

「どうしたんだいメリーズ?」

「アドルはん…ウチの判断は間違ってたんやろか?」

人を人質に取ったのが魔物や魔族であったら、今回のメリーズのような素早い対処は逆に褒められて当然だが相手は人間

しかも私利私欲野郎であっても無下にも出来ない貴族への問答無用の処断は、今後の政策にも支障をきたす恐れがあった

「個人的な意見を言わせてもらえると…国民と一体化して復興に励んでいる今の状況で、私利私欲に走れるような奴は僕は即処断しても問題無い。とは思うけどね」

「……うん。ウチもそう思う…けど、ミャンジャムやアドルはんに迷惑をかけてもうた。ほんまに堪忍な」
 

「いやいや。仲間じゃないか。僕はちっとも気にしてないよ♪」

出会ったばかりの頃の無表情な彼女が、今は様々な顔を魅せてくれるようになったものだと、今は不謹慎かもしれないがアドルは彼女の変化を喜んでいた



続く
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