ようこそ幼い嫁候補たち ③

龍之介21時

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憎奪戦争編

強制停止装置(ブレーカー)

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【マリニウム城前】
「小煩(こうるさ)いハエどもがっ!」

「バッゴォン!」
神代兵器を操るラッセル公爵は、基礎型超人類の武蔵と小次郎のしつこさに業を煮やし、右腕のサーベルを武蔵に目掛けて無造作に叩き付けた!

「ぐぅおっ!?」

ギリギリ回避した武蔵だったが、地面を砕くほどの一撃は土や石を周囲に撒き散らした。その破片が武蔵の身体に凄まじい勢いで叩き付けられた!その衝撃で上手く起き上がれない武蔵

「まずは1体ですっ!」

ラッセル公爵は左腕の光線の発射口の狙いを武蔵に定めた。先端のレンズ部に光が収束していく

(不味い!アレを喰らえば武蔵と言えど…)
既に右腕の動かない超人類の小次郎は意を決し、神代兵器に飛び込んで行く

「はあぁ!秘剣・燕返(ツバメガエ)し!!」

「バキィィン!」
身体を空中で1回捻り、その遠心力を利用した小次郎の一撃は、神代兵器の発射口のレンズに大きなヒビを入れたが…彼の剣も尖端が折れてしまう
そんな事はお構い無しに、発射口から強い光が溢れ出した。小次郎は折れた剣を強く握り直した

「武蔵!後は任せたっ!!」

小次郎は折れた剣を、ヒビ割れた中心部に押し込んだ!

「バッグアァァァンッ!!!」
収束された強大なエネルギーは、レンズ部の割られた部分を中心に大爆発を引き起こした!

「小次郎ぉぉぉ!」
大爆発の爆風が神代兵器を飲み込んだ

「お父上っ!」

父親ラッセルの身を案じる息子のバートランド
その爆風は武蔵の身体も激しく揺さぶった。神代兵器の左腕は肘の関節から先を失った。落下した神代兵器のレンズの先端に、刺さったままの剣を握りしめる小次郎の右腕だけが有った

「小次郎っ!!」

パワードスーツ型の神代兵器に身を包むバートランドと戦っていた茜は、吹き飛んだ小次郎の名を叫んでいた

「忌々しい人型兵器共がぁ!!……バキッ!」

「きゃぁぁぁ!!」

父親のラッセルに怪我を負わせた超人類に怒りを爆発させるバートランド。小次郎たちに気を取られている茜を殴り飛ばした

「うぅ…あ、左手だけじゃなく、右手や両足も上手く動かない…治療が中途半端だったから、関節部が焼き切れたの?」
 

地面に叩き付けられた茜だが、無理をし過ぎて戦った為か?起き上がろうとする彼女の意思を、身体は行動に移すことが出来ていない

「良いザマだな、人型兵器め、ほぅら!」

「うっ!?…な、何のつもりよ?」

バートランドは茜が動けなくなった事を理解して、敢えてダメージを与えずに彼女の衣服を切り裂いたり破いたりしている

「くっ!僕を女だと舐めてるなっ!僕も超人類なんだ、殺すならサッサと殺せよ!」

「くくく♪先程までの威勢はどうしたぁ?兵器に羞恥心なぞは必要ないよなぁ?ん~…」

バートランドは身長2メートル程のパワードスーツ型の古代兵器の背部から、4本の自動義手(ギミックハンド)を伸ばし戦っていた茜の右肩、左手首、左足首、右膝を掴み空中に固定した

「何だコレは!?気持ち悪いだろ!離せっ、離せよぉっ!!」

身体の自由を奪われた右腕の無い茜は空中でジタバタするが、固定された位置から動けなかった

「フハハハハハっ!その状況では我が攻撃は、もう避けられない!どぅれぇ…剥いてやろうか?…それとも、女にしてやろうか?(笑)」

戦場の興奮状態でバートランドは、身体の自由を奪われた状態の茜に性的興奮を覚え、その手にあるソードで茜の服を剥ぎ取っていく。そして指の部分で彼女の敏感な部位を激しく責め立てた!

「んあぁ!…はぁはぁ…やめろぉ!やめてくれぇ!!……辱めを受けるくらいなら…殺しがれぇっ!!」

「ふむ……仕方ないな。では、望み通りに…」

バートランドはソードを振り上げた。一撃で茜の身体を叩き割るつもりのようだ。自分に向けて振り上げられた刃に、茜も自分の人生がここまでだと悟った。その時…

「ビシャアッッン!!」

けたたましい雷音と共に青紫の閃光が走り抜け、バートランドが装備しているパワードスーツの自動義手(ギミックハンド)を全て叩き落とした!

「んなっ!何者だあっ!?」

「やれやれ…頭の悪い貴族様は女の子の扱いを分かってないねぇ…良いかな?女の子の肌は繊細だから、もっと丁寧に扱うべきだよ。分かるかい?」
 

「きゃうっ!?」
自動義手(ギミックハンド)から開放された茜が地に落ちた。現れたのはリキュールとケチュアだ

「バートランド!ナイン家の令嬢ケチュア・ナインが、貴公たちの悪巧みを阻止する為に舞い戻ったわ!」

「生きていただとぉ!?…ケチュアぁ…」

正義と平和を愛するケチュアは、私利私欲の為に彼女が愛するマリニウムをここまで破壊したオヅベルド家と、邪魔者になったナイン家の夫婦…ケチュアの両親を殺させたバートランドに、怒りの炎を灯した眼光を向けた

「リキュール、ケチュア。先走るなよ!」

2人の護衛で来ているオルガスは、妹のチェイムを守りながら2人にも気を配って戦闘している。その時、辺り一帯を巨大地震が襲った

「きゃぁぁぁ!お兄ちゃん!?」

戦闘中の敵味方問わない多くの者たち、もちろん逃げ惑う人々も急に発生した巨大地震のせいで歩くことも出来なかった

「これは…何が起きているんだい?」
「わ、分からないわ。私にも…」

茜を間一髪で助けたリキュールとケチュアも、この大地震に思い当たるモノがなかった



【集落跡】
「お前たち2人を完全に信用して…ボッチ様の使命を教えよう…」

「おう、安心して話してくれ!」
「絶対に誰にも言わないわ!」

危篤状態の様に苦しんでいるボッチちゃんの、秘密の全てを話す覚悟を決めたお爺さん

「ボッチ様は半分兵器、半分人間という存在じゃ……そして、ボッチ様がその身に背負っている使命それは……強制停止装置(ブレーカー)なのじゃ!」

「強制停止装置(ブレーカー)?」
「何なのソレは?」

「ボッチ様がマリニウムの守護者として、崇められておるのは知っておろう?ボッチ様は小さなその身体に人の憎しみや怒りを、吸い込み浄化して下さる体質をして居られるのじゃ……ある程度までのモノなら、この前の様に体調を崩す程度で、マリニウム地方の人の負の感情を浄化してくださるのじゃ」

「まさに守護者なんだな…」
「待って!日常の感情ならそれで済んでも、今マリニウムで起きているクーデターほどの巨大な負の感情を吸ったらどうなるの?」

「ボッチ様の許容量を飛び越えると…ボッチ様は強制停止装置(ブレーカー)が自動的に発動されてしまうのじゃ」

「それが発動すると、どうなるんだ?」

「強制停止装置(ブレーカー)の発動、それは……ぬぉ!?」

「でーーーー!!!!!」

苦しんでいたボッチちゃんが遂に限界を超えた様で、彼女の身体は眩しく発光し巨大化していき、その時の衝撃で周囲を轟音が埋めつくし集落は徹底的に破壊された

……………………………………………

「な、何だったんだ今のは?」
「お爺さん、ボッチちゃん無事?」

「爺さんはソコで気絶してるぜ。しかし、何が起きたんだ?集落が全滅してるぞ!?」

「ボッチちゃんも居ないわ……もう、この大きな柱ったら邪魔ね!あれ?いつからこんな大きい柱なんか有ったっけ?」

「待てプディング!それは柱じゃないぞ!」
「えっ!何なの?……ヒィアァァァ!?」

2人が見上げたその上には……
「でーーー…」
 

プディングが柱だと思ったソレは柱などではなく、頭の先が雲よりも高くにある超巨大化したボッチちゃんだった

「デー!!!」
約1500メートル程に超巨大化したボッチちゃんの咆哮が、マリニウム城周辺の全ての生き物の耳に届いた

「なぁにぃ!?今のデッカイ声はぁ?」
「みんな!マリニウム城の方を見て!」
「な、何ですの!?あの巨大な人は!?」

「まさか神様でも降臨なされたとか?」
「やべぇ、やべぇ雰囲気しかしねーぞ」
「人々を助けに来た…って感じじゃなさそーね…」

山越えの途中である三姉妹と聖騎士勇者隊の位置からも、超巨大化したボッチちゃんの姿がハッキリと見えていた



続く
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