ようこそ幼い嫁候補たち ③

龍之介21時

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憎奪戦争編

死地に踏み込む愚者たち

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【アルバート家 南側の庭】
「はあ!?2対1でヤル気なの?いくらSランクだからって舐め過ぎっつーの!私もラデュードも冒険者登録して3ヶ月でAランクまで登り詰めたのよ。才能があんのよ!良いの?それに、私の武器は古代人の兵器を解析した【ライフル】って武器なのよ。コイツの凄さを知った時には負けてるわよ?」

この世界には魔法以外での飛び道具による遠距離攻撃武器は、王都クラウンがアレクス城を攻める時に使った大掛かりな物か?弓系しかない。ボーガンでさえ新兵器に数えられている時代なのだ

「2人がかりでミャンジャムに勝てたら、【北の勇者隊はイシスの勇者に勝った者たち】って僕自身で宣伝してあげよう。それなら2対1でも本気で戦えるかい?」

「へー、自信満々って訳だ。プディング!不貞腐れるのは分かるけどよ、それだけ聖騎士様は侮れない!って事だ。慎重に行こうぜ」

「ちぇ、仕方ないわね。負けた後でさっきのは本気じゃなかったの…とかは聞かないからねっ!」

……………………………………………

「あはははは!ミャンジャムの勝利ー!ウヒョヒョヒョヒョー♪やっぱりベイオネットは最高ね~♫」
 

「きゅうううぅぅ……」
「う、嘘だろ……2対1だぞ…ガクッ…」

高らかに勝利の笑いをあげるミャンジャム。何度もお世話になっているアルバート家に迷惑を掛けた馬鹿者を折檻できて、かなりスッキリした!って顔をしている!
彼女の足元に転がって動けないプディングとラデュード。3人が戦った内容はこうだ…

ライフルの上部の蓋を開け弾を入れるプディング。そして狙いを付けて、筒の中に魔法で爆発を起こす。その爆風に押されて飛び出す弾
コレが彼女の必殺武器、古代人が残した兵器【ライフル】なのだ。「ちゅイーン!」
無言で回避したのか?弾はミャンジャムには当たらなかった

「どうかな?何が起きたか理解出来たかな?コレが古代兵器【ライフル】よ。今のはワザと外したけど…次は外さないわ……ん?何のつもり?」

ライフルを構えているプディングに向けて、【ベイオネット】を向けるミャンジャム
しかし、【ベイオネット】は連射銃(マシンガン)モードになってはいるが、見た目はほとんどランスである
当然プディングもラデュードも、ライフルにランスを向ける愚かな聖騎士に見えただろう。だが…

「痛たたた!ごめんなさい!許してぇ!!」
「( ゜∀゜):∵グハッ!!」

ベイオネットから乱射される魔法弾に滅多打ちにされたプディング。彼女を助けようと突撃したラデュードも、槍(ランス)モードに切り替えた【ベイオネット】で一閃された



【ハチマン村生誕祭】
いよいよヘルメスの街では、友好関係を結んだハチマン砦を中心に作られる村を祝う為の祭りが始まった

街の中央の巨大ステージの上では、前回優勝したシェリーとシャルルによるダンスが披露されている

「やっぱり姉妹のダンスは素晴らしいな。キレがあって美しいよな…」

「そうだね綺麗だね……でもさ、隣にこんな可愛い彼女が居るんだから、あまり目を奪われて欲しくないんだけどね…」

「いやいや、ソレとはまた別だから(汗)」

ヒイロとカルーアが、美人姉妹のダンスを眺めていた。司会者から前回優勝者の美人姉妹による特別なダンスと紹介されていた

「あっ!?ヒイロー!見てくれたー?」
   

「ほらヒイロ。シャルルさんが見付けて手を振ってくれてるよ」

「あはは……シャルル!素晴らしかったぞ!」

「えへへ!ありがとうヒイロ♪」

シャルルはダンスが大好きみたいな感じで、汗をかき全力で踊りきった顔は実に晴れやかな笑顔を魅せている

カルーアに半分イヤミで催促され、シャルルの声に応えたヒイロ。どうやら、この後エルデスによるソロ・コンサートが開かれるらしい

「お疲れ様シェリー、シャルル。奢りだ、飲んでくれ!」

美人姉妹はヒイロの奢りのフルーツドリンクを美味しそうに飲んでいる。ステージ入り口の横のベンチにアリスとヨシュアが座っていた

「あ、あのねぇヨシュア…」

「ん?どうかしたか?もうすぐエルデスの出番だぞ?」

「うん…アタシ…お弁当作ってきたんだぁ。あんまり美味しく出来なかったかもなんだけどぉ…サーシャが指導してくれたからぁ…少しは美味しく出来たかなぁ?って思うの…食べてくれるぅ?」
 

アリスは街で流行っている?【緑のキツネ】モンスター型のポーチから取り出した弁当をヨシュアに渡した

「コレをアリスが作ったのか?俺の為に?」

正直ヨシュアは感動した。近い年齢の異性から弁当を作ってもらい、外で一緒に食べるなんてカップルらしい行動は生まれて初めての事だからだ!

「どう…美味しいかなぁ?昨夜サーシャに「バッチリ!」って言われたのをぉ、今朝もう一度作り直したんだけどぉ……」

「おう!美味しく出来てるじゃねーか!鳥の唐揚げがマスタードソースと合ってて美味いぞ!」

エルデスから勧められたヨシュアと彼氏彼女らしいデートをしてはどうか?ソレを成功させる為に何日も訓練の後に、サーシャと料理にも頑張っていたアリス

慣れない料理に打ち込んだ為か?彼女の指には何ヶ所も切り傷があった。ソレに気が付いたヨシュアは、多少の生焼けがあっても文句など言えない(言う気にもならない)

(……が!このオニギリは無理だ!アリス…砂糖と塩を間違えたな……甘いオニギリは耐えられねー)

その時ヨシュアは50メートルほど離れた場所に、ドリンク屋が出ているのを見付けた

「ちょ、ちょっと待ってろよアリス。残りは……特にオニギリは俺が全部喰うからよ。残しておいてくれよな!じゃ!」

甘いオニギリ以外は、それなり以上の出来だったのでオニギリさえ、リンクで流し込んで処理すれば、アリスの自信に繋がるハズ。そう考えたヨシュアは、少し離れた出店にドリンクを買いにアリスの元から一瞬離れた



【北の勇者隊】
「はぁ~街は賑わってるわね…」
「そりゃー祭りしてるからな…」

いくら相手が聖騎士とは言え、イキって挑んで2対1でコテンパンに負けてしまったので、街中で「北の勇者隊だー!」なんて、恥ずかしくて宣伝もデキナイくらい落ち込んでいる2人。その目の前に、ヨシュアの帰りを待っているアリスが居た

「美味そうじゃねーか!そのオニギリひとつくれよ、ヒョイ!」

「えっ!?ちょっとぉ!」

ムシャクシャしていたラデュードは、見知らぬ少女アリスがひとりで拡げている弁当箱の中から、オニギリを取り上げると口に放り込んだ

「………んぅ!?…甘めぇ!砂糖使ってやがる!オニギリには塩だろうがよ!」

「チビッコが!デートごっこなんかしてるんじゃないってーの!こんな物っ!」

「何するのぉ!ヤメテヨォ!」

この街で【北の勇者隊】を宣伝する目論みが外れてしまったプディングはアルバート工房で、たまたま会わなかったアリスの弁当に八つ当たりし、中身を地面にバラ撒き足で踏みつけてしまう

プディングもラデュードも、アリスがヒイロの家の三姉妹の長女であるとか……その彼氏のヨシュアが元魔王の息子である事などは、モチロン知るハズもなかったw



続く
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