ようこそ幼い嫁候補たち ③

龍之介21時

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憎奪戦争編

エリスア様 再降臨

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【異変】
マリニウム地方で静かに大きな動きが始まろうとしていた頃、アルバート家ではサーシャが熱を出して寝込んでしまった

「大変ですノ!心配ですノ!」

「そ、そうだねコハラコ。でもさ、騒いでると余計にサーシャが疲れちゃうから静かに見守ってあげようね…ね?」

その日の昼飯の時だった
サーシャはいつも、姉のカルーアと同じくらいの食事量なのだが…カルーアから見ても、今日はサーシャの箸が進まないのは理解していた

「何だか…めまいがしますの…」

いつもの様に食べられないというので半分くらい残した分を、ヒイロとヨシュアが半分ずつ食べて片付けたのだが…


「ねーねー!サーシャママ、どんどん苦しそうにしてるノ!助けてなノ!」

「何!?本当か?今、行く!」

三姉妹の部屋にサーシャと一緒に居たコハラコが部屋から飛び出てきて、サーシャの容態が深刻に悪くなっている事を知らせに来た。慌てて様子を見に行くヒイロ

「いつも元気なサーシャがこんなに体調を悪くするなんて…まさか?…エルデスさん。サーシャを診てあげてくれないかい?晩ご飯の用意はわたしと姉さんでやっておくからさ」
 

「うん!アタシも頑張るぅ!」

エルデスが晩メシの用意をしていた頃、イッキにサーシャの容態が悪くなっていた。以前にも似たような事があったのを、カルーアは突然思い出した。それは…アリスが地球に転移して行った直後に、電池切れを起こしたかのようにイキナリ虫の息になって、1度は死んでしまった日のことだ
あの日を思い出したカルーアは、イッキに顔色が悪くなっていた。すると、サーシャが寝ている部屋から急いでヒイロが戻ってきた

「晩ご飯の用意は俺とカルーアでする。アリスは狼(ハイラ)に乗って商業ギルドに向かってくれ!ネネカさんは街全体に顔が効く…俺はよく知らないが、街中の腕の良い医者を紹介してくれるハズだ」

「うん、分かったぁ!」

アリスは狼(ハイラ)にまたがり、商業ギルドに向けて急いで走り出した



【三姉妹の部屋】
「エルデス。サーシャの様子はどうなんだ?」

アリスの稽古以外ではチカラ仕事くらいしかする事のないヨシュアは、薪割(まきわ)りを終えた後の晩ご飯で、サーシャの容態をエルデスから聞いていた

「よく分からないのです~ただ~普通の病気とかではなさそうですので~普通のお医者さんが来られても~お手上げかと思います~」

「そうなんですか?」
「何だろう?心配だよ…」

精霊魔法が得意なエルデスが診ても、サーシャは普通の病気ではないらしい。イッキに不安が膨らんでいくヒイロとカルーア

「気になる事と言えば~彼女の中の~精霊力(マナ)の動きが~有り得ない動きをしてまして~それが身体に悪影響を与えているのかも~?と思います~」

実際その1時間後くらいにネネカさんが街の名医を連れて来てくれたのだが…サーシャの容態は初めて見るものらしく、何が原因か全く分からないようだ



【その日の夜】
落ち着かないコハラコを新設した部屋で慰めるアリスとヨシュア。カルーアとエルデスがサーシャの看病をしてくれている
そして、ヒイロは外に出て薪割り場に設置してある長椅子に腰掛けて天を仰いでいた。すると、背後から声を掛けられた

「こちらにお見えでしたか~サーシャさんの事が~心配なのですね~」
 

「エルデスさん…サーシャはどうですか?良くなりそうですか?」

しかし、エルデスは申し訳なさそうに首を横に振った。そして、しばらく置いてから言葉を繋げた

「精霊力(マナ)が安定するように~精霊達にお願いして~少しは症状を和らげてはいるのですが~回復には至らないのです~申し訳ありませ~ん…」

高い精霊魔法を使うエルデスでも、サーシャの治療の目処は立たないようだ

「それじゃあ…神様にお願いするしかありませんかね?はは…困った時だけ頼られるなんて…そんな都合良くは、神様も聞いては貰えないでしょうね(笑)」

「そうかも知れませんね~でも~私も一緒にお祈りさせて下さい~」

2人は長椅子に座って天を仰ぎ、前に会った惑星神エリスアに祈りを捧げた

「エリスア様…勝手なことを言いますが、大切な家族であるサーシャを!貴女の眷属となったサーシャが苦しんでいます
もしも願いを聞き入れてくださるのなら、彼女を助けに来てください。お願いします!」

2人はこの星の神であるエリスアに、サーシャが健康になる様に祈りを捧げていた。その時

「うわぁ!?誰だ!てめぇは!?」

家の中からヨシュア達の叫び声が聞こえてきたので、慌てて室内に戻るヒイロとエルデス



【再降臨】
「お久しぶりですね。ヒイロ・アルバート」

三姉妹の部屋。つまりサーシャが寝ている部屋に、この星の神様【エリスア】様が立っていた

「あっ、ヒイロ。エリスア様が…エリスア様が来てくれたんだよ!」

以前にもサーシャが長年の毒の蓄積によって死にかけた時、エリスア様が現れサーシャを天使族に迎えて救ってくれた。その神様が再臨してくれた事に、目いっぱいの喜びを浮かべているカルーア

「エリスア様……お久しぶりです。しかし以前…「惑星神は星の住人の前には姿を現すものではない。という決まりだから、もう会うことはないでしょう」…って言われていませんでしたか?」

「たしかに。私は自分の星の子たちに干渉し過ぎだ!と、他の神々からも注意されましたが…サーシャは私の血肉を与え、天使族として生まれ変わらせたので…星の住人と言うよりかは、私の子供と言って差し支えないでしょう?ですので、我が子の為に行動するのは親として当然の事なのです」
 

(神様がそんなんで良いのか!?)
と、その場の者たちは腹の中で思いはしたが、彼女が現れたという事は…サーシャを助けに来てくれたので間違いないハズ
ならば、余計なことは言わずに彼女のチカラに頼るべきだと判断し、それ以上は敢えて言わない様にした

「そろそろ頃合いだろうな、とは思っていたのです。少々予想より早かったですが…」

「どういう事なんだい?」

神様に対して少々フレンドリーな物言いのカルーアだが、何度か会っていたので親しみが湧いているようだ

「彼女の人間(ヒト)の姿に天使族のエネルギーを流し込んで生き返らせたのですが…そのエネルギーが順応してきてチカラが増大し、生まれた時の人の身体では、そのチカラに耐えられなくなってきたのでしょう
そこで、サーシャの肉体を天使族のエネルギーに耐えられる様に、肉体改造をしにお邪魔した。という訳です」

にこやかな笑顔で話してはいるが、神のチカラで肉体改造をしに来た。と言っているのだ

「あっ!?…え、エリスア様?……お久しぶりで…ごさいますの……」

「ごめんなさい。起こしてしまったみたいですね……そうだわ、地球の神【ガイア】様からも言われていたのですが…サーシャ
貴女に能力(ギフト)を与えて欲しい。と…そこで提案なのですが…サーシャはどんなギフトを望みますか?テレパシーで3種類のギフトを貴女だけに伝えます。その中でひとつ貴女の望むモノを教えてください。ソレを貴女に与えたら…恐らく私は2度と貴方たちの前には現れないでしょう」

「……………分かりました。えっと…サーシャが望むギフト?それは……」

サーシャの窮地に突然、再降臨された惑星神エリスア。彼女の提案からサーシャが選んだギフトとは?



続く
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