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憎奪戦争編

カルーアへの答え

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【戦いの決着】
お互いが全力で放った【七精守護霊(ハーロウィーン)】極大級を上回る超極大級の呪文なので、押し負けた方は無事ではいられない!

「くっ!なんて威力!」
(とは言え、お姉さんは優しいから全力で撃てない!【浮遊飛行(レベテート)】で回避してから殺さない程度の攻撃をするハズ…なら!)

「【光糸細工(シークェット)】!」

優しいカルーアは、きっと全力攻撃することを躊躇(ためら)うハズ。そう考えたリキュールはカルーアの足元から魔法のロープを2本だし、カルーアの脚に絡めて逃げられないように拘束した。が…

「みくびったねリキュール!わたしは大切な家族に害なす者は、絶対に許せないんだ【雷光龍(ジャムルフィン)】!」

カルーアはリキュールの予想に反して【七精守護霊(ハーロウィーン)】を撃ち出している右手とは逆の左手で、追尾式の雷撃を撃ちだした!
ソレは【七精守護霊(ハーロウィーン)】より速く動き、リキュールが放った【七精守護霊(ハーロウィーン)】の先端下部を下から突き上げる様に激突した

もちろんだが、【七精守護霊(ハーロウィーン)】に対し【雷光龍(ジャムルフィン)】では威力は全然負けてしまう。だが、リキュールの放ったソレを、僅かに上方向へ進路を変えさせた

「ギャユイイィィン!」

超極大呪文同士が真正面から激突したが…リキュールが放った方は、僅かに上へ逸らされた分、威力負けして上空へ弾かれた

「きゃぁーア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
 

咄嗟に全力で魔法防御を展開したが…威力の半分も下げられず【七精守護霊(ハーロウィーン)】をマトモに喰らってしまったリキュール


「バァンッ!」
蹴破られたドアから勢い良く入ってくる男

「カルーア!大丈夫かっ!?」

その時、勢いよくヒイロが2人の居る部屋に飛び込んできた!

「ヒイロ!」
「ヒイロお兄さん!……あっ!」

ヒイロへの返事の違いで、彼はどちらがカルーアで、どちらがリキュールなのか?を瞬時に理解した
頬に傷のあるカルーア
身体の半身を焼かれたリキュール

「リキュール…どういう事なんだ?何故カルーアを攻撃したんだ!?」

ヒイロはスグに理解した。リキュールに挑まれたカルーアが、仕方なくリキュールを倒した結果、リキュールが半身を焼かれて負けたんだという事を…

「あ!……わ、私はヒイロお兄さんから…唯一無二の愛情が欲しくて………くっ!それも、もう無理ね。ここまでだわ……さようなら!【雷光柱(ジャムルエッジ)】!」

全ての企みが失敗に終わったことを悟ったリキュールは、雷撃で壁に穴を開け残りの魔力で【浮遊飛行(レベテート)】を使い2人の元から逃げ去った。まだ、この位置ならば魔法でトドメを刺せたカルーアだが、リキュールが予想したように優しいカルーアはトドメを刺さずに彼女を見逃した

そのすぐ後になだれ込んできたホロワーズ。こうして【ハチマン砦防衛戦】は終わりを迎えた



【宿屋ミソノ】
「はい、あーん…」
「ぱくっ!モグモグ…ん、美味しいよ。けどさ、そんな大怪我した訳じゃないんだよ。甘やかし過ぎじゃないかい?……まぁ、わたし的には嬉しいんだけどさ」

ヒイロは宿屋のイートコーナーで、カルーアに「はい、あーん」をして食べさせていた。ソレをニヤニヤと見守るホロワーズ

「いやぁ、青春してますなぁ(笑)」
「マリリン!ジロジロ見るのは良くないピョン!」
「えー?ペコランもガン見してましたよ」

イチャつく2人を眺めるホロワーズ
彼女たちは、今回の防衛戦の最後のリキュールの反乱の件をギルドに報告はせずに、黙っている事を約束してくれた

「どうだ?人に見られながら「はい、あーん」されると恥ずかしいだろ?」

「うん…コレは恥ずかしいね(照れ)」

「たはー、見てるコッチが恥ずかしくなりますなぁ(笑)」
「イチャイチャしてるピョン」
「相思相愛か…羨ましいなぁ…」

微笑ましくイチャコラする2人を、ニマニマしながら優しく見守るホロワーズの3人



【宿屋の2階】
「ねぇヒイロ…わたしの取った行動…アレで良かったのかな?」
 

あれからカルーアは、リキュールにした自分の行動が正しかったのか?間違っていたのか?が、ずっと気になっているようだ

「さぁな…正直わからんな」

「ちょっとヒイロ!ソコは気休めでも「カルーアのした事は間違ってないさ」…とか、言う場面じゃないのかい?」

珍しく迷っているカルーアの姿に愛らしさを感じたヒイロは、小柄で華奢なカルーアの身体を優しく抱きしめた

「あっ!ヒイロ……」

「正しいか?どうか?は、あまり問題じゃないと思うぞ…そうだなぁ…いつかリキュールと再会できたとしたら…その時、彼女がどうなっているか?が大事なんじゃないか?」

「そ、そうだね…リキュールは焦り過ぎたんだと思うよ。生き延びて年月を掛けて色々と学んだ末に、良い答えを出してくれたら…嬉しいな」

その言葉を聞いたヒイロは、カルーアの頭を優しく撫でてヨシヨシした

「そうだな…けどな、リキュールがドチラに転んでいたとしても、ソレはカルーアの責任じゃないんだぜ。ソッチに傾く。って選んで決断するのはリキュール自身なんだからな」

「うん…そうだね。ありがとうヒイロ」

カルーアは、ヒイロがいつも自分の味方で居てくれる事を再認識できた。そして腕を廻し彼を抱き返して言った

「今夜は激しく抱いてくれないかい?もちろん、わたしが壊れない範囲でさ…」

「良いのか?拡張魔法が切れても止まれるか?どうか?次は自信ないぞ?」

「ん…それなら、それで受け入れるさ」
「ばーか、そんな事する訳ねーだろ」

ヒイロとリキュールは、犬も喰わないほど甘々な夜を楽しんだ……階段をソロリと登るマリリンだが、その背後から…

「だからっ!出歯亀なんてするんじゃないピョン!彼らに嫌われたら、この街にも居られなくなるピョン!カナタンも止めるの手伝えピョン!」

「僕は疲れたから…もう、寝るよ。おやすみ…ふわあぁぁ…」

ヨシュアとの訓練の成果を出し切ったカナタンは、2人を置いて早々に眠りに着いた。マリリンはヒイロとカルーアの甘い合体を覗きたそうにしていて、ペコランはそれを必死に止めていた



【高原の2人】
「は~……まーた負けちまったな…」

「ごめんなさいランドルフ!私が甘い顔を見せたから、足を引っ張ってしまって…」
 

「いや、離れているとは言え、あの砦の西にヘルメスの街があるのは知っていたんだ。予想外の抵抗に手間取って、増援が来る前にキメられなかったのが原因だ。気に病むことは無いぜ」

「うん、そうだよね…」

狼を2匹従えて逃げ延びた狼魔人(ランドルフ)とレキシントンは、1時間ほど人気の無い野を歩いた後、保存食と紅茶を飲みながら会議をしていた

「やっぱりよぉ、お前はあの2人とは、もう戦いたくはないんだろ?」

「そ、そうね…せめて、今しばらくは戦いたくは無い。かな…」

「だよなぁ……あの砦は諦めるか!ヤツらの生活拠点からグッと離れた場所まで移動してから活動を再開しよーぜ!幸(さいわ)い食料はたっぷり有ることだしな」

「良いのランドルフ?」

「殺られちまった部下の補充と訓練に一定の時間は必要だしな。ま、それでもいつかは再戦するだろうが、その時はお互いに吹っ切れて戦えるだろうさ…な?」

「そうだね…うん、そうしよう!」

レキシントン程ではないが、狼魔人(ランドルフ)も義理人情は大事にするタイプなので【ヘルメスの街】周辺での戦闘行為は避けることを決めたようだ

2人はグッと東を目指して移動する
コレにより、しばらくはカルーア達と出会うことは無くなったのだが……彼らの活動が成功すれば、いずれカルーア達と再戦する日が来るかも知れない



続く
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