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アリス IN 異世界地球

カルーア VS エーデ

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【カルーアVSエーデ】
試合開始直前から一悶着あったコロシアムだが、ようやく試合は開始された!

「ハイエルフのカルーア…貴女には負けたくない!」

生前の10歳の時、婚約相手だった隣国の王子の騙し討ちにより城と共に死にかけたエーデ。かつて領主の令嬢だった彼女は、戦闘が始まるとおかしな方向にテンションが上がる悪い癖があったのだが…カルーアと対峙している今は冷静な目をしていた

「そう言えば…マルバァスを討伐した後、「わたしには負けないんだから!」とか言ってたね。わたしに勝てる見込みが着いたのかい?」
 

3ヶ月前のアレクス城攻略戦では初の大規模戦闘に参加している事もあり、動きがギコチなかったカルーアだが、自分に自信のある猛者の様な態度にヒイロは彼女の成長を感じていた

「もちろんよ!フュールお姉さまの横に並ぶには超えなければイケナイ物が沢山ある。その内の大きな一つが貴女よ、カルーアっ!」

対して【不死の魔女】のエーデはカルーアへの勝利に眼をギラつかせていた。ソレを横目に見ていたヒイロは、2人がライバル関係である事を認識しある決意を固めた

ヒイロはソードを背中の鞘にしまい戦闘開始に向けて高めていた闘気を沈め、静かにリッチーの方に歩き出した
両手を後ろで組み無手で近づいて来るヒイロに、戸惑いを見せるリッチーのアリシア。ヒイロは彼女の目の前で立ち止まった

「何ですか?試合は既に始まっているのですよ?」

ヒイロの行動を理解できないリッチーは、彼に質問をした

「アリシアさんですね。俺はカルーアとエーデさんがライバル関係にある事を今知りました。カルーアのヤル気とエーデさんの勝利への想い、ソレを尊重したいと思うんです…」

カルーアとエーデはヒイロが何をしようとしているのか?全く理解できないでいた

「なるほど…それでどうするのですか?」

「2人には後腐れの無い試合をして欲しいんですよ。それでですね…」

ヒイロはアリシアに更に近づき、彼女の耳元で小さな声で提案する

「なるほど…良いでしょう!もし、私か貴方が先に倒れ2対1の戦いになって勝ったとしたら、ソレがどちらであっても2人共、納得出来ないでしょうね。その提案に乗ります」

「アリシア?」
「ヒイロ、何を?」

ヒイロとアリシアの話が分からずキョトンとするカルーアとエーデ
次の瞬間、アリシアはヒイロと手を繋いだ。指と指を全て絡めるいわゆる恋人繋ぎだ。そしてアリシアが何やら呪文を唱えると…ヒイロとアリシアは舞台の外に瞬間移動した

「あっ!?……ヒイロ選手、アリシア選手ともに場外失格です!」

「まさか!エーデの為に…」
「もう…ヒイロってば…」

カルーアとエーデは理解した。悔いの無い1VS1の勝負をさせる為に、2人が進んでリタイアしてくれた事を。

「ほっほっほ、そう来たか。2人とも己の大切な人を信頼しておるようじゃな」

「なるほどね。それはそれで楽しいわね!」

観戦していたアテナ、有栖を始め他の参加者も何が起きたのかを理解した

「ヒイロがわたしの為にお膳立てしてくれたんだから、負ける訳には行かなくなったね」

「これで負けたらフュールお姉さまに顔向け出来ないわ」

カルーアとエーデも、試合の勝敗を自分達に委ねられた事を悟り、いっそうヤル気がみなぎった!

「やろうか?エーデ!」
「お前にだけは負けられない!」

お互い睨み合っていた…
先に動いたのはエーデだ

「【黒翼撃波(フォビドゥーン)】!」
 

エーデは闇の魔法を得意としている。その闇のエネルギーを大量に集約させた衝撃波を放った

【雷光暴龍(ジャムルテスラ)!】

対してカルーアは大量の雷の龍を放った。本来、広範囲タイプの魔法だが、エーデの闇の魔法に向けて集約させた

「バチィッ!」お互いが繰り出した上級魔法は、中間地点でぶつかり合い相殺されるかと思われたが…
本来、雷は宵闇を疾走するもの。エーデの【黒翼撃波(フォビドゥーン)】の中をすり抜け、彼女目掛けて襲いかかった!

「相打ち狙いか!?このっ!!」

エーデは闇の波動で【雷光暴龍(ジャムルテスラ)】を包み込み、その攻撃を上空へ逸らした!

対してカルーアは襲いかかる闇のエネルギーが激突するタイミングに合わせ、自分を中心に足元から上空へ光のエネルギーの柱を打ち上げ、エーデの魔法をかき消した!

「くっ!完全には防げなかった…」

エーデは虚をつかれた事もあり、ノーダメージには抑えられず両腕と頬に軽い火傷を負った

「ふぅ…上手く捌(さば)けたね…」

それに対しカルーアは、エーデよりは少し魔力を消費したものの、完全に攻撃を防ぐ事に成功していた

(カルーアの方が上!?…やっぱりマルバァスと戦ったから、前よりも戦方が上手くなってる?こうなったら…)

エーデは耐久力と再生力、更に総魔力量に物を言わせる作戦に出た。高速移動を可能にするホバリング魔法を唱え、地面より数センチ浮き、高速移動しながら中級の闇エネルギーの魔法を連射して、カルーアを攻撃したのだが…

「【浮遊進行(レベテート)】!」

カルーアはホバリングの上位魔法の空中飛行の魔法を使って空に浮かび、エーデの攻撃をかわした

「そんな!?移動系の魔法でも上を行かれているの!?」

エーデはマルバァス戦で有栖とフュールが使える【七精守護霊(ハーロウィーン)】をカルーアが使えて、未だに自分が使えない事に焦りを感じていた
その上、移動系の魔法でもカルーアに負けている。そのショックがエーデの動きを止めてしまった

「迂闊だね【不死の魔女】!…世界を彩る七精霊よ!我がライバルを打ち倒すチカラとなれ!【七精守護霊(ハーロウィーン)】!!」

「しまった!?その魔法は!」

動揺した一瞬の隙を突かれ、カルーアに極大魔法の詠唱の時間を与えてしまった!
最強と呼ばれる【消去の魔女】でさえ、使い勝手が良く破壊力も高い事から好んで使う【七精守護霊(ハーロウィーン)】を撃たせてしまった
いきなりエーデは大ピンチになった



続く
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