引き籠もりVTuber 学生編

龍之介21時

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亜沙美の誕生日

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【10月9日22:05】
「今夜も楽しかったねぇ♪…それじゃ、みんな。乙アミーゴ!」

✱「乙アミーゴ」
✱「乙アミー」
✱「楽しかった」
✱「また明日」

今夜も楽しく配信を終えた亜沙美。今回は、流行りのアニメを同時視聴するという企画だった
【蒼穹のフリーランス】というアニメだった。社会人一年目で一人暮らしを始めた主人公の男が、就職した会社のあまりのブラックさに嫌気が刺し、フリーランスになって努力して仲間と共に成長していく。という話だった

「ガチャ」
亜沙美が配信画面を閉じて約3分後、ロミータがその部屋に入って来た

「あれ?ロミータちゃんも配信終わったの?」

「えぇ、スマホを無音にして亜沙美の配信を見ながら配信してたから、ロミーも合わせて終わらせたわ」

どうやらロミータは、一緒に配信を終えようと計画的に終わらせたようだ

「えっと…何か私に用事があった。とか?」

ロミータは同性の亜沙美を真剣に愛してはいるのだが…彼女に依存して自分の生活ペースや、配信活動に大きく影響を与えないようにする!という事が出来る芯の強い性格だ
そのロミータが、亜沙美に合わせて配信を終わらせたからには、何か意図が有るのでは?と亜沙美は考えたようだ

「ねぇ亜沙美。明日の10月10日(木曜日)って何の日か知ってるわよね?」

「えっと……10月の10日だから…ジュウジュウで焼肉の日とか?」

「馬鹿っ!違うわよっ!」

「じゃあ…トートーでトイレの日とか?」

「ヽ(`Д´#)ノ ふざけてんのっ!?明日は亜沙美の誕生日でしょーがっ!」

「Σ(゜□゜)あっ!そうだったぁ…」

「本気だったの?…はぁ…マジ勘弁してよね。自分の誕生日くらい覚えておきなさいよ…」

もちろん亜沙美の性格からしたら分かっていてワザとボケたりした訳ではなく、本気で忘れていたのだ。という事を理解したロミータ

「もしかして祝ってくれるとかぁ?」

「お馬鹿な亜沙美には罰として今は教えてあげないわ。明日の楽しみにしておきなさい♬」

「えぇ…ロミータちゃんの意地悪ぅ…そうだ!ところで、ロミータちゃんの誕生日は何時なの?」

「12月24日よ。良かったら覚えておいてね……まぁ、自分の誕生日すら忘れている亜沙美だから、期待はしてないけどね(笑)」

亜沙美はVTuber活動の方に重きを置き過ぎているので、VTuber浅宮アミの誕生日が4月1日なのは覚えているのに、リアルの自分の誕生日を忘れていたようだw



【10月10日16時】
部活に所属していない亜沙美とロミータは、この時間に2人仲良く竹取家に帰ってきた

「あれ?ロミータちゃん、その格好どうかしたの?晩御飯を作ってくれるとか?」

「呆れた!本当に忘れているのね…今日は亜沙美の誕生日だって昨日、言っていたでしょーがっ!誕生日ケーキを作ってあげるのよ」
  

「本当に!?…うわぁ、ロミータちゃん有難う!嬉しいなぁ♪あ!その髪型、可愛いぃ♬イメチェンなのぉ?」

「ロミーはね、亜沙美に好かれる為に色々と努力してるです♬」

「ありがとう♬本当に可愛いよぉ♪」

ロミータは亜沙美の家に帰るとすぐに私服に着替えて、その上にエプロンを装着していた。料理の為と亜沙美に喜んでもらいたい目的から、新しい結い方にした髪型だったが…亜沙美に褒められてご満悦のようだ

「ロミーがケーキを作ってる間に、亜沙美はお風呂掃除と洗濯をしておいてもらえるかしら?その後に今夜の配信の準備をしていて良いわよ」

「分かった!でも今夜は昨日、同時視聴したアニメの続きを2話見る配信だから、大して準備要らないから部屋の掃除でもしておくねぇ」

「ん、よろしくね」

ロミータはそのままキッチンに入り、すぐ近くにタブレットを立て掛けて有名なお菓子作りYouTuberの配信を見て参考にしながら、ケーキ作りに入った
自分の誕生日を祝ってもらえる事が嬉しい亜沙美は、気合いを入れて家事全般を頑張った



【1時間後】
「happybirthday dear 亜沙美~♪happybirthday to you~♪」

「ロミータちゃん、ありがとう♪ふーっ!」

ロミータが作ってくれたホールケーキに立てられた16本のローソクを、勢い良く吹き消した亜沙美

「誕生日おめでとう亜沙美。愛してるわっ!」

「うん!私もロミータちゃん、大好きだよ」

「ふふ…」
(大好きか…亜沙美はまだ愛してる。とは言ってくれないわね…恥ずかしいのかしら?)

ロミータとしては、生まれて初めて最大限の愛情を亜沙美に注ぎ何度も「愛してる」と口にしているのに、その亜沙美から同じ言葉が出ないのが気になっているようだ

「ありがとうね、ロミータちゃん。あのぅ、記念に写真を撮ってくれないかな?…うん。分かった!」
 

亜沙美は4等分にしたホールケーキの1つを皿に乗せ、自分の顔の前まで持ってきて固定し、ロミータの携帯で写真を撮ってもらった

「それじゃ食べようか?写真は後で亜沙美のスマホに送っておくわ」

……………………………………………

「は~、美味しかったぁ♪ロミータちゃんは、お菓子作りも上手いんだねぇ!良いお嫁さんになれそうだよねぇ♪」

「ありがとう亜沙美。でも…ロミーは、亜沙美以外の人と結婚する気は無いわよ」

「えっ!?…あ、うん…」

どうしても「愛してる」と言われないことが腑に落ちないロミータは、自分の気持ちを亜沙美に伝える為に敢えてこの言い方をした

「ところで亜沙美…」

「な、なぁに?」

「亜沙美の為にロミーは、これだけ頑張ったんだけどさ…何かご褒美をもらえたりはしないのかしら?」

「ご褒美?…うん、そうだよねぇ。これだけいっぱいしてもらったのに、何もお返ししない訳にもイカないよね?…ロミータちゃんは何かリクエストとか有るのぉ?」

どうしても「愛」を口にしてもらえないなら、身体で支払ってもらおうと考えたロミータが、亜沙美に要求したのは…

「じゃあね…亜沙美からロミーにKissしてもらえないかしら?」

「Σ(・ω・ノ)ノえっ!?き、キス?」

「ロミーはさ、今日だけじゃなく亜沙美に配信を上手くするレクチャーをしてあげたりだとか、配線をスッキリ整理してあげたりとか、今まで色々してあげたよね?それくらいのご褒美を要求してもバチは当たらないと思わない?」

「う、うん…確かに…私の配信活動も、私生活もロミータちゃんが居てこそ成り立っているもんね…それくらいはしないと…で、でもでも恥ずかしいから、ほっぺで良いかなぁ?」
 

「本当に良いのっ?…分かったわ。今回はほっぺたで妥協してあげるわ。じゃあ、ロミーは目をつむっているから宜しくね」

「わ、分かったぁ…」

亜沙美は意を決してゆっくり立ち上がり、ロミータの座っている横に移動した

「あっ!恥ずかしいからって、素っ気の無いKissは駄目よ!それなりにムードを大切してくれないとノーカンだからねっ!」

「う、うん…精一杯させてもらうね…」
(ドキドキ…私からロミータちゃんにキス?お、女の子同士なんだし、ほっぺにするんだし、別に良いよね?構わないよね?)

亜沙美は自分からキスするなど、生まれて初めての経験だ。気にしないようにしていても、どうしても心臓の鼓動が速くなっていく

閑静な住宅街の中にある亜沙美の家
そのリビングの中に、亜沙美とロミータの2人だけ。アニメのように、そんな行為を無粋に邪魔しに来る存在などありはしない

(あっ!ロミータちゃん可愛い)

椅子に座って亜沙美からのキスを待つロミータは、期待に胸をふくらませて「ソッ」と目を閉じた。逆に緊張ではち切れそうになっている亜沙美



続く
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