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二股の理由
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ある女性Bさんが、付き合っている男性Aさんの浮気現場をみた。見知らぬ女性とホテルに入っていく所を目撃したのだった。
すぐに彼氏に問い詰めるも、彼氏は知らぬ存ぜぬといった態度。女性はかーっとなり、すぐに別れてくれと申し出る。
「いいよ」
と二つ返事で承諾する彼。それにもいらっときて、別れを保留しその浮気の真相を突き止めることにした。探偵に依頼し、自信もまた。彼のあとをつけた。
しかし、Aさんに怪しいところは見えない。それどころか、女性は神出鬼没であった。そして、あるとき探偵が妙な映像をもってきた。Aさんがホテルに入ると、女性がどこからともなく現れ、そして消える映像だった。
「この女性、どこかおかしいですよ」
Bさんは、別れ話どころじゃなくこの男性の妙な態度のほうが気になりはじめた。ある日Bさん宅でリビングで二人くつろいでいると、Bさんが突然
「俺、幽霊につけられているんだ」
「え?」
「相当気に入っているいみたいでね、いや、あるいは君の知人かもしれない」
それを聞いてギクリときた。知人で最近なくなったのは、C子だろう。C子は、もともとAさんと付き合っていた。それをなんとかしてAさんと引きはがしたのが、Bさんだった。
「い、いや、そんなわけないじゃない」
その日からBさんは、奇妙な夢をみるようになった。亡くなったC子が夢に出てきていうのだ。
「Aを返せ、Aを返せ」
はっとして目を覚ます。そして次の日彼氏に電話をして合うことになった。場所は彼氏の指定したとあるレストラン。穏やかな場所で、静かな夜景を見ながら、食事を始めた。
「あのね、私いってなかったことがあるんだけど」
「え?何?」
「私ね、幽霊が見える事があるの」
「幽霊?見えるときってどういう事?条件があるの?」
「そう、昔から、私を恨んでいる人がいるときには、その幽霊が見えるんだって……それも、ある女性から教わったことなんだけど、最近なくなったC子、あなたがもともと付き合っていたでしょう」
「ふぅーん」
しばらくして、食事をほとんど終えたころだった。
「ね、ねえ……」
「何?」
奥の席のほうを指さして、Bさんが震えている。明らかに客がいるのに、奇妙な女性、白装束の女性が奥の方をフラフラと自由に歩き回っている。そしてふと、こちらを振り向いたかと思うと、すっと物陰にきえた。
(ふう)
落ち着いたBさん、その時点で何かを決意したように、Aさんに告げた。
「私、帰る、それにあなたの浮気許すわ、そもそも浮気なんかじゃないものね……きっと私の勘違いよ」
「え?許されなくていいけど」
「は?」
「いや、きっと今、幽霊が見えているんでしょう?そしてそれは、君の今の態度をみるに、君に恨みを持っている幽霊……かつ、君の怯えようは何か心当たりがあるのでしょう?」
「何、いったい何いってるの?」
ふと、Bさんは自分の直ぐ横をみる、そこには髪の長い女性がたっている。その顔つきはCさんのようだった。
「ひ、ひぃいい!!」
驚いて突き飛ばそうとする、が、それはふわり、とした感触があるだけで、すーっとまた消えてしまった。
「ど、どうなってるの!!一体何なの!!どうして!!あなた、何も見えていないの?」
「何が?落ち着けよ」
「わ、私、もういい!!あなたと別れるわ、だから、許して、許して!!C子!!」
Bさんは、机をたたいて、上着を羽織ってそのレストランから出て行ってしまった。
「ふふ、ふふふ」
と笑うAさん、そこで店中が笑いに包まれていく。Aさんは、しがない役者だった。そして、今回用意したものは、プロジェクションマッピングによる映像、そして天井から吊り下げた布、布に括り付けた糸を操作し、布を巻き取るかかり、そして、貸し切りの店とエキストラ、これらは劇団員である。
「これで、C子も浮かばれるでしょう」
とAさんがいう。皆が少し笑い、また神妙な顔になると、飲みなおしましょう、とAさんが呼びかけた。どこかからあの探偵が姿を現す、彼は白装束を脱ぎ、女性の顔のマスクを脱いだ。
「依頼料、ちゃんと払ってくださいよ」
そして、Aさんはこれまでのいきさつを話した。同じ劇団員だったAさんとCさんは付き合っていた。しかし突然Cさんは、Aさんに理由を告げずに別れを告げた。
Aさんはいぶかしんだが、しかし仕方がない。そんな時に声をかけ、優しくしてくれたのが、共通の知人であったBさんだった。Aさんは何も疑わず彼女と徐々に親しくなり、2か月前から付き合っていたのだ。
だが、あるときから劇団員に色々な噂をきいた。B子が浮気をしているだの、浮気して人の恋人をとるのが趣味だの。初めは半信半疑だったが、探偵に依頼をすると、ある事実が浮かび上がってきた。たしかにB子は浮気をしており、何股もしていた。そして、そのほとんどが彼女もちの男性だった。
「歪だ」
と思ったが、そこはおいておいてさらに気になることを調べた。もしかしてC子が別れを告げたのも何か関係があるのでは。探偵に調べさせようとしたとき、探偵は、さらに高い金を払うのなら、事実を話してやろうといった、一か八か、彼は金を払った。すると、探偵はいった。
「B子さんは私の依頼者だ、私に金を払って、あなたの尾行をするように命じた、しかし目的はただのあなたの盗撮だった」
「どういう事です?」
「そう、まだあなたとC子さんが付き合っているころに、安ホテルに入るあなたの写真をとり、提供するようにいわれた、そして、B子さんが似た位置に並んでいる写真もとらされました、大方浮気写真でもでっち上げたのでしょう」
そして、決定的になったのはC子の遺書だった。彼女は3か月前に自殺し、遺書ではAさんへの未練が語られていた。AさんはC子さん家族からひどく責められたが、理由も告げられず、みに覚えがなかったのでどうしようもなかった。そこで今回の事を計画していた。
「C子のやつ、B子に日頃から“あなたに恨みを持つ人間が幽霊となって姿を現す、日頃の行いに注意をしてね”といっていたみたいで、どうやらそれは真実みたいだったけど、死んで真相をしったのか、いつまでもB子を恨みにでてこない、仕方ないから、今回の事を計画したんですよ」
酒におぼれながら、Aさんはそう話した。
すぐに彼氏に問い詰めるも、彼氏は知らぬ存ぜぬといった態度。女性はかーっとなり、すぐに別れてくれと申し出る。
「いいよ」
と二つ返事で承諾する彼。それにもいらっときて、別れを保留しその浮気の真相を突き止めることにした。探偵に依頼し、自信もまた。彼のあとをつけた。
しかし、Aさんに怪しいところは見えない。それどころか、女性は神出鬼没であった。そして、あるとき探偵が妙な映像をもってきた。Aさんがホテルに入ると、女性がどこからともなく現れ、そして消える映像だった。
「この女性、どこかおかしいですよ」
Bさんは、別れ話どころじゃなくこの男性の妙な態度のほうが気になりはじめた。ある日Bさん宅でリビングで二人くつろいでいると、Bさんが突然
「俺、幽霊につけられているんだ」
「え?」
「相当気に入っているいみたいでね、いや、あるいは君の知人かもしれない」
それを聞いてギクリときた。知人で最近なくなったのは、C子だろう。C子は、もともとAさんと付き合っていた。それをなんとかしてAさんと引きはがしたのが、Bさんだった。
「い、いや、そんなわけないじゃない」
その日からBさんは、奇妙な夢をみるようになった。亡くなったC子が夢に出てきていうのだ。
「Aを返せ、Aを返せ」
はっとして目を覚ます。そして次の日彼氏に電話をして合うことになった。場所は彼氏の指定したとあるレストラン。穏やかな場所で、静かな夜景を見ながら、食事を始めた。
「あのね、私いってなかったことがあるんだけど」
「え?何?」
「私ね、幽霊が見える事があるの」
「幽霊?見えるときってどういう事?条件があるの?」
「そう、昔から、私を恨んでいる人がいるときには、その幽霊が見えるんだって……それも、ある女性から教わったことなんだけど、最近なくなったC子、あなたがもともと付き合っていたでしょう」
「ふぅーん」
しばらくして、食事をほとんど終えたころだった。
「ね、ねえ……」
「何?」
奥の席のほうを指さして、Bさんが震えている。明らかに客がいるのに、奇妙な女性、白装束の女性が奥の方をフラフラと自由に歩き回っている。そしてふと、こちらを振り向いたかと思うと、すっと物陰にきえた。
(ふう)
落ち着いたBさん、その時点で何かを決意したように、Aさんに告げた。
「私、帰る、それにあなたの浮気許すわ、そもそも浮気なんかじゃないものね……きっと私の勘違いよ」
「え?許されなくていいけど」
「は?」
「いや、きっと今、幽霊が見えているんでしょう?そしてそれは、君の今の態度をみるに、君に恨みを持っている幽霊……かつ、君の怯えようは何か心当たりがあるのでしょう?」
「何、いったい何いってるの?」
ふと、Bさんは自分の直ぐ横をみる、そこには髪の長い女性がたっている。その顔つきはCさんのようだった。
「ひ、ひぃいい!!」
驚いて突き飛ばそうとする、が、それはふわり、とした感触があるだけで、すーっとまた消えてしまった。
「ど、どうなってるの!!一体何なの!!どうして!!あなた、何も見えていないの?」
「何が?落ち着けよ」
「わ、私、もういい!!あなたと別れるわ、だから、許して、許して!!C子!!」
Bさんは、机をたたいて、上着を羽織ってそのレストランから出て行ってしまった。
「ふふ、ふふふ」
と笑うAさん、そこで店中が笑いに包まれていく。Aさんは、しがない役者だった。そして、今回用意したものは、プロジェクションマッピングによる映像、そして天井から吊り下げた布、布に括り付けた糸を操作し、布を巻き取るかかり、そして、貸し切りの店とエキストラ、これらは劇団員である。
「これで、C子も浮かばれるでしょう」
とAさんがいう。皆が少し笑い、また神妙な顔になると、飲みなおしましょう、とAさんが呼びかけた。どこかからあの探偵が姿を現す、彼は白装束を脱ぎ、女性の顔のマスクを脱いだ。
「依頼料、ちゃんと払ってくださいよ」
そして、Aさんはこれまでのいきさつを話した。同じ劇団員だったAさんとCさんは付き合っていた。しかし突然Cさんは、Aさんに理由を告げずに別れを告げた。
Aさんはいぶかしんだが、しかし仕方がない。そんな時に声をかけ、優しくしてくれたのが、共通の知人であったBさんだった。Aさんは何も疑わず彼女と徐々に親しくなり、2か月前から付き合っていたのだ。
だが、あるときから劇団員に色々な噂をきいた。B子が浮気をしているだの、浮気して人の恋人をとるのが趣味だの。初めは半信半疑だったが、探偵に依頼をすると、ある事実が浮かび上がってきた。たしかにB子は浮気をしており、何股もしていた。そして、そのほとんどが彼女もちの男性だった。
「歪だ」
と思ったが、そこはおいておいてさらに気になることを調べた。もしかしてC子が別れを告げたのも何か関係があるのでは。探偵に調べさせようとしたとき、探偵は、さらに高い金を払うのなら、事実を話してやろうといった、一か八か、彼は金を払った。すると、探偵はいった。
「B子さんは私の依頼者だ、私に金を払って、あなたの尾行をするように命じた、しかし目的はただのあなたの盗撮だった」
「どういう事です?」
「そう、まだあなたとC子さんが付き合っているころに、安ホテルに入るあなたの写真をとり、提供するようにいわれた、そして、B子さんが似た位置に並んでいる写真もとらされました、大方浮気写真でもでっち上げたのでしょう」
そして、決定的になったのはC子の遺書だった。彼女は3か月前に自殺し、遺書ではAさんへの未練が語られていた。AさんはC子さん家族からひどく責められたが、理由も告げられず、みに覚えがなかったのでどうしようもなかった。そこで今回の事を計画していた。
「C子のやつ、B子に日頃から“あなたに恨みを持つ人間が幽霊となって姿を現す、日頃の行いに注意をしてね”といっていたみたいで、どうやらそれは真実みたいだったけど、死んで真相をしったのか、いつまでもB子を恨みにでてこない、仕方ないから、今回の事を計画したんですよ」
酒におぼれながら、Aさんはそう話した。
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