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過去と未来
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ノアール子爵家に到着した私達は、各々の部屋に案内された。
「お嬢様、子爵夫妻から御茶のお誘いが有ります」
「そうね、お受けしましょう。エラ、貴女はご夫妻と面識があるのよね」
「はい、公爵家に上がる推薦状を頂きました」
エラは、ノアール子爵家の遠縁にあたる。
「お嬢様、此方のドレスにお着替え下さい」
「ありがとう、荷物の整理が終わり次第、エラも実家に帰りなさい」
「でも、やはり」
「エラの家族も、帰りを待っているわ」
エラの気持ちは有難いが、でも、此は先生からの指示だから仕方ない。
この旅の責任者は、家庭教師である先生である。
親離れ、子離れだそうだ。
私はまだ、どのように生きたいか決めていない。
だから不安なのだ。
エラには、幸せになって貰いたい。
この先、私が暗礁に乗り上げる事があっても。
だから、彼女にも時間をあげたい。
そう、こんな考えをするのも私が弱いせいだ。
エラがいない間は、公爵家から同行してくれたメイド達が埋めてくれる。
「エラさん、お任せ下さい」
三人のメイドがエラを安心させる為に喋り掛ける。
三人の名前は、ローズ、リリィ、ヴィオレト。
彼女達は、正式な私付のメイドになっている。
エラとメイド達に手伝ってもらい、身支度を整えて子爵夫妻が待っているサロンに向かうとしよう。
薄いピンクのドレスを着て階段を降りようとすると、リアンが手を差し伸べてくれるが、まだまだ、ぎこちないのは仕方ない。
「ティニー可愛!」ジェイの声が聞こえたのは、気のせいだと思う。
アンリとジェイは、公爵領に行く前に厳しい指導が、子爵家に逗留する間にある。
公爵家の本邸は、お祖父様のお膝元だ。
子爵家よりも、厳格なマナーが求められる。
勿論、私に対しても、子爵家に逗留する間の課題が出されている。
サロンに入ると、子爵夫妻が立ち上がり歓迎してくれる。
「ディスティニー嬢、我が家への逗留を歓迎する。自分の家だと思い寛いでおくれ」
子爵は、ディスティニーに親愛の込めた笑顔を向ける。
「長期の逗留を受け入れて頂き感謝します。御迷惑をお掛けいたしますがよろしくおねがいします」
ディスティニーがドレスを摘まみ、挨拶すると子爵夫人が近より、優しく抱きしめる。
「嬉しいわ、貴女に会えて。アップルパイを焼いたのよ。さあ、食べましょう」
子爵は、そんな夫人を諌めながらも優しく見守っていたわ。
お互いが、お互いを大切に思っている。
2人を見ているだけで分かるの。
「ディスティニー嬢も、落ち着かないよ」
「あら、ご免なさい。でも、嬉しいのよ」
甘いアップルパイの匂いに誘われたのかも知れない。
自然に笑う事ができたの。
「ティニーと呼んで下さい。そう呼んでくれると嬉しいです」
そんな優しい時間を過ごしていたんだけど。
「手紙に書いてあった件なんだけど、君、本気なのかい」
子爵が、先生に問いかける。
とても、とても、怪訝な感じでね。
「本気です。ディスティニー嬢には必要な事ですから」
先生は、ぶれなかった。
子爵領での、私への課題。
それは、乗馬と・・・・。
「お嬢様、子爵夫妻から御茶のお誘いが有ります」
「そうね、お受けしましょう。エラ、貴女はご夫妻と面識があるのよね」
「はい、公爵家に上がる推薦状を頂きました」
エラは、ノアール子爵家の遠縁にあたる。
「お嬢様、此方のドレスにお着替え下さい」
「ありがとう、荷物の整理が終わり次第、エラも実家に帰りなさい」
「でも、やはり」
「エラの家族も、帰りを待っているわ」
エラの気持ちは有難いが、でも、此は先生からの指示だから仕方ない。
この旅の責任者は、家庭教師である先生である。
親離れ、子離れだそうだ。
私はまだ、どのように生きたいか決めていない。
だから不安なのだ。
エラには、幸せになって貰いたい。
この先、私が暗礁に乗り上げる事があっても。
だから、彼女にも時間をあげたい。
そう、こんな考えをするのも私が弱いせいだ。
エラがいない間は、公爵家から同行してくれたメイド達が埋めてくれる。
「エラさん、お任せ下さい」
三人のメイドがエラを安心させる為に喋り掛ける。
三人の名前は、ローズ、リリィ、ヴィオレト。
彼女達は、正式な私付のメイドになっている。
エラとメイド達に手伝ってもらい、身支度を整えて子爵夫妻が待っているサロンに向かうとしよう。
薄いピンクのドレスを着て階段を降りようとすると、リアンが手を差し伸べてくれるが、まだまだ、ぎこちないのは仕方ない。
「ティニー可愛!」ジェイの声が聞こえたのは、気のせいだと思う。
アンリとジェイは、公爵領に行く前に厳しい指導が、子爵家に逗留する間にある。
公爵家の本邸は、お祖父様のお膝元だ。
子爵家よりも、厳格なマナーが求められる。
勿論、私に対しても、子爵家に逗留する間の課題が出されている。
サロンに入ると、子爵夫妻が立ち上がり歓迎してくれる。
「ディスティニー嬢、我が家への逗留を歓迎する。自分の家だと思い寛いでおくれ」
子爵は、ディスティニーに親愛の込めた笑顔を向ける。
「長期の逗留を受け入れて頂き感謝します。御迷惑をお掛けいたしますがよろしくおねがいします」
ディスティニーがドレスを摘まみ、挨拶すると子爵夫人が近より、優しく抱きしめる。
「嬉しいわ、貴女に会えて。アップルパイを焼いたのよ。さあ、食べましょう」
子爵は、そんな夫人を諌めながらも優しく見守っていたわ。
お互いが、お互いを大切に思っている。
2人を見ているだけで分かるの。
「ディスティニー嬢も、落ち着かないよ」
「あら、ご免なさい。でも、嬉しいのよ」
甘いアップルパイの匂いに誘われたのかも知れない。
自然に笑う事ができたの。
「ティニーと呼んで下さい。そう呼んでくれると嬉しいです」
そんな優しい時間を過ごしていたんだけど。
「手紙に書いてあった件なんだけど、君、本気なのかい」
子爵が、先生に問いかける。
とても、とても、怪訝な感じでね。
「本気です。ディスティニー嬢には必要な事ですから」
先生は、ぶれなかった。
子爵領での、私への課題。
それは、乗馬と・・・・。
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