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幕間2

聖女伝説~椿の君~4(王太子side)

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 「王太子殿下、神殿から手紙が届いております。」
従者が、王太子に手紙を渡す。


王太子は、静かに手紙を読み始める。

「聖女の準備(調教)が、終わった様だ。巡礼の旅に近々、出るらしい」

「面会に、行かれますか?」

「否、聖女は、私に会わないだろう」

「殿下・・・・」

「暫し、・・・・席を外せ」





 一人になった王太子は、机を叩き、悲鳴の様な雄叫び挙げる。


召喚された聖女を見た時、彼女だと解った。

前世で、幸せにしてやれなかった愛しい女。

再び、手放さなくては為らない事も理解していた。

それでも、幸せだった。

召喚され、数年間は夫婦の様に過ごし、王女も産まれた。

残された、日々を、見ない振りをしていた。


聖女は、女神の代理人。


『聖女は男達の精の力を身体に、蓄える。

蓄えられた力は、大地に還元され、肥える大地になる。

聖女が、蜜壺から流す甘露は大地に、潤いを与える。

聖女が快楽を感じる時、大気は、浄められる。

それは、その土地に住む男達の役目。

神が慈悲を平等に分ける為に、決められた事』


聖女は、実りの証しとして魔力の高い女児を産む。




 聖女は王家にとって、特上の胎。召喚された彼女を見るまで、割り切っていた。

もしも、王太子などという立場では無かったら、彼女を拐い逃げていただろう。

「椿!椿!椿!椿ー!!」

王太子は、灯りの無い執務室で蹲る。

声に為らない、嗚咽が場を支配する。

王家の子を産んだ、聖女は神殿に降下される。

聖女の巡礼が無い場合、民に多大な被害が出る。

それでも彼女の温もりが、笑みが、忘れられ無い。

産まれたばかりの王女を見詰めていた、彼女の優しい瞳、優しい時間は、二度と戻らない。



 神殿に降下が決まり、王城から去る彼女は馬車に乗るとき『良いのよ、此で良いの』彼女は、強がって笑っていた。

何故、何故、愛しい女に何度も悲しい思いをさせてしまうのだろう。

「とうさま・・・・泣いてるの?」

「まだ、起きていたのか?」

「あんね、かあさまが、とうさまが泣いたら慰めてねって言われたの」

王太子は、幼い王女を抱きしめる。

「父様は、弱いんだ。それでも、お前達だけは、幸せにする」
私が、椿にしてやれる事は其だけしかない。

王女は、父親に抱かれながら外の景色を見た。

「父様が泣いたら、側にいてあげて。だけど涙は、見ない振りをして挙げてね」

此は、聖女で有る母と、王女との約束。




 










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