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異世界での一歩

街に行こう!1

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 沢山の人が青空の元、活気に満ちた大通りにはカラフルなパラソルが並び、気分が高揚します。。

花売りの少女の声、魚屋さんの叔父さんの呼び込み。皆、元気いっぱいです。

 今日は、秋の大バザール市。まあ、歩行者天国みたいな感じですね。

バザールの中でも、一番の活気に満ちるのが商人街は、人、人、人だらけ。

私は、今、この世界の青空の下で生きている事に、興奮している。


「随分と、興奮しているな」
「仕方ないわ!だって珍しい物ばかりなんだもの!」
サイラスに抱っこされていたので、私の高揚した気持ちが伝わってしまったのかな?


 私が召喚された《キング・プロテニア王国》は、大陸の中でも、軍事、貿易、両者とも有力な強国。

その為、王都の人口、面積は、大陸随一だそうです。

秋のバザール市は、他国からの商人も露天、仮店舗を構え商いに精を出すのです。

強国ならではの、恩恵ですね。

「リリィー、あそこを見よう」
今日は、サイラスとバザール見学です。
勿論、護衛の人達もいますが、仕方ないですね。

私達が、入った御店は外国の品物が置かれた店舗で、お屋敷では見掛けない物が沢山有ります。

うーん。インドぽい感じですね。

金と原色の世界です。

サイラスは、職業柄何でしょうか?剣を念入りに見てます。
サイラスが、腰に差して要る剣は直線ですが、商品として並んでいる物は、湾曲なんです。

えっ!買っちゃうの?

従者さんが、お会計しています。

商人は、サイラスが金払いが良いと思ったのでしょう。

私達を、御店の奥に案内をします。
ソワソワしてしまいます。

案内された場所には、異国情緒溢れる金の宝飾品、生地などか溢れているのです。

サイラスは、異国の言葉で商人さんと話し込んでいます。

「お嬢様、此方に珍しい本、ゲームなどごさいますよ」
店員さんに、誘われたので、サイラスを見ると行くように促されてしまいました。




 サイラスは、リリィーが従者と、奥に行くのを確認する。

『もしかして、白百合の君ですか?』
商人は、外国語でサイラスに話し掛ける。
『うるさい!早く、情勢の変化を報告しろ!』
『ハイハイ。情勢なん・・・・』

この店主は、王国軍部の密偵でバザールの時期に報告に戻って来るのだ。

『情勢は落ち着いていますが、王族、貴族の間では花の乙女の話題が、王太子妃選びと絡み合い、怪しい動きが有ります』

リーデングールは、王国から距離もある小国だが、金と香辛料で富を成している。

国王の息子達が、適齢期を迎える。
妃候補は、何人かいた筈だ。
王太子が我が国に留学し、花の乙女達と接触する事に為っている。

サイラスは、気が重くなる。

『リーデングールの貴族、特に妃候補を出している家の動きを注視しろ』
『はい』


リーデングール国とキングプロテニア国は、貿易で密接に繋がり、お互いに益を持っているのだ。

花の乙女を渡すのも、外交的な懐柔の一貫だ。







 異国情緒、溢れる巻物は金を贅沢に使い物語が描かれている。

此は、子供の絵本では無い。

恐縮しきっている私に、店員の人は過ぎ次と物語の絵巻物を持ってくる。

「リリィー、欲しい物はあるか?」
サイラスの姿が見え、安心してしまう。
「此、買ってやろうか?」
違うから!ブンブンと、頭を振るのがやっとだ。



「有り難うございます!!」店員の皆さんからの、元気な、お見送り。

豪華な、絵巻物はサイラスの感性に触れたらしい。




 さあ!気を改めてバザール市を、楽しみたい!

だって、初めて街に来たのだから。

私達は、沢山の露店を見て回り、珍しい物が有ると、立ち寄りながら楽しんだ。

そして、楽しみにしていたお昼です。


 路地裏の寂れた場所に在る店。
扉を開けると「イラッシャーイ」と元気な声が響きます。

懐かしい、お汁の匂い。

お椀の上には、メンマと鳴門とチャーシューです。

以前、好きな食べ物をサイラスに聞かれた事が有ります。

サイラスは、覚えていてくれたのですね。

そう!ラーメンです。

高級では無い、質素なラーメン。

ただ残念なのはドンブリから、お椀に取り分けられてしまった事です。

「私、ドンブリのまま食べれる!」
「嫌、絶対に無理だ」

普段、聞き分けが良いリリィーの望みは叶えてやりたいが、絶対に無理だ。
危な過ぎる。椅子に座ったリリィーの頭と、ドンブリの高さが同じ位だ。

「リリィー、お仕置きが必要か?」
それは、それで楽しみだ。
以前、リリィーが覗きをした時、尻を叩いた時を、思い出す。

「お椀で、お願いします」
「それは、残念だ」
涙目で、真っ赤になる顔は嗜虐心を誘う。


私なりには粘りましたが、これ以上粘って、お尻ペンペンは願い下げです。

実際、危ないですからね。


美味しそうな、ラーメン。

「いただきます!」









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