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物語の始まり

運命が回る時

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 重厚な扉が開くと、豪華な貫頭衣を着た多数の神官と巫女が入室してきた。


 「貴方達は何者なの!」
撫子は腕で胸を隠しながら、彼らに敵意を向ける。

そして、不安は伝染する。

多数の少女達が、不安、敵意を込めた声を上げる。




 「異世界の花の乙女達、私達は貴女がたに危害は加えません。まず、衣服を整えましょう」

見る限り一番上位の神官が、説得するように語りかける。
それを合図のように神官と巫女のペアーが女性達にロープを渡し、何かを確認していた。
確認が終わった女性は、ロープを着て巫女と神官に付き添われ退場の流れのようだ。

撫子を確認した、神官と巫女から歓声が上がる。
彼女は、誰よりも丁寧に付き添われ、退室して行くのが確認できた。
この流れから考えられるのは、聖女かな?異世界小説で良くあるパターンだよね。

「もしかして、残念聖女?」何て言ってるのが聞る。



 
 さてさて、私達の前にも二組の神官と巫女さんのペアーが居るんだけど、身体に精神が引き付けられたのか、水色の髪の美幼女と私は団子のように抱き合って固まってしまったんだよね。

「はーい、怖くないよー」「ごめんね、寒かったのかなー」「はーい、怖くない。泣かないよー」

神官が根気良く私達の握り合っている手をほどくと、手の甲に呪文を掛ける。

私の手の甲には、銀色の家紋。水色の髪の美幼女の手の甲には、青銀色の家紋が浮かび上がってきた。

巫女がロープを着せてくれながら「おめでとうございます。キャスル侯爵家の皆様がお待ちです」と声を掛けてくれる。

水色の髪の美幼女を私が見ていると「あちらの、お嬢様にはクラーク公爵家の皆様がお待ちに成ってます」

私と水色の髪の美幼女は、引き摺るロープを着、手を繋いで重厚な扉を通り抜け、長い神殿の廊下を歩き出した。




 『神殿の重厚な扉をくぐり抜ける瞬間、私の人生が始まる』

そんな予感が…… した… 。

不満だらけの人生だった…… 。

幼い頃から未来の可能性を潰されてきた…… 。

この先に幸せが有るか、解らない……… 。

けど、私達は重厚な扉を背に歩き始めた。

握った幼い彼女の手が、暖かったのを覚えている。



 二人の神官が先頭を勤め、手を繋ぐ二人の幼女の脇役は、巫女が固めている。

背後には銀色の聖騎士が備えられてる集団は、鏡のように磨かれた大理石の廊下を静謐に進んでいた。

(が)


 最初は、大人しくしていたんだよ。だけどね、どうにも、精神が身体に引かれてしまうんだよ。

私達は、大きなロープが面白く成ってきた。だって大人用のロープだよ。

転んでしまったりしたら2人共、面白く成って、わざと転んでロープの中を転がって遊び始めてしまった。

 その時、何か暖かい感情が流れ混んできた。
植物が母なる大地から清き命の糧の清水を吸い上げる時、このような気持ちになるのかな?

サイラス・フォン・キャスル。優しい大地の焦げ茶色の髪、銀色の瞳、日に焼けた肌の軍人。

彼に、背後から抱き上げられていた。


水色の髪の幼女が「チャラ男軍人!」と叫んでいたのは、御愛嬌かな。





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