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poison

6 隠し通路隊

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 アルバニアが茶会で呑気に菓子を食べてる頃のでき事。


そう、ここは城の隠し通路。


「うっ・・・・気持ち悪い」
隊長、大丈夫ですか?

「・・・・」

俺は、何であんなに飲んだんだ?

隊長は昨夜のでき事を考える。
隠し通路の探索の後、軽く飲んで帰ろうと思ったのは覚えている。


「あの、貴殿方はどなたですか?」

隊長は、恐る恐る聞いてみる。
どう見ても、見覚えがない男達なのだ。

「やだな!隊長、皆、貴方の部下ですよ」

隊長は、不気味さを覚えながら付いて行く。
だって、ここはまだ探索が終わって無いエリアだからだ。
はっきり言うと一人で帰れない。

「隊長、知ってますか?ここは昔、死体が転がっていたんです」

「えっ」

「さあ、いきますよ」


 男達は、スタスタ進んで行く。おまけに、隊長である自分に伺いもしないで別れ道で別れたりしているのだ。

でも、不満なんか言えない遭難者になりたく無いから。

隊長は、正真正銘の小心者だ。

少し歩くと、回転扉に隠されている宝があったかも?知れない部屋に着いた。


このエリアは、探索が終わっていたため隊長はチョッピリ安心した。

「別のルートがあったのか」

「ええ、帰りは一人ですから、生きて帰って下さい」

「えっ!」

隊長が後ろを振り向くと誰もいないのだ。
同時に、隠し部屋の石壁がクロスするように飛び出してくる。

小心者でも体力の有る隊長は、逃げるのが結構得意だ。


隊長は、原型を止めなくなった部屋を飛び出してひたすら走った。

背後の通路は崩落を始めているのだから、当たり前だ。




 「いやー、オッサンピクピクして可愛かったな」

「なに、オッサン萌えですか」

偽物隊員達は衛兵に姿を変え、別のルートから地上を目指している。

そう、後宮に出口が有るルートだ。

「おい!色煙灯は持っているな」

「勿論!」

「匂い玉は!」

「勿論!」

「今夜も飲みに行くか!!」

「勿論!」「オッサン萌え!」「勿論!」

偽、衛兵になった者たちは元気良く地上を目指すのだ。

「いやー、入り口を制圧されたから、どうなるかと思ったけど楽しかったな!」


ちなみに、隊長は危機一髪で隠し通路から出る事ができた。





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