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エルフ族の影

女王との戦い①

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「ふん。兵を隠しておったか!しかしだかが数人で我らエルフの精鋭と戦えると思っておるのか?その女は人族にしては強いが、私と数人の精鋭がいれば封じることはできる。勇者は魔王と戦っているからの。助力は期待できんぞ。大人しく死ぬがいい!」

おうおう。
アキーエさんを封じるとか大きくでたな。

それに他の仲間もアキーエさんと同じくらい強いんだがな。

後方で爆発音が聞こえる。
ラケッツさんの鎧の音かな‥?
どちらかというと、向こうの方が少し心配だ。

「ガッツォさん。悪いが正人たちのフォローを頼む。キリーエも魔王の方に回ってくれ。俺とアキーエたちで女王を止める。」

「おう。」

「わかったで。」

キリーエとガッツォさん、それにモブキャとラタチも勇者のフォローに向かう。

「ほっほっほ。たかが5人でどうするつもり?おや?もう1人いるのね?」

女王が俺たちの後ろにいるエルフに目を向ける。

「女王‥‥いや、姉上!何故こんな真似をするのだ!?魔族と同盟を結ぶことすら禁忌だったと言うのに‥それに人族を殲滅すると言っているそうだが本当なのか?我らエルフが優れている事を証明するために‥他の種族を導くために戦うのではないのか?」

段ボールが女王に声をかける。
女王は段ボールを見て落胆したようにため息をつく。

「ダンボール‥まだそんな事を言っているの?我らエルフが優秀なのはわかっている事。しかしお前には言っていなかったが『あのお方』は我らエルフよりも優れており、この世界の神となるべきお方です。そのお方が魔王と勇者という世界を巻き込んで
破滅に導くシステムを壊す必要があると言っているのです。それに従うのが我らエルフ国の使命。お前も人族を導くなどくだらない事を言っていないで、私の手伝いをしなさい。」

女王は恍惚とした表情で段ボールに話しかけている。

どこかで見た事ある顔だ。

『あのお方』に心酔している奴の表情‥

ガルヘアやサントバルと同じ顔をしている。

「お前‥ガルヘアやサントバルと同じ『あのお方』を崇める奴なんだな。」

俺がガルヘアとサントバルの名前を告げると、女王の表情が変わる。

「ほう。お前が何故あやつらの名前を知っている?2人が倒されたとは聞いたが、誰が倒したとは聞いておらんかった。もしやお前とその女がそうなのか?面白い‥あやつらが倒せなかったお前達を倒す事で、さらに『あのお方』の寵愛を受ける事ができるやもしれん。その生命貰い受けるとしよう。」

「姉上!」

段ボールは女王に向かって手を伸ばす。

それを石ころでも見るような目で見る女王。

「もういい、ダンボール。お前と話をする気はない。そいつらと一緒に死ぬがいい。」

「あ、姉上!」

「『風の上位精霊よ、荒れ狂う刃となり世界を斬り裂け』!」

女王の前に顕現した風の上位精霊がその力を持って竜巻を作り出す。

竜巻に巻き込まれた瓦礫や木々が細かく斬り刻まれる。

「段ボール下がれ!」

俺はエンチャント:穿つ者を発現し、魔力を練る。

これだけの竜巻を俺の魔法で防げるか?

アキーエの魔法で竜巻ごとぶっ飛ばすって手もあるだろうが‥

「どっせーい!」

空中から大きな戦斧が竜巻目掛けて飛来する。

風を纏った戦斧により竜巻が大きく揺らぐ。

しかし揺らぎはしたものの、また竜巻として形を取り戻‥

「おりゃおりゃおりゃ!」

空中から無数の戦斧が降り注ぐ。

無数の戦斧に攻撃された竜巻は次第にその威力を弱め、やがて消え去った。

「な、なんだと!」

女王が驚愕の表情をしている。

「まだまだこんな物では物足りないですぞ!もっともっとかかってくるがいい!」

おお、さすがアレカンドロさん。

いつの間にやらスキルを使って空中待機してましたか。

今まであまり戦えなかった鬱憤を晴らすかのように活躍してますね。

「え、ええい!何をしている!こやつらをすぐに仕留めるのだ!」

「「はっ!」」

エルフの兵が精霊を纏って向かってくる。

「う~ん‥精霊さんが無理やり酷使されてるですぅ。可哀想ですぅ。精霊さんたちを解放するですぅ!『召喚霊装:ノーム』ですぅ!」

ミミウがノームたちを召喚する。

もう数えるのすら億劫になるほどのノームがミミウの装備に入っていく。

ミミウの身体は岩や土でできた鎧のような‥

いや、鎧どころか巨大ゴーレムを形取っていく。

「いくですよぉ!」

ミミウの腕の一振りで数人のエルフたちが防御も虚しく飛ばされていく。

えっと‥

ミミウさんも強すぎです‥
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