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エルフ族の影
女王の話
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「なっ!」
俺や正人たちではなく、魔王本人が驚きの声を上げた。
「おや?魔王様の目的は世界の破滅なのでしょう?そうであれば、人族の殲滅はその過程で行われる事。問題ないのではありませんか?」
「ばかを言え。我の望みは勇者を倒して、魔族が世界を制し魔族が住みやすい世界を作るのが目的だ。スキル【魔王】の衝動も勇者を倒せば御する事ができる。それに勇者を倒し、人族を追い詰めればまた勇者が現れる。そうなってしまえば目的の達成もままならんであろうが。」
確かに。
魔王が勇者に勝ったなどという伝承はない。
もしそうなったとしても魔王の言う通り、次の勇者が現れない確証はない。
いや、世界を壊そうとすればそれを防ぐ自己防衛のために、世界がより強い勇者が召喚する可能性だってある。
魔王と勇者の関係を考えればあり得る事だ。
「確かにそうかもしれません。ですが‥もし勇者を倒さなければどうなるでしょう?」
「勇者を‥?そんな事はできるはずがなかろう。勇者を無力化して幽閉でもしろというのか?」
そんな事はできないだろう。
勇者は対魔族、対魔王に特化したスキルだ。
おそらくだが、追い詰めれば追い詰めるほど強くなっていく。
そうなれば、勇者を無力化するという行為自体が出来なくなってくる。
「いえ、そんなに難しく考えなくて大丈夫ですよ、魔王様。勇者様と戦わなければいいのですから。」
は?
どういうつもりだ?
勇者と戦わないなんてできるのか?
「魔王様。勇者様が何故現れるのかご存知ですか?」
「勇者が出現する理由だと?そんなものは知らん。魔物が強くなったからか、人族が生活する上で脅威となるものが現れたかなどの理由だろう。それがどうした?」
「魔王様。人族の伝承では、勇者は魔王が現れた時に出現するとされています。ですが、この伝承は間違いですよね。魔王様は突然スキル【魔王】が発生したはずです。これは先に勇者が出現した事を表します。」
「そうとは限らぬだろう。我にスキル【魔王】が発生したために、人族にスキル【勇者】が発生した可能性もあるはずだ。勇者が先に出現したなどわかるはずがなかろう。」
「いえ、それがわかるんです。何故なら勇者は発生したのではなく、他の世界から連れて来られたのですから。」
「なんだと!?」
^_^
異世界人の召喚‥
神聖国が犯してきた罪だ。
しかし何故エルフ国の女王がその事を知っている?
それに何故それが戦わない理由になるんだ?
「勇者様。貴方達がこの世界に召喚されて無理矢理魔王様を倒せと言われているのは聞き及んでいます。そして貴方達が帰るためには神聖国の言う事を聞くしかないと言う事も。」
女王は正人を見つめる。
「はぁ。そうだったっすね。」
「それについてはお伝えしたい事があります。残酷な告知なので覚悟して聞いてください。」
女王は正人たち4人を順に見る。
そしてその重くなった口を開く‥
「神聖国には貴方達勇者を元の世界に戻す力はありません。それどころか魔王様を倒した後には口封じのために、貴方達を殺すつもりです‥神聖国はタルタル神聖国などと名前を変えましたが、その本質は変わらないはずです。貴方達をいいように利用して必要なくなったら消す。そしてまた勇者が必要になったら異世界から別の勇者を呼び出す、そんな腐敗した国に従う必要がありますか?この話を聞いた後でも神聖国の駒として働くつもりですか?私達は貴方達を元の世界に戻す力はありません。しかし私共の協力者の中にはスキルを得る事ができる者がいます。もしかしたら元の世界に戻す事ができるかもしれませんし、今から何不自由なく暮らすお手伝いをする事はできます。」
「なにっ!タルタル‥タルタル神聖国だとっ!?」
おい魔王‥
今はそれは置いておけ。
てかお前知らなかったんかい‥
「どうですか?ショックな話ではあったと思います。ですが私達は貴方達と共に歩みましょう。しかしそのためには人族を消してしまう必要があります。その手伝いをして欲しいとは言いません。しかしその覚悟を示すために、勇者様たちと一緒にここまで来た神聖国の従者を消すお手伝いはしてもらぃす。」
女王は俺とアキーエを見る。
なるほど。
女王の認識としては、勇者と共にいる俺たちは神聖国の息がかかった者たちだと思ってるわけか‥
信じていたものを悪と説き、ショックを受け正常な判断ができない時に裏切れないように手を汚させる‥
女王というよりも詐欺師だな。
だが残念ながら大きな勘違いをしているぞ。
「えっ!?マルコイさんと戦えって?何その無理ゲー。そんな無理ゲー選ぶくらいなら意地でも魔王と戦うっちゅーの!」
だそうだ。
俺や正人たちではなく、魔王本人が驚きの声を上げた。
「おや?魔王様の目的は世界の破滅なのでしょう?そうであれば、人族の殲滅はその過程で行われる事。問題ないのではありませんか?」
「ばかを言え。我の望みは勇者を倒して、魔族が世界を制し魔族が住みやすい世界を作るのが目的だ。スキル【魔王】の衝動も勇者を倒せば御する事ができる。それに勇者を倒し、人族を追い詰めればまた勇者が現れる。そうなってしまえば目的の達成もままならんであろうが。」
確かに。
魔王が勇者に勝ったなどという伝承はない。
もしそうなったとしても魔王の言う通り、次の勇者が現れない確証はない。
いや、世界を壊そうとすればそれを防ぐ自己防衛のために、世界がより強い勇者が召喚する可能性だってある。
魔王と勇者の関係を考えればあり得る事だ。
「確かにそうかもしれません。ですが‥もし勇者を倒さなければどうなるでしょう?」
「勇者を‥?そんな事はできるはずがなかろう。勇者を無力化して幽閉でもしろというのか?」
そんな事はできないだろう。
勇者は対魔族、対魔王に特化したスキルだ。
おそらくだが、追い詰めれば追い詰めるほど強くなっていく。
そうなれば、勇者を無力化するという行為自体が出来なくなってくる。
「いえ、そんなに難しく考えなくて大丈夫ですよ、魔王様。勇者様と戦わなければいいのですから。」
は?
どういうつもりだ?
勇者と戦わないなんてできるのか?
「魔王様。勇者様が何故現れるのかご存知ですか?」
「勇者が出現する理由だと?そんなものは知らん。魔物が強くなったからか、人族が生活する上で脅威となるものが現れたかなどの理由だろう。それがどうした?」
「魔王様。人族の伝承では、勇者は魔王が現れた時に出現するとされています。ですが、この伝承は間違いですよね。魔王様は突然スキル【魔王】が発生したはずです。これは先に勇者が出現した事を表します。」
「そうとは限らぬだろう。我にスキル【魔王】が発生したために、人族にスキル【勇者】が発生した可能性もあるはずだ。勇者が先に出現したなどわかるはずがなかろう。」
「いえ、それがわかるんです。何故なら勇者は発生したのではなく、他の世界から連れて来られたのですから。」
「なんだと!?」
^_^
異世界人の召喚‥
神聖国が犯してきた罪だ。
しかし何故エルフ国の女王がその事を知っている?
それに何故それが戦わない理由になるんだ?
「勇者様。貴方達がこの世界に召喚されて無理矢理魔王様を倒せと言われているのは聞き及んでいます。そして貴方達が帰るためには神聖国の言う事を聞くしかないと言う事も。」
女王は正人を見つめる。
「はぁ。そうだったっすね。」
「それについてはお伝えしたい事があります。残酷な告知なので覚悟して聞いてください。」
女王は正人たち4人を順に見る。
そしてその重くなった口を開く‥
「神聖国には貴方達勇者を元の世界に戻す力はありません。それどころか魔王様を倒した後には口封じのために、貴方達を殺すつもりです‥神聖国はタルタル神聖国などと名前を変えましたが、その本質は変わらないはずです。貴方達をいいように利用して必要なくなったら消す。そしてまた勇者が必要になったら異世界から別の勇者を呼び出す、そんな腐敗した国に従う必要がありますか?この話を聞いた後でも神聖国の駒として働くつもりですか?私達は貴方達を元の世界に戻す力はありません。しかし私共の協力者の中にはスキルを得る事ができる者がいます。もしかしたら元の世界に戻す事ができるかもしれませんし、今から何不自由なく暮らすお手伝いをする事はできます。」
「なにっ!タルタル‥タルタル神聖国だとっ!?」
おい魔王‥
今はそれは置いておけ。
てかお前知らなかったんかい‥
「どうですか?ショックな話ではあったと思います。ですが私達は貴方達と共に歩みましょう。しかしそのためには人族を消してしまう必要があります。その手伝いをして欲しいとは言いません。しかしその覚悟を示すために、勇者様たちと一緒にここまで来た神聖国の従者を消すお手伝いはしてもらぃす。」
女王は俺とアキーエを見る。
なるほど。
女王の認識としては、勇者と共にいる俺たちは神聖国の息がかかった者たちだと思ってるわけか‥
信じていたものを悪と説き、ショックを受け正常な判断ができない時に裏切れないように手を汚させる‥
女王というよりも詐欺師だな。
だが残念ながら大きな勘違いをしているぞ。
「えっ!?マルコイさんと戦えって?何その無理ゲー。そんな無理ゲー選ぶくらいなら意地でも魔王と戦うっちゅーの!」
だそうだ。
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