924 / 953
戦いの準備
エルフとの戦い⑨
しおりを挟む
段ボールは派手に転がって動きを止める。
そのまま起き上がらない段ボール。
「むう!ま、まさかこれで終わりですか!?まだ何もしておりませんぞ!マルコイ殿だけ楽しんでずるいですぞ!」
ちょっと怪我しててしんどかったからアレカンドロの助太刀はありがたかったけど、別に楽しんでなかったからね。
あとトドメ刺したのもアレカンドロだから‥
「ぐっ‥‥じょお‥」
まだ意識があるのか‥
身体はボロボロのはずだが、操られている精神だけで動いている感じだな。
腕や足の骨も完全に折れている。
だが段ボールはそれでも上空に跳躍しようと脚に力を込めて立ちあがろうとしている。
スキル【加重操作】は自分にかかる重力を軽くする事もできる。
だとしたら限りなく軽くした状態で空に飛び、高い跳躍をしていたのだろう。
今の状態でも自身の重さをなくしてしまえば、跳躍する事もできるのかもしれない。
「ふっ!ぐべっ!」
負傷した身体で無理やり跳躍しようとした段ボールを止めるため、俺は段ボールの上空の空間を【時空魔法】で固めて壁を作った。
首が本来曲がらない方に曲がっていたが、多分大丈夫だろう。
エ、エルフは長生きするくらいだから、身体も丈夫だと思うし‥
「マルコイ‥この人どうするの?」
アキーエが可哀想な人を見る目で段ボールを見ながら問いかけてきた。
「知り合いの肉親みたいだから、とりあえず命までは取らないつもりだ。それよりも気になるのはおそらくこいつも洗脳されてそうって事だ。他のエルフはそんな風に思わなかったけど、こいつだけはリルと同じような感覚があった。多分他のエルフとは違い、こいつは洗脳する必要があったんだと思う。」
「他のエルフとは違う?それってどういう事?」
「こいつはエルフを至高の種族だとは思っているみたいだ。それに人族を下にも見ている。それは他のエルフと変わらないが、多分こいつだけが今の女王のやり方に違和感を持ってるんじゃないかな?」
「違和感?」
「まあ多分というか、俺がそう思っただけで後は本人に聞いてみるしかないだろうな。だから生かして洗脳を解きたかったんだ。」
俺はポーションを段ボールに振りかける。
段ボールが率いていたエルフたちは、隊長がやられた後も特に士気を下げる事なく俺たちに向かって来ている。
何人か隊を支持してるやつがいるから戦えているみたいにも見えるが、段ボールがいなくても特に問題なかったともとれるな‥
それでもリルや残念な顔をして向こうに戻っていったアレカンドロ、それに勇者たちがいる俺たち優位に戦いは進んでいる。
「すまないアキーエ。こいつの洗脳が解けるかやってみるから、周りを任せていいか?」
「わかったわ。さっきみたいに精霊を纏うエルフもいないみたいだから大丈夫よ。」
「助かる。」
俺は段ボールに向き直り、顔を掴む。
「さて解けてくれよ。」
俺はエンチャント:勇敢なる者を発動して掌に光属性の魔力を集める。
「くらえっ!」
「じょお‥‥おぼぼぼぼぼぼぼッ!」
段ボールの手が俺の手を払おうと掴む。
俺は振り払われないように手に力を込める。
ミシミシといった音が聞こえたが、気にしない気にしない。
しばらく光属性の魔力を流して手を離す。
段ボールの身体はピクピクとしていたが、やがて身体が力を取り戻し起きあがろうとする。
どうだ?
「くっ‥お、俺は‥がっ!じ、じょおうさま‥」
くそ‥
リルの洗脳を解いた時よりも光属性の威力は高くなっているはずなのだが‥
やはり洗脳のレベルが上がっているのだろうか‥?
「どうマルコイ?『炎球陣』!」
アキーエが周りのエルフをぶっ飛ばしながら心配そうに声をかけてくる。
おお‥
エルフがドミノ倒しのように転がっていく‥
「以前より洗脳が強くなっているみたいだ。俺の光属性じゃ洗脳を解けきれない。仕方ないがもう少し試してみて、無理なら諦めるしかなさそうだ‥」
「光属性の力を増やせばいいの?だったら本物の勇者の人たちに頼んでみたらいいんじゃない?」
ん?
あ、なるほど!
そういえばここには光属性の本家がいるんだった!
「正人!すまないがちょっとこっちに来てくれないか?」
俺は正人たちがいる方に声を上げる。
「どうしたんマルコイさん?そっち行くっすわ。」
正人が俺の声に反応してこっちに向かって来てくれた。
すごく近くにいるような気がするんだけど‥
あ、頭がデカいだけか。
近寄ってくると頭の異様さがわかる。
木々も挟まってるけど、それ以外に人の足のような物も見えるんだけど‥
あの頭って、それだけで武器になってそうだな。
でも挟まった物を取り出すのは至難の技だし、頭の中でゴソゴソされるのは大変そうだ‥
「マルコイさんちっす。どうしたっすか?」
「いや、こいつが洗脳されてるみたいだから、どうにかして解いてやりたいんだ。それで以前頭に光属性の魔力を流したら元に戻ったんだ。それで今回もそうしたいんだが、俺の魔力だけじゃ無理みたいにだから、正人も協力してもらっていいか?」
「わかったっす。でも頭に直接魔力流すとか、やっぱマルコイさんパネェっすね。」
あり?
パねぇかな‥?
そのまま起き上がらない段ボール。
「むう!ま、まさかこれで終わりですか!?まだ何もしておりませんぞ!マルコイ殿だけ楽しんでずるいですぞ!」
ちょっと怪我しててしんどかったからアレカンドロの助太刀はありがたかったけど、別に楽しんでなかったからね。
あとトドメ刺したのもアレカンドロだから‥
「ぐっ‥‥じょお‥」
まだ意識があるのか‥
身体はボロボロのはずだが、操られている精神だけで動いている感じだな。
腕や足の骨も完全に折れている。
だが段ボールはそれでも上空に跳躍しようと脚に力を込めて立ちあがろうとしている。
スキル【加重操作】は自分にかかる重力を軽くする事もできる。
だとしたら限りなく軽くした状態で空に飛び、高い跳躍をしていたのだろう。
今の状態でも自身の重さをなくしてしまえば、跳躍する事もできるのかもしれない。
「ふっ!ぐべっ!」
負傷した身体で無理やり跳躍しようとした段ボールを止めるため、俺は段ボールの上空の空間を【時空魔法】で固めて壁を作った。
首が本来曲がらない方に曲がっていたが、多分大丈夫だろう。
エ、エルフは長生きするくらいだから、身体も丈夫だと思うし‥
「マルコイ‥この人どうするの?」
アキーエが可哀想な人を見る目で段ボールを見ながら問いかけてきた。
「知り合いの肉親みたいだから、とりあえず命までは取らないつもりだ。それよりも気になるのはおそらくこいつも洗脳されてそうって事だ。他のエルフはそんな風に思わなかったけど、こいつだけはリルと同じような感覚があった。多分他のエルフとは違い、こいつは洗脳する必要があったんだと思う。」
「他のエルフとは違う?それってどういう事?」
「こいつはエルフを至高の種族だとは思っているみたいだ。それに人族を下にも見ている。それは他のエルフと変わらないが、多分こいつだけが今の女王のやり方に違和感を持ってるんじゃないかな?」
「違和感?」
「まあ多分というか、俺がそう思っただけで後は本人に聞いてみるしかないだろうな。だから生かして洗脳を解きたかったんだ。」
俺はポーションを段ボールに振りかける。
段ボールが率いていたエルフたちは、隊長がやられた後も特に士気を下げる事なく俺たちに向かって来ている。
何人か隊を支持してるやつがいるから戦えているみたいにも見えるが、段ボールがいなくても特に問題なかったともとれるな‥
それでもリルや残念な顔をして向こうに戻っていったアレカンドロ、それに勇者たちがいる俺たち優位に戦いは進んでいる。
「すまないアキーエ。こいつの洗脳が解けるかやってみるから、周りを任せていいか?」
「わかったわ。さっきみたいに精霊を纏うエルフもいないみたいだから大丈夫よ。」
「助かる。」
俺は段ボールに向き直り、顔を掴む。
「さて解けてくれよ。」
俺はエンチャント:勇敢なる者を発動して掌に光属性の魔力を集める。
「くらえっ!」
「じょお‥‥おぼぼぼぼぼぼぼッ!」
段ボールの手が俺の手を払おうと掴む。
俺は振り払われないように手に力を込める。
ミシミシといった音が聞こえたが、気にしない気にしない。
しばらく光属性の魔力を流して手を離す。
段ボールの身体はピクピクとしていたが、やがて身体が力を取り戻し起きあがろうとする。
どうだ?
「くっ‥お、俺は‥がっ!じ、じょおうさま‥」
くそ‥
リルの洗脳を解いた時よりも光属性の威力は高くなっているはずなのだが‥
やはり洗脳のレベルが上がっているのだろうか‥?
「どうマルコイ?『炎球陣』!」
アキーエが周りのエルフをぶっ飛ばしながら心配そうに声をかけてくる。
おお‥
エルフがドミノ倒しのように転がっていく‥
「以前より洗脳が強くなっているみたいだ。俺の光属性じゃ洗脳を解けきれない。仕方ないがもう少し試してみて、無理なら諦めるしかなさそうだ‥」
「光属性の力を増やせばいいの?だったら本物の勇者の人たちに頼んでみたらいいんじゃない?」
ん?
あ、なるほど!
そういえばここには光属性の本家がいるんだった!
「正人!すまないがちょっとこっちに来てくれないか?」
俺は正人たちがいる方に声を上げる。
「どうしたんマルコイさん?そっち行くっすわ。」
正人が俺の声に反応してこっちに向かって来てくれた。
すごく近くにいるような気がするんだけど‥
あ、頭がデカいだけか。
近寄ってくると頭の異様さがわかる。
木々も挟まってるけど、それ以外に人の足のような物も見えるんだけど‥
あの頭って、それだけで武器になってそうだな。
でも挟まった物を取り出すのは至難の技だし、頭の中でゴソゴソされるのは大変そうだ‥
「マルコイさんちっす。どうしたっすか?」
「いや、こいつが洗脳されてるみたいだから、どうにかして解いてやりたいんだ。それで以前頭に光属性の魔力を流したら元に戻ったんだ。それで今回もそうしたいんだが、俺の魔力だけじゃ無理みたいにだから、正人も協力してもらっていいか?」
「わかったっす。でも頭に直接魔力流すとか、やっぱマルコイさんパネェっすね。」
あり?
パねぇかな‥?
10
お気に入りに追加
557
あなたにおすすめの小説
旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉
Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」
華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。
彼女の名はサブリーナ。
エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。
そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。
然もである。
公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。
一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。
趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。
そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。
「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。
ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。
拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
全校転移!異能で異世界を巡る!?
小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。
目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。
周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。
取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。
「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」
取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。
そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる