上 下
820 / 953
愛別離苦

戦いの跡

しおりを挟む
うん。
ダリックは倒せたが、死にかけた。

ダリックのせいではなく、自分の蒔いた木偶爆弾のせいだが‥

魔力に余裕があったから、エンチャント:護る者を使って防御膜に助けてもらった。

あれがなければこんがりなっていただろう‥

まあ爆発の衝撃は防いだけど、炎で頭はこんがりアフロになったけど‥

爆発が収まったところで、ダリックがいた中心部を見に行く。



爆発前に蠢いていた肉塊は見当たらない。
とりあえず全てを焼き尽くす事ができたようだ。

魔族とは違い、光属性の攻撃以外不死というわけではなさそうだな。
もしこれで死んでいないのであれば、ギルドを襲った肉塊も心配になるところだった。

まあ多少は可哀想とは思うが、自分で選んだ道だ。
しょうがないだろう。

俺はダリックが死んだのを確認してギルドに戻ろうとしたが、ふと目に入った物があった。

嫌な予感がしたが、確認しないわけにはいかない。

俺は恐る恐るその場所に近寄った。


自分の目に入った物が信じられなかった。

俺はいったい何のために戦っていたのだ‥

思わず俺は絶叫した‥

「自動二輪車ー!」

自動二輪車はダリックに潰された後、俺が復活させるのを待っていたはずだ‥

それが‥
それがこんな黒焦げになるなんて‥

あまりに高温だったのだろう。
フレームなんかも原型を留めず、辛うじて自動二輪車だったものとわかる程度になってしまっていた。

これではスキル【創造】でも修復する事は難しく、新しく創り出すしかないだろう‥

くそっ!
許さないぞヨエクめ!

俺は頭のアフロと、自動二輪車の残骸にヨエクを討ち取ることを誓うのだった‥





かなりの爆音だったため、人が集まってくる気配がしてきた。

ここでヨエク兵と戦うのはあまり好ましくないので、一旦ギルドに戻る事にした。

魔力がすっからかんだからね。

リルは恐らく先に戻っているのだろう。
アイツ振り返りもせず逃げやがったからな‥

自動二輪車もないので、自分の足で歩いて帰ってきた。

やっぱり許さないからなヨエクめ‥

ちょうどギルド前についた時に、反対の方から歩いてくる人影が見えた。

どうやらアレカンドロのようだが、何かを引き摺っている。

アレカンドロが俺に気づいて小走りで走り寄ってくる。

引き摺っているものは、その途中で岩に当たったりしてバウンドしている‥

「おお!マルコイ殿!そっちは強い相手はいましたか?自分もそちらに行きたかったのですが、今回はリル殿が行かれるということだったので、自分は諦めて模擬戦をしておりました。」

「そ、そうか。ところでその手に持ってるものは何だ?」

「おお!そうでした、マルコイ殿の言いつけを守って偉い奴と模擬戦をしたのですが、念のために確認で持ってきました!」

そう言って引き摺っていた物をポイと投げるアレカンドロ。

おおう‥

なかなかボコボコにされているなぁ。
それでも命に関わるような傷はないみたいだ。
ただ目が死んでて息をしてるだけの生き物みたいになってるけど‥

「模擬戦して、傷を負ったらポーションで治してとしてたんですが途中で反応が悪くなりまして。」

おお‥
そ、それはお気の毒に‥
体力お化けのアレカンドロが気の済むまで模擬戦するとかもう死刑じゃないか‥

「ポーションはどうしたんだ?」

「あ、キリーエ殿が念のためとギルドに置いていたやつを使いました!」

なんて事だ‥

ボコボコにされて死にかけた後ポーションで治される。
しかもポーションをかけられるまでにしばらく時間がかかるなんて‥
その間のヨエク兵の精神状態を考えるとちょっとだけ可哀想になってくる‥

「この偉い奴はどうしますか?」

「ん?ヨエクの所の鎧きてるし、偉そうだったんだろ?だったら問題ないから、その辺に捨てときなさい。」

「わかりました!」


同情はするけど、それとこれは別問題です。
頑張って自分を取り戻してください。

アレカンドロがヨエク兵をポイと捨てるのを見届けてギルドの中に戻る事にした。







----------------------------------------------------------------------
近況にも書いてますが、ブログ始めました。
遊びに来ていただけたら嬉しいです!修正している本編や、書いている時に考えてた事などを載せてます!
https://ogicon3777.com
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

全校転移!異能で異世界を巡る!?

小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。 目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。 周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。 取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。 「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」 取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。 そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

処理中です...