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愛別離苦
ヨエクの目的
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「マルコイ様‥感謝いたします。イェルン様にお力をお貸しください。」
クィリーノさんが短剣を懐に収めながらそう言ってきた。
確かこの人は城の執事さんだったような気がする。
しかし執事なのに元Aランク冒険者ってのは凄いな。
動きもかなり速かった。
並の暗殺者なら撃退できるだろうな。
だが、ヨエクがイェルンさんを捕らえるために正面から来るのであれば、かなりの人数を連れてくるだろう。
そうなればクィリーノさんでも多勢に無勢になってただろうな。
しかしそれは俺にも言える事だ。
こっちは3人、外にいる仲間を入れても7人だ。
流石にこの人数で国を取り返すのも難しいとは思うが‥
いっそのこと‥
「イェルンさん。このままヨエクの所に行って、ヨエクぶっ飛ばす案はありですか?」
これなら大人数を相手にしなくても済むんだけど‥
「それは‥‥私としてもそれができるのであれば‥」
「なるほど!それじゃあちょっと行ってきますね!」
「あっ!ちょ、ちょっと待ってくださいマルコイさん!」
ん?
だいぶモヤモヤも溜まってるし、さっさとヨエクぶっ飛ばしてスッキリしたいのだが‥
「すみませんマルコイさん。私もそうしたいのは山々なんですが、王がいなければそうもいかないんです‥」
「そうなん‥ですか‥‥」
残念だ‥
まだもう少し我慢が必要なようだ‥
「一体なぜなんですか?」
「それは‥ヨエク将軍は私と同じ侯爵になります。私とヨエク将軍は将軍と宰相と、この国では役職としても同等になります。」
「それだったら、イェルンさんが反乱を起こしたヨエク討伐の意思を示せば問題ないじゃないですか?」
「そうですね。本来であれば‥ですが。ヨエク将軍は軍だけではなく、主要貴族まで取り込んでいました。私に気づかれる前にあそこまで取り込んでいるとは思いませんでした。おそらく短期間で動いたのでしょう。それこそここ数年で‥それに気づけなかったのは完全な私の落ち度です。私についてくれたのは親の代から交流のある数家のみ。それでも王がいればよかったのですが、王と私が離れている時を狙ってヨエク将軍が謀反起こしたのです。」
確か王様が言っていたな、数年前からヨエクが変わったと。
おそらくそこから準備していたんじゃないだろうか‥?
しかし気になる事がある‥
「気を悪くしたらすみません。なぜヨエクは王様やイェルンさんの命をすぐに奪わなかったのですか?ヨエクにとって、王様やイェルンさんはすぐでも排除したいのではないですか?」
俺だったらそうする。
最悪イェルンさんは今後トールルズを治めるためには、こじつけでもいいので討つ理由が必要になるかもしれない。
だが自分が王となるために前王を討つのは必須だろ。
そのためには王を討つための準備をして、必ず目的を果たせる状況で動くものじゃないか?
それなのにイェルンさんだけではなく、王様も討てずに探している状態だ。
まあヨエクがただの間抜けで、そうなっているってのも納得できる話ではあるが、それだけではなさそうな気がする。
「そうでしょうね。ですが、彼には私と王をすぐに討つ事はできないのです。彼の目的はおそらく『ネマニの槍』でしょう。」
「ネマニの槍?」
「ええ。私達トールルズの総力を上げて作成した魔道具です。プリカだけではなく、トールルズにいる魔道具士や錬金術士、その他作成に必要なスキルを持っている者を集めて作ったトールルズの国宝になります。」
ほ、ほほう!
なんぞなんぞ!
「そ、そんな凄い物を作ってたんですね!一体どんな魔道具なんですかっ!」
「え、えっとマルコイさん‥お、落ち着いてください‥」
おっといかんいかん。
魔道具と聞いてつい興奮してしまった。
しかしドワーフの国が総力を結集した作った魔道具とか、どれだけ凄いのを作ったというのだ!
それはヨエクじゃなくても欲しくなるのは仕方ないかもしれない!
あ、ヨエクにはやらないけどね。
-------------------------------------------
近況にも書いてますが、ブログ始めました。
遊びに来ていただけたら嬉しいです!修正している本編や、書いている時に考えてた事などを載せてます!
https://ogicon3777.com
クィリーノさんが短剣を懐に収めながらそう言ってきた。
確かこの人は城の執事さんだったような気がする。
しかし執事なのに元Aランク冒険者ってのは凄いな。
動きもかなり速かった。
並の暗殺者なら撃退できるだろうな。
だが、ヨエクがイェルンさんを捕らえるために正面から来るのであれば、かなりの人数を連れてくるだろう。
そうなればクィリーノさんでも多勢に無勢になってただろうな。
しかしそれは俺にも言える事だ。
こっちは3人、外にいる仲間を入れても7人だ。
流石にこの人数で国を取り返すのも難しいとは思うが‥
いっそのこと‥
「イェルンさん。このままヨエクの所に行って、ヨエクぶっ飛ばす案はありですか?」
これなら大人数を相手にしなくても済むんだけど‥
「それは‥‥私としてもそれができるのであれば‥」
「なるほど!それじゃあちょっと行ってきますね!」
「あっ!ちょ、ちょっと待ってくださいマルコイさん!」
ん?
だいぶモヤモヤも溜まってるし、さっさとヨエクぶっ飛ばしてスッキリしたいのだが‥
「すみませんマルコイさん。私もそうしたいのは山々なんですが、王がいなければそうもいかないんです‥」
「そうなん‥ですか‥‥」
残念だ‥
まだもう少し我慢が必要なようだ‥
「一体なぜなんですか?」
「それは‥ヨエク将軍は私と同じ侯爵になります。私とヨエク将軍は将軍と宰相と、この国では役職としても同等になります。」
「それだったら、イェルンさんが反乱を起こしたヨエク討伐の意思を示せば問題ないじゃないですか?」
「そうですね。本来であれば‥ですが。ヨエク将軍は軍だけではなく、主要貴族まで取り込んでいました。私に気づかれる前にあそこまで取り込んでいるとは思いませんでした。おそらく短期間で動いたのでしょう。それこそここ数年で‥それに気づけなかったのは完全な私の落ち度です。私についてくれたのは親の代から交流のある数家のみ。それでも王がいればよかったのですが、王と私が離れている時を狙ってヨエク将軍が謀反起こしたのです。」
確か王様が言っていたな、数年前からヨエクが変わったと。
おそらくそこから準備していたんじゃないだろうか‥?
しかし気になる事がある‥
「気を悪くしたらすみません。なぜヨエクは王様やイェルンさんの命をすぐに奪わなかったのですか?ヨエクにとって、王様やイェルンさんはすぐでも排除したいのではないですか?」
俺だったらそうする。
最悪イェルンさんは今後トールルズを治めるためには、こじつけでもいいので討つ理由が必要になるかもしれない。
だが自分が王となるために前王を討つのは必須だろ。
そのためには王を討つための準備をして、必ず目的を果たせる状況で動くものじゃないか?
それなのにイェルンさんだけではなく、王様も討てずに探している状態だ。
まあヨエクがただの間抜けで、そうなっているってのも納得できる話ではあるが、それだけではなさそうな気がする。
「そうでしょうね。ですが、彼には私と王をすぐに討つ事はできないのです。彼の目的はおそらく『ネマニの槍』でしょう。」
「ネマニの槍?」
「ええ。私達トールルズの総力を上げて作成した魔道具です。プリカだけではなく、トールルズにいる魔道具士や錬金術士、その他作成に必要なスキルを持っている者を集めて作ったトールルズの国宝になります。」
ほ、ほほう!
なんぞなんぞ!
「そ、そんな凄い物を作ってたんですね!一体どんな魔道具なんですかっ!」
「え、えっとマルコイさん‥お、落ち着いてください‥」
おっといかんいかん。
魔道具と聞いてつい興奮してしまった。
しかしドワーフの国が総力を結集した作った魔道具とか、どれだけ凄いのを作ったというのだ!
それはヨエクじゃなくても欲しくなるのは仕方ないかもしれない!
あ、ヨエクにはやらないけどね。
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