上 下
710 / 953
力戦奮闘

登城願い

しおりを挟む
「不快な思いをさせて申し訳ありませんでした。」

イェルンと呼ばれたドワーフが謝罪してくる。

ふ~ん。
どこにでもあんな奴がいるんだろうけど、あんな奴が将軍ってのは問題じゃないか?

「そうですね。はっきり言って不快でした。」

もうこの国放って置いて家に帰ろうと思うくらいは不快だった。

「た、大変申し訳ない!今回の件について、我が国の王があなた方に直接礼がしたいとの事です。」

う~む‥
城に行ったらアイツがいるよな‥
これ以上アキーエたちに不快な思いをさせたくない。
多分アキーエたちも冒険者ギルドからの依頼だろうから登城に従う必要もないし、いざとなれば獣王様に全部丸投げすればいいだろ。

俺が断ろうと思っているとアキーエが声をかけてくる。

「ごめんなさいマルコイ。勝手なお願いだけど、王様に会ってもいいかな?」

「ん?それは別に構わないけど、嫌な思いするかもしれないぞ。わざわざそんなところに行く必要もないだろ?」

「でも城壁を壊したのはわたしだし‥ちゃんと謝っておきたいから。」

そんな事気にしなくていいのに‥
嫌な思いするかもしれないのにまったく‥
そんなとこもアキーエのいいところなんだろうけど。

でもアキーエがそう言うならしょうがないな。
俺の仕事はアキーエたちが嫌な思いをしないようにいちゃもんつけてくるやつをぶっ飛ばせばいいかな。

とりあえずあのドワーフのおっさんは痛い目に遭わせてやろう。

足の小指を狙い続ける木偶人形とか作ろうかな‥




「わかった。王様に謁見させてもらう。しかし俺たちは冒険者だ。礼儀作法なんて知らないから、あまり細かい事を言われても困るぞ。」

「それは大丈夫です。我が国の王はおおらかな方なので。」

俺がイェルンと話しているとキリーエが小声で話しかけてくる。

「マルコイさん礼儀作法とか知ってるやん。何でそんな事言ったん?」

確かに俺は元貴族の息子だ。
多少の礼儀作法は知っている。

「それは何かあって暴れても冒険者だから仕方ないって事にならないかなって思ってさ。」

「なるほどね!多分無理やと思うけど、暴れた時にそう思ってもらえばええか。獣王様に迷惑かけた時も多少は印象違うやろからな。マルコイさんは暴れると思う?」

「さあどうだろうな‥?またあのドワーフのおっさんがいちゃもんつけてきたら暴れるだろうな。」

「どうやろ?多分城におると思うけどね。」

だったら暴れるだろうなぁ‥
まあその時はその時という事で。

「マルコイさん‥城行くですか?」

「ああ、ミミウ。王様が呼んでるそうなんだ。ミミウは行きたくないか?」

ミミウは少し落ち込んでいるようだ。
何でだろう、そんなに城に行きたくないのかな?

「やっぱりお肉返さないといけないですか?たくさん頑張って集めたですぅ‥」

そうだった。
城に行くなんて全然問題なかった。
ミミウはお肉さえあればいい娘だった。

「ミミウ大丈夫だ!ミミウが集めた肉は全部ミミウのものだ。一つも返す必要ないぞ。全部俺が料理してやるから安心しろ。」

「‥‥ほんとですか?」

「ああ。俺が嘘ついた事あるか?」

「ないです!わーい!やったですぅ!お肉たくさん食べれるですぅ!」

うんうん。
やっぱりミミウは元気なのが1番だ。

「マルコイさん‥」

「ん?どうしたキリーエ?」

「マルコイさん、今全部言うたよ。ミミウが今回どれだけの肉集めたか知らんやろ‥?うちの【ボックス】はお肉で埋まってるで。」

「埋まってるってどれくらい?」

「そやな‥うちのボックスはLv.1やけど、クラーケンサイズが50はおるで。」

な、な‥んだと‥

クラーケン1匹でもかなり持て余したのに、あれが50だと!?

「マルコイさんは終盤にこっちに来たから知らんやろうけど、ミミウちゃん戦い始まってからずっとお肉集めしてたさかい‥」

な、なるほど‥

てかミミウは戦いに来たんじゃなかったのね。
まさか食材集めに来てたとは‥






-------------------------------------------
近況に書いてますが、ブログ始めました。
できれば来てくれると嬉しいです(゚∀゚)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

チート生産魔法使いによる復讐譚 ~国に散々尽くしてきたのに処分されました。今後は敵対国で存分に腕を振るいます~

クロン
ファンタジー
俺は異世界の一般兵であるリーズという少年に転生した。 だが元々の身体の持ち主の心が生きていたので、俺はずっと彼の視点から世界を見続けることしかできなかった。 リーズは俺の転生特典である生産魔術【クラフター】のチートを持っていて、かつ聖人のような人間だった。 だが……その性格を逆手にとられて、同僚や上司に散々利用された。 あげく罠にはめられて精神が壊れて死んでしまった。 そして身体の所有権が俺に移る。 リーズをはめた者たちは盗んだ手柄で昇進し、そいつらのせいで帝国は暴虐非道で最低な存在となった。 よくも俺と一心同体だったリーズをやってくれたな。 お前たちがリーズを絞って得た繁栄は全部ぶっ壊してやるよ。 お前らが歯牙にもかけないような小国の配下になって、クラフターの力を存分に使わせてもらう! 味方の物資を万全にして、更にドーピングや全兵士にプレートアーマーの配布など……。 絶望的な国力差をチート生産魔術で全てを覆すのだ! そして俺を利用した奴らに復讐を遂げる!

【北の果てのキトゥルセン】 ~辺境の王子に転生したので、まったり暮らそうと思ったのに、どんどん国が大きくなっていく件について~

次元謄一
ファンタジー
タイトル変更しました→旧タイトル 「デッドエンドキングダム ~十五歳の魔剣使いは辺境から異世界統一を目指します~」 前世の記憶を持って生まれたオスカーは国王の落とし子だった。父の死によって十五歳で北の辺境王国の統治者になったオスカーは、炎を操る魔剣、現代日本の記憶、そしてなぜか生まれながらに持っていた【千里眼】の能力を駆使し、魔物の森や有翼人の国などを攻略していく。国内では水車を利用した温泉システム、再現可能な前世の料理、温室による農業、畜産業の発展、透視能力で地下鉱脈を探したりして文明改革を進めていく。 軍を使って周辺国を併合して、大臣たちと国内を豊かにし、夜はメイド達とムフフな毎日。 しかし、大陸中央では至る所で戦争が起こり、戦火は北までゆっくりと、確実に伸びてきていた。加えて感染するとグールになってしまう魔物も至る所で発生し……!? 雷を操るツンデレ娘魔人、氷を操るクール系女魔人、古代文明の殺戮機械人(女)など、可愛いけど危険な仲間と共に、戦乱の世を駆け抜ける! 登場人物が多いので結構サクサク進みます。気軽に読んで頂ければ幸いです。

RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya
ファンタジー
戦争・紛争の収まらぬ戦乱の世で 平和への夜明けを導く者は誰だ? 其々の正義が織り成す長編ファンタジー。 〜本編あらすじ〜 広く豊かな海に囲まれ、大陸に属さず 島国として永きに渡り歴史を紡いできた 独立国家《プレジア》 此の国が、世界に其の名を馳せる事となった 背景には、世界で只一国のみ、そう此の プレジアのみが執り行った政策がある。 其れは《鎖国政策》 外界との繋がりを遮断し自国を守るべく 百年も昔に制定された国家政策である。 そんな国もかつて繋がりを育んで来た 近隣国《バルモア》との戦争は回避出来ず。 百年の間戦争によって生まれた傷跡は 近年の自国内紛争を呼ぶ事態へと発展。 その紛争の中心となったのは紛れも無く 新しく掲げられた双つの旗と王家守護の 象徴ともされる一つの旗であった。 鎖国政策を打ち破り外界との繋がりを 再度育み、此の国の衰退を止めるべく 立ち上がった《独立師団革命軍》 異国との戦争で生まれた傷跡を活力に 革命軍の考えを異と唱え、自国の文化や 歴史を護ると決めた《護国師団反乱軍》 三百年の歴史を誇るケーニッヒ王家に仕え 毅然と正義を掲げ、自国最高の防衛戦力と 評され此れを迎え討つ《国王直下帝国軍》 乱立した隊旗を起点に止まらぬ紛争。 今プレジアは変革の時を期せずして迎える。 此の歴史の中で起こる大きな戦いは後に 《日の出戦争》と呼ばれるが此の物語は 此のどれにも属さず、己の運命に翻弄され 巻き込まれて行く一人の流浪人の物語ーー。 

生殺与奪のキルクレヴォ

石八
ファンタジー
 ある日、平凡な暮らしをしていた悠真はひょんなことから日頃過ごしている2-3のクラスメイトと共に異世界へ転移してしまう。同級生の皆がスペシャルスキルと言う世界に1つだけの最強スキルを持っていることが判明する中、悠真だけスキルを持たなかった。  1人だけ才能が無いことを良いことに、ある日同級生から嫌がらせ、そして暴力を受ける。そのせいで悲しむ者が現れてしまう。それが嫌だった悠真はその日の夜に脱走を試みる。そしてクラスの人気者である西園寺 蓮花と涙ながらの別れをする。  その後暗い森をさまよう中、悠真はモンスターを苦戦しつつも倒し、スペシャルスキルが開花する。そのスキルの名は《殺奪:キルクレヴォ》と言い、殺した相手のスキルを奪うというもの。最強になるため、悠真の冒険譚が今スタートする──

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。 そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは? そこで彼は思った――もっと欲しい! 欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―― ※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

世界樹を巡る旅

ゴロヒロ
ファンタジー
偶然にも事故に巻き込まれたハルトはその事故で勇者として転生をする者たちと共に異世界に向かう事になった そこで会った女神から頼まれ世界樹の迷宮を攻略する事にするのだった カクヨムでも投稿してます

わたくし、前世では世界を救った♂勇者様なのですが?

自転車和尚
ファンタジー
【タイトル】 わたくし、前世では世界を救った♂勇者様なのですが? 〜魔王を倒し世界を救った最強勇者様だったこの俺が二度目の転生で、超絶美少女貴族に生まれ変わってしまった。一体これからどうなる私のTS貴族令嬢人生!? 【あらすじ】 「どうして俺こんな美少女令嬢に生まれ変わってんの?!」 日本の平凡な男子大学生が転生し、異世界『レーヴェンティオラ』を救う運命の勇者様となったのはもう二〇年も前。 この世界を脅かす魔王との最終決戦、終始圧倒するも相打ちとなった俺は死後の世界で転生させてくれた女神様と邂逅する。 彼女は俺の偉業を讃えるとともに、神界へと至る前に女神が管理する別の異世界『マルヴァース』へと転生するように勧めてきた。 前回の反省点から生まれは貴族、勇者としての能力はそのままにというチート状態での転生を受け入れた俺だが、女神様から一つだけ聞いてなかったことがあるんだ……。 目の前の鏡に映る銀髪、エメラルドグリーンの目を持つ超絶美少女……辺境伯家令嬢「シャルロッタ・インテリペリ」が俺自身? どういうことですか女神様! 美少女転生しても勇者としての能力はそのまま、しかも美少女すぎて国中から讃えられる「辺境の翡翠姫(アルキオネ)」なんて愛称までついてしまって……ちょっとわたくし、こんなこと聞いてないんですけど? そんなシャルロッタが嘆く間も無く、成長するに従ってかけがえの無い仲間との邂逅や、実はこの世界を狙っている邪悪な存在が虎視眈々と世界征服を狙っていることに気がつき勇者としての力を発揮して敵を打ち倒していくけど……こんな化け物じみた力を貴族令嬢が見せたらまずいでしょ!? 一体どうなるの、わたくしのTSご令嬢人生!? 前世は♂勇者様だった最強貴族令嬢の伝説が、今幕を開ける。 ※本作は小説家になろう、カクヨム、アルファポリスに同時掲載を行なっております。

異世界でゆるゆる生活を満喫す 

葉月ゆな
ファンタジー
辺境伯家の三男坊。数か月前の高熱で前世は日本人だったこと、社会人でブラック企業に勤めていたことを思い出す。どうして亡くなったのかは記憶にない。ただもう前世のように働いて働いて夢も希望もなかった日々は送らない。 もふもふと魔法の世界で楽しく生きる、この生活を絶対死守するのだと誓っている。 家族に助けられ、面倒ごとは優秀な他人に任せる主人公。でも頼られるといやとはいえない。 ざまぁや成り上がりはなく、思いつくままに好きに行動する日常生活ゆるゆるファンタジーライフのご都合主義です。

処理中です...