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力戦奮闘

アキーエの防衛戦?⑤

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今倒した魔族が今回プリカを攻めた群れのトップだったみたいね。

倒したらモンスターの統率が明らかに乱れたわ。

残りのモンスターもアレカンドロが竜巻みたいに薙ぎ倒してるから特に問題なく討伐できるでしょ。

「な、なんで自分のとこには強い相手が来ぬのだぁ!」

アレカンドロ。

そんな台風みたいな所に飛び込んでくる奴なんていないわよ‥


でもこれで魔族のプリカ侵攻は防げだんじゃないかな‥

危ないところもあったけど完勝って感じよね。

あとはわたしがプリカのお偉いさんに壁を壊した事を謝れば任務完了ね。

キリーエについて来てくれるようにお願いしなきゃ‥

「ぐ‥」

その時気絶していた魔族が目を覚ました。

「くはははは!遠い血縁といえ、俺と連なるものを倒すとはな!やはり勇者、一筋縄ではいかぬようだな。」

急に魔族の雰囲気が変わった。

嫌な感じがしたので少し距離を取る。



魔族が上半身を起こす。

「ふむ。かなりダメージを受けているな‥まったく勇者とは恐ろしいものだ。種族的に大きく劣るくせに我ら魔族相手だと身の丈に合わない程の力を有する。それほどまでに我らを滅したいのか女神よ‥我らも女神が作りし者だと言うのに‥」

先程まで話していた高圧的な態度ではなく、物静かな話し方だ。

「対魔族に特化した勇者か‥世界にいる人の持つ悪意が魔王だというのに‥それを倒して解消させ、また溜まったら魔王として放出する‥それがシステムだったとしても魔王や勇者、それに巻き込まれる人の事など微塵も考えていない‥そう思わないか勇者よ?」

魔族の男はこちらを見ながらそう問いかけてきた。

「戦わなければいいだろうが、【魔王】というスキルに逆らえんのだよ。スキルが言うのだ、お前ら他種族を滅ぼせとな。」

突然豹変した男の真っ赤な目に映っているのはわたしだ。
男は真っ直ぐこちらを見ながら言葉を続ける。

「だからこそ俺は考えた。魔族が‥我らが生き残る術をな。だがまさか勇者が俺を上回る知力を持っているとは思わなかったぞ。」

魔族はプリカの街を見る。
その表情は少し悔しそうに見える‥

「まさかあれだけ目立つ形で戦争をしかけていたのに、それを罠だと気づきトールルズに来るとはな。どちらかと言えばこちらの方が本命だったが‥まあいい。トールルズを落とせなかったのは残念だが、鬱陶しい神聖国は落とす事ができた。これでお前たち勇者を最も支えて来た国が無くなったぞ。」

魔族はゆっくりと立ち上がる。

わたしが攻撃した顔は徐々に治りつつある。

少しずつ逆再生のように顔の皮膚が再生されていく‥

「後は廃墟と化した神聖国に向かうだけだが‥その前に現時点の勇者の力を確認させてもらおうか?まあ血縁者とはいえ、この身体では3割程度の力しか出せん。勝てぬだろうが、お前達の力を測るにはこの程度で十分だろう。」

魔族が魔力を練る。
それだけで空気が震える。
明らかにこれまでの魔族とはレベルが違う。

「ちょっと確認したいんだけど?」

わたしは気になることと伝えたい事があり、魔族に声をかける。

「なんだ勇者よ?」

「貴方は魔王でよかったのかしら?」

「‥‥ふは、ふはははは!そうだすまぬかったな!俺とした事が自己紹介がまだであったな。そうだ。余が魔王ジェズアルドだ。お前たち勇者とはこれから何度か相対する事になるだろうな。だがこの身体は我が血族のデュワインのものだから今度改めてお前らの前に出てくるとしよう。」

やっぱり‥
どんなカラクリかわからないけど、今目の前にいるのはさっきまでの魔族とは違い、魔王本人と思った方がよさそうね‥

まさかこんな形で対面するとは思わなかったわ。

あとは‥
このままほっとくわけにはいかないわよね‥

「それともう一つ確認と言うか報告なんだけど。」

「む?なんだ、言ってみろ。」

「わたしは勇者じゃないわよ。」

「‥‥ふは!ふはははははは!は?」
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