上 下
643 / 953
力戦奮闘

討伐依頼

しおりを挟む
「それじゃあ今の状況を説明するわ。」

わたしたち全員が中に入ったのを確認してイザベラさんは話し出した。

「ドワーフの国、トールルズで異変が起きてたのはみんな知ってるわよね。首都にいるBランク以上の冒険者には伝えていたと思うけど。」

確かトールルズの周辺でモンスターが見当たらないってやつよね。
ゴブリンまで見当たらなくなれば、流石におかしいと思う。

「そして先日その状況が急変したわ。トールルズの首都プリカが高ランクモンスターに襲撃されたわ。突然ね。」

「なっ!それでプリカは大丈夫じゃったのか!?」

ドワーフの男性が声を上げる。

この人は初めて見る人だ。

「焦らないでボヤン。心配しなくても大丈夫。貴方もわかってるでしょ、プリカが簡単に落ちないことは。」

「そ、それはわかっとる。」

「ええ。プリカはドワーフたちが技術の粋を集めた城塞都市よ。いくら高ランクモンスター達が束になってやってきても、そうそう落ちはしないわ。でも楽観視もできない。遅かれ早かれその時はくるもの。」

「なるほど。ならば我らが呼ばれたのは、その高ランクモンスターを外から討伐するわけだな。」

深い紫色の髪を、マッシュルームカットにしている人がイザベラさんの言葉の続きを言った。

この人も初めて見る顔だわ。

いや‥‥‥‥どこかで見たかしら‥?
気のせいね。


「そう。それでロッタスにいるBランク以上の冒険者を招集させてもらったの。」

「なるほどな。それについては承知した。しかしその小娘どもはなんだ?まさかこやつらがBランク以上などと言わんよな?」

ドワーフのおじさんがこっちを見ながらそう言っている。

え?

わたしたちの事じゃないわよね‥

「その大女はまだしも他は小娘どもに小僧もおる。まさかこやつらも戦場に連れて行く気か?」

あ、わたしたちの事だった。

「彼女達の実力なら問題ないわ。多分実力的にはSいや、それ以外かもね。」

「はっ!笑わせよる!その小娘共がワシより強いと言うのか?」

あ、笑われてる。

「あのね、わたした‥」

「彼女達は強い。それこそあんたよりな。俺が保証する。」

「ほうお主ピルツとか言ったな。Bランクだったか。お主如きが言うたところでのう。」

「だったら俺ならいいか。」

そう言って後ろから出てきたのは‥

「バラックスさん!」

「ようアキーエ。俺もAランクだからな。呼ばれちまったよ。今回はマルコイはいないみたいだな。まあ別にアキーエやミミウの嬢ちゃんがいれば問題ないわな。」

「ほう、バラックス。お主も認めるという事か?こんな小娘がな‥しかし自分の目で見とらんからおいそれと信じる事もできんが‥うごっ!」

「うるさい‥アキーエバカにするな‥」

リルがいきなりドワーフ頭を剣を鞘に入れたまま殴った。

「な、何をするお主!」

「うるさいヒゲ‥アキーエはつよい。よけいなおせわだ。」

「な、なんじゃと!し、しかし‥」

「わからないやつ‥」

リルはそう言うと、その場からドワーフの背後に回り込んだ。

「なっ!はやっ!ど、どこに?」

「うしろだヒゲ。」

「うおっ!なんじゃと!い、いつの間に‥」

「アキーエはいまの見えてた。お前見えない。これでわかったか?」

「ぬ、ぬぅ‥」

確かにリルは凄く速い。

目で追うのがやっとだ。

でも目で追える。
見失うほどではない。

「リルが教えてやったから、ヒゲは死なずにすんだ。よかったな。」

「ど、どう言う事じゃ?」

「リルじゃなくて、アキーエおこらせたらヒゲは燃やされてこの世にはいなかった。リルに感謝しろ。」

「そ、それほどまでに‥」

リル‥?

「そうだな。爆殺女神にちょっかい出して命があるんだ。リルちゃんに感謝するんだな。」

バラックスさんまで‥

「なっ!その娘‥いやその人が爆殺女神であったのか!そ、それは申し訳なかった。」

ドワーフのおじさんが頭を下げた。

えっと‥
わたしってどんな扱いになってるのかしら‥?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界 魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた 「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね? それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」 小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く 塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう 一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが…… ◇◇◇ 親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります (『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です) ◇◇◇ ようやく一区切りへの目処がついてきました 拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

全校転移!異能で異世界を巡る!?

小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。 目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。 周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。 取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。 「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」 取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。 そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。 了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。 テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。 それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。 やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには? 100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。 200話で完結しました。 今回はあとがきは無しです。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

処理中です...