631 / 953
力戦奮闘
ライノズ帝国
しおりを挟む
その男は悠然と壇上に上がった。
その歩幅、足を上げるタイミングなど、それら全てに自信が満ち溢れているようだ
男は眼下に映る幾千の人を見る。
男は厳かにゆっくりと声を上げる。
「我が国は長年虐げられてきた。過去栄華を誇っていた我が国がだ。特に神聖国には煮湯を飲まされ続けてきた。国宝を渡せ、第2王女を渡せなど‥だが国民を危険に晒すわけには行かず我慢を続けてきた。‥‥‥しかし!今度は同盟という方法で我が国に入り込み、国の全てを搾取しようとしている!これを許してしまうと国民すら危険に晒される事になってしまうだろう!よって我が国は‥‥神聖国に対し宣戦布告する!」
壇上で声を上げている男の後ろに10人程度の男女がいる。
体型で男女とわかるが、フードを被り顔まではわからない。
男があげている弁にさほど興味を持つ者はおらず、思い思いの様子であった。
「不安に思う者達もいるだろう。我が騎士団であれば神聖国の騎士など取るに足らん存在だ。だが思わぬ横槍があるやもしれぬ。前回の遠征時もそうであった。だが今回は宣戦布告する事で、我が国の正当性を表明して戦いを挑む!それに‥‥」
男はそこまで言った後に、後方を振り向く。
「今回は援軍を呼んである!」
男がそう言うと、後ろにいる男女が被っているフードを外す。
その顔が国民の前に晒された。
年齢や性別、体型などは思い思いだが、1つの共通点があった。
全員の眼が真っ赤に染まっている。
忌み嫌われる種族的特徴である真っ赤な眼。
その全員が魔族であった‥
人々からは悲鳴が上がる。
すでに逃げ出す者も出ている。
「静まれ!」
50代くらいの神経質そうな男から出たとは思えないほどの大きな声に、人々が動きを止める。
「案ずるな。この者達は魔族であるが、我が国に害する者達ではない。魔族の大陸にある国で、我が国と交流を望んでいる国から派遣された者達だ。知っての通り、魔族は多種族よりも遥かに優れた存在だ。だが今までの魔王のせいで他国とまともに交流すら行えない状況にある。戦力はあるが食糧や物質が不足している。我が国は彼らの国に物資を提供する代わりに最強の戦力を借り受ける事ができた!彼らがいれば神聖国など恐るるに足らん!今まで我が国を押さえつけていた国を排除して、最強の帝国を取り戻すのだ!」
すると突然国民から声が上がった。
「そりゃ凄い!魔族と共に戦えるのであれば、この国に敵う国などない!最強帝国の復活だ!」
その声を聞き周りの人達が歓声を上げる。
「確かにそうだ!ああやって皇帝の後ろに立っているって事は、我が国と共に戦うって事だろ?皇帝は魔族を従えた!強い帝国が戻ってきたんだ!」
国民から歓声が上がる。
大歓声が上がるなか、最初に声を上げた者はいつの間にか姿を消していた‥
この時、この瞬間にライノズ帝国は皇帝ムニティスの名の下、魔族を受け入れて戦う事を表明した。
俺は神聖国に転移して、『影法師』のイコルに意識を移してグルンデルさんの元に向かった。
グルンデルさんは帝国に攻められるとわかっていたのに、準備をする様子はなかった。
神の御加護が守ってくれますから。
そう言いながら帝国と戦う事を躊躇しているようだった。
確かに聖職者であるグルンデルさんは、他国と戦争する事を望まないだろう。
でも帝国はそんなグルンデルさんの思いなど一蹴して攻めてくるはずだ。
新しく生まれ変わろうと努力している国を瓦礫と化すために‥
そんな事をさせるわけにはいかない。
俺がどれくらい助力できるのかわからないけど、帝国の好きにはさせたくない。
また『アウローラ』のみんなの力を借りる事になるが、今回は俺も戦うつもりだ。
帝国もその背後にいる魔王も後悔するがいい。
我がマルコイ印の魔道具たちで全力で抗ってみせるぜ。
その魔道具の力をその目に焼き付けて、国に逃げ帰るがいい。
その歩幅、足を上げるタイミングなど、それら全てに自信が満ち溢れているようだ
男は眼下に映る幾千の人を見る。
男は厳かにゆっくりと声を上げる。
「我が国は長年虐げられてきた。過去栄華を誇っていた我が国がだ。特に神聖国には煮湯を飲まされ続けてきた。国宝を渡せ、第2王女を渡せなど‥だが国民を危険に晒すわけには行かず我慢を続けてきた。‥‥‥しかし!今度は同盟という方法で我が国に入り込み、国の全てを搾取しようとしている!これを許してしまうと国民すら危険に晒される事になってしまうだろう!よって我が国は‥‥神聖国に対し宣戦布告する!」
壇上で声を上げている男の後ろに10人程度の男女がいる。
体型で男女とわかるが、フードを被り顔まではわからない。
男があげている弁にさほど興味を持つ者はおらず、思い思いの様子であった。
「不安に思う者達もいるだろう。我が騎士団であれば神聖国の騎士など取るに足らん存在だ。だが思わぬ横槍があるやもしれぬ。前回の遠征時もそうであった。だが今回は宣戦布告する事で、我が国の正当性を表明して戦いを挑む!それに‥‥」
男はそこまで言った後に、後方を振り向く。
「今回は援軍を呼んである!」
男がそう言うと、後ろにいる男女が被っているフードを外す。
その顔が国民の前に晒された。
年齢や性別、体型などは思い思いだが、1つの共通点があった。
全員の眼が真っ赤に染まっている。
忌み嫌われる種族的特徴である真っ赤な眼。
その全員が魔族であった‥
人々からは悲鳴が上がる。
すでに逃げ出す者も出ている。
「静まれ!」
50代くらいの神経質そうな男から出たとは思えないほどの大きな声に、人々が動きを止める。
「案ずるな。この者達は魔族であるが、我が国に害する者達ではない。魔族の大陸にある国で、我が国と交流を望んでいる国から派遣された者達だ。知っての通り、魔族は多種族よりも遥かに優れた存在だ。だが今までの魔王のせいで他国とまともに交流すら行えない状況にある。戦力はあるが食糧や物質が不足している。我が国は彼らの国に物資を提供する代わりに最強の戦力を借り受ける事ができた!彼らがいれば神聖国など恐るるに足らん!今まで我が国を押さえつけていた国を排除して、最強の帝国を取り戻すのだ!」
すると突然国民から声が上がった。
「そりゃ凄い!魔族と共に戦えるのであれば、この国に敵う国などない!最強帝国の復活だ!」
その声を聞き周りの人達が歓声を上げる。
「確かにそうだ!ああやって皇帝の後ろに立っているって事は、我が国と共に戦うって事だろ?皇帝は魔族を従えた!強い帝国が戻ってきたんだ!」
国民から歓声が上がる。
大歓声が上がるなか、最初に声を上げた者はいつの間にか姿を消していた‥
この時、この瞬間にライノズ帝国は皇帝ムニティスの名の下、魔族を受け入れて戦う事を表明した。
俺は神聖国に転移して、『影法師』のイコルに意識を移してグルンデルさんの元に向かった。
グルンデルさんは帝国に攻められるとわかっていたのに、準備をする様子はなかった。
神の御加護が守ってくれますから。
そう言いながら帝国と戦う事を躊躇しているようだった。
確かに聖職者であるグルンデルさんは、他国と戦争する事を望まないだろう。
でも帝国はそんなグルンデルさんの思いなど一蹴して攻めてくるはずだ。
新しく生まれ変わろうと努力している国を瓦礫と化すために‥
そんな事をさせるわけにはいかない。
俺がどれくらい助力できるのかわからないけど、帝国の好きにはさせたくない。
また『アウローラ』のみんなの力を借りる事になるが、今回は俺も戦うつもりだ。
帝国もその背後にいる魔王も後悔するがいい。
我がマルコイ印の魔道具たちで全力で抗ってみせるぜ。
その魔道具の力をその目に焼き付けて、国に逃げ帰るがいい。
10
お気に入りに追加
557
あなたにおすすめの小説
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
全校転移!異能で異世界を巡る!?
小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。
目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。
周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。
取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。
「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」
取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。
そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる